「大人の発達障害」をうまく生きる、うまく活かす (小学館新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252121

作品紹介・あらすじ

「大人の発達障害」は、実は可能性の塊です

空気が読めない、仕事の段取りが下手、時間の管理が苦手……などの特性がある「大人の発達障害」。それによって社会とのズレが大きくなると、日々の生活や仕事がうまくいかず、人間関係に悩んでしまうこともあります。一方で、その独特な感覚や感性を活かすことができれば、普通の人にはまねのできないようなことをやってのけることも少なくありません。
そこで、発達心理学の専門家と、発達障害の当事者に、「大人の発達障害」について、たっぷり解説していただきました。
同僚、上司など周りにいる方がちょっとしたサポートをするだけで、劇的に問題が軽減し、新しい価値を生み出すことができるかもしれません。本人が気をつけるべきポイントとともに、サポートのコツをお伝えします。
発達障害の人は、得意なことを生かす場があれば、2人分、3人分の働きができる可能性があります。ユニークなデザイン力、ヒラメキ力、芸術的センス、猪突猛進の行動力などを持ち前の能力をじっくり育てていきましょう。

【編集担当からのおすすめ情報】
時間管理が苦手だったり、物事の整理が下手で困っている人がいたら、それは「大人の発達障害」かもしれません。「障害」とはいえなくても、その傾向を持っている人はたくさんいると思います。
診断の有無に限らず、「うまくいかないな」「何となく生きづらいな」と感じている人、身近に当てはまる人がいるなら、ぜひ手に取ってみてください。

感想・レビュー・書評

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  • 1、専門的な知識と、当事者ならではの目線

    専門家と当事者の両方の目線から書かれている点がおもしろい、特に”発達障害か否か”ということの曖昧さ、判断の難しさについて触れられているところが興味深いです。確かにそうなんですよね。発達障害の診断を受けても、じゃああれは発達障害のせいだったんだ、この失敗は発達障害のせいなんだってゆう発想になるのはやっぱり難しく、また周りも常にそういった目で見れるかといったらそうではありません。だからこの本のタイトルになっている”うまく生きる、うまく活かす”ということが重要になってくるのでしょう。

    2、自分の特性の理解、対処法や生活の工夫に目を向ける

    「発達障害を持つ人が社会でよりよく生きるためには、自分の特性を理解し、その対処法や生活の工夫に目を向けることが第一になります」
    第一章の”「大人の発達障害」の正体”でのこの一文が、本書で伝えようとしている一番強いメッセージだと思います。
    本の中盤ではよく見られる症状とそれに対する処方箋(対処法)、そしてその対処を本人が行うのか・周囲が行うのかが記載されており、これが内容の大部分を占めます。また薬物療法をどうとらえるか?実際の効果は?職場には伝える?などなど、診断後の些細な疑問や悩みどころに対してコメントされているのも良い配慮だと思いました。

    3、個人的なつぶやき

    実は兄もADHDだったということで、兄オススメの一冊だそう。
    自分がそうだと余計実感するのですが、やっぱり遺伝的なものみたいですね。
    だから自分の子供ももしかしたらADHDだってことも、将来的にあり得るんじゃないかな。過保護や過干渉にはなりたくないけど、自分が味わった苦しみを味わってしまったときに、理解しあえる形で手を差し伸べられるようになりたい。その意味で私がこの本を活用すべきなのは”本人”としてでもあり、”周囲”としてでもあるのだと思う。

  • 当事者と医師の共著ですが主に医師中心の著作です。
    双方の意見が聞けるので、医療との関わりについてのヒントが欲しい方にはいい本かと思います。
    とはいえ、具体的な発達障害の生き方活かし方が沢山書いているわけではないので、読み物てきです。

    P195
    著者が診療で心がけている点として
    1発達障害を控えめに診断する
    2生活環境の整備を検討する
    3身近に正しく理解してくれる人を増やす
    4職場環境の調整を検討する、環境整備をお願いできそうか、患者さん自身が不利にならないようにする手立てを考える
    5これらの流れのなかで、有効と思われる薬物について、期待する効果と副作用などについて説明し、無理強いせずに使ってみるかどうか考えてもらう
    6患者さんから薬を希望された時も1-3がある程度整っていないと効果が半減される可能性もある

    P200
    笹森流仕分け
    自分の長所を知る

    自己嫌悪があるということは、あとで自分なりに考えて自省する気持ちはある
    理由を考えることはできる

    できないことを素直に認め、謝れるようにする、その上でどうさせていただいたらよいでしょうかと聞いて対応を得る
    →さらにできないことを仕分けてみる

    忘れ物をしてしまうこと
    失敗を受け入れるのが不得意なこと
    自尊心が低いこと
    謝罪ができず言い訳ばかりで現実を調子していないこと
    切り替えができないこと
    など

  • 大人の発達障害にどう対処するかを書いた一冊。

    最後に発達障害の当事者の話があって勉強になった。

  • 発達障害のある人に対しての支援や考え方、捉え方について考えさせられました。
    実践するのはなかなか難しい。

  • 発達障害の基礎知識から、当事者が普段の生活で直面する課題とその解決法まで解説している。当事者にも周囲の支援者にも読んで欲しい一冊。

  • 笹森さんのご自分の経験に基づいた話が、とてもよかった。

  • 「皮肉や冗談が通じない」「人の気持ちがわからない」など、発達障害の特徴それ自体は知っていましたが、当事者としては「人の気持ちをわかる方法」がどうやってもわからないