ともいきの思想: 自然と生きるアメリカ先住民の「聖なる言葉」 (小学館101新書 87)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250875

作品紹介・あらすじ

現代日本はエゴをふりかざして他者への配慮を忘れた人たちで溢れている。そんな日本人の心のお手本となるのが、アメリカ中西部に暮らす先住民の「ともいき(共生)の思想」。彼らの聖地が「パワースポット」として浄化を求める世界中の人々の注目を集めているが、大地のエネルギーに育まれた彼らの思想もまた、我々の心に深い癒しと教訓を与えてくれる。フィールドワーク歴20年を超えるアメリカ先住民研究の第一人者が、現地で出会った「聖なる言葉」の数々を紹介。

感想・レビュー・書評

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  • ネイティブアメリカ研究をされている著書のもの。
    現代に生きるネイティブアメリカンを中心に書かれている。白人が来てからの彼らの歴史は理不尽でつらい。なんとか自活してその叡智を世界に広めてほしいなと思う。
    ほんと文明ってなんだろ。

  • 題名の「ともいき」とは「共生」を音で読んだもののようだ
    和語のこういう言葉があるのかどうか知らないけれど
    柔らかくていい言葉だと思う

    数あるインディアン保留地の中で深い出合いのあったダコタ(スー)との
    20年を超える付き合いによって
    自然と共に暮らすアメリカ先住民の生き様と歴史を
    比較文明学という学者である著者の体験から得た
    彼らの「聖なる言葉」を通して紐解く

    今日は死ぬにはいい日だ
    足りることにことになっている
    太鼓が来れば祭りは始まる
    自然から離れると人の体は固くなる
    憎しみを超える
    そこに美がある
    人はそれぞれの歌を持つ
    もらったものはあげたときにギフトになる
    持つに相応しい者は自ずとやって来る
    などを自分の実体験によって気付き学んできたことを
    まとめたもので
    机上の研究とは別物の深みがある

    141017
    比較文明学なる研究者によるフィールドワークから得た
    インディアンの生き様に関する体験談を紹介している
    サンダンスに関わる多くの事柄や
    必要以外のものを手放すギブ・アウェイに関する
    実体験も面白い
    すべてが来るもの拒まず去る者追わずで
    誰が何人集まるかもわからない祭りのような状態で
    すべてに行き渡ることを大事に素をのだから
    何をどれだけ用意すればいいのかの手掛かりもない

    本来は無理せずに在るもので十分なのだろうけれども
    著者の心配は尽きることがない
    そんな中
    ラコタ(スー)族の友人が云うには
    「足りることになっている」から大丈夫だと言う

    彼らの文化は個々の内面を大事にし
    潔さに美を見出す

    伝承口伝の文化は文字文化と異なり
    部分の羅列による知識ではなく知恵をも通り越して
    全体を視野に入れた倫理観に重きをおく
    部分と全体のつながりと兼ね合いに心を配る
    利己的な権利を目指す競争ではなく
    嘘も秘密もないお互いの切磋琢磨による調和を好む

  • となりの学部だった阿部珠理先生の本に、ここアフリカの地で逢った。
    不思議な縁と懐かしさもあって、勢いよく読破。
    アメリカ先住民研究が専門だが、あとがきにもあるように、この本は研究論文ではなく、個人的な経験えと想いが綴られていて、大変興味深かった。
    「足りることになっている」
    「今日は死ぬのにはいい日だ(ラコタ族が戦闘に行くときにあげる雄たけび)」潔く死ぬためには、潔く生きなくてはならない。
    「持つにふさわしいものは、自ずとやって来る」

    長い歴史の間に語り継がれてきた聖なる言葉ってほんとすごいなって思います。セドナにかんたんに行っちゃう前に、読めてよかったかも!なんて。

  • 阿部珠理さんの本は、アメリカ先住民のことを伝えることだけではなくて、その人たちの接し方、そのときに失敗したこと、コミュニケーションとはどういうことか、ということまで教えてくれます。面白い。

  • アメリカ先住民に関する本は何冊か読んだけど、今まで読んだものは儀式や伝説など、スピリチュアルなものを前面に押す出す内容が多かった。本作は保留区が抱える失業やアルコール中毒など、現実の問題にも触れていて、実際に保留区で教壇に立った著者の話にはリアリティがある。特に伝説の族長ホロウ・ホーン・ベアのパイプの話と、明治時代の軍人である野津道貫がロビンソン砦を訪れていたというエピソードは秀逸である。

  • [ 内容 ]
    現代日本はエゴをふりかざして他者への配慮を忘れた人たちで溢れている。
    そんな日本人の心のお手本となるのが、アメリカ中西部に暮らす先住民の「ともいき(共生)の思想」。
    彼らの聖地が「パワースポット」として浄化を求める世界中の人々の注目を集めているが、大地のエネルギーに育まれた彼らの思想もまた、我々の心に深い癒しと教訓を与えてくれる。
    フィールドワーク歴20年を超えるアメリカ先住民研究の第一人者が、現地で出会った「聖なる言葉」の数々を紹介。

    [ 目次 ]
    プロローグ―今日は死ぬにはいい日だ
    繋がる
    足りることになっている
    太鼓が来れば、祭りは始まる
    自然から離れると、人の心は固くなる
    憎しみを超える
    そこに美がある
    人はそれぞれの歌を持つ
    もらったものは、あげたとき本当のギフトになる
    持つに相応しいものは、自ずとやって来る
    畏まる
    慮る
    天命を知る
    伝統を生きる
    自分を探す
    自分に出会う
    メディスンマンは知っている
    「インディアン風」は好きじゃない
    大平原に幻の日本刀を求めて
    縁を紡ぐ
    エピローグ―出会うたびに気づかされる

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    [ 参考となる書評 ]

  • 先住民をただ崇めるのでなく、如実に向き合ってきた足跡を印した本。著者には一貫した生き方=誠意があることを感じる。そう、嘘がつけないのだ。

    だから、この本から、先住民の素晴らしい知恵や言葉を求めていると痛い目に会う。繰り返し、その苦境やいんちきさが記される。しかし、彼ら/彼女らの素の良さも感じる。

    ・「自然から離れると、人の心は固くなる」ラコタ族
    ・「人はそれぞれの歌を持つ」
    ・「(白人は)ものを永久に自分のものだと勘違いしておる。他人にやった後までも、自分がやったものと考えておる。ものは人のもとに必要なだけ留まっているだけじゃ。他に用ができれば、他のところへ行くのじゃ。ギブ・アウェイ(感謝の念からの与え尽くし)でもらったギフトは、自分のもとを離れるとき、本当の贈り物になるんじゃよ。」
    ・「われわれは、多くを望まない。ただ祖先墳墓の地で自然を友に、息絶えるまで静かに暮らしたいだけだ」byレッド・クラウン
    ・「悠久の大地は変わらず、ただ人だけが過ぎてゆく」

  • 「今日は死ぬにはいい日だ」「足りることになっている」「持つに相応しいものは、自ずとやって来る」など、北米インディアンの言葉には自然から得た哲理を感じ引き付けられる。

  • 久しぶりのネイティブアメリカンもの。阿部珠理さんの久しぶりの新刊で楽しみでした。現代のネイティブアメリカンの人たちの暮らしをよく知っている阿部さんならではの体験談には、大共感をおぼえ、「うんうん」とうなずきながら読みました。
    問題の多い居留地生活。我ら第3者は、彼らにげんなりさせられることも多々ある日常なのに、なぜか惹かれてしまう彼らの文化や生活。久しぶりにサウスダコタに行きたくなりました。
    ミタクエオヤシン!

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著者プロフィール

あべ・じゅり
立教大学社会学部現代文化学科教授。
福岡市生まれ。立教大学社会学部卒業後、
カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)
大学院修了。博士(比較文明学)。
専攻はアメリカ先住民研究。
主著に
『聖なる木の下へ アメリカインディアンの魂を求めて』
(角川ソフィア文庫)、
『アメリカ先住民の精神社会』(NHK 出版)、
『アメリカ先住民 民族再生へ向けて』(角川書店)、
『大地の声 アメリカ先住民の知恵のことば』
(大修館書店)、
『ともいきの思想
自然と生きるアメリカ先住民の「聖なる言葉」』
(小学館101 新書)、
『NHK カルチャーラジオ 歴史再発見
アメリカ先住民から学ぶ その歴史と思想』(NHK 出版)
など多数。

「2016年 『メイキング・オブ・アメリカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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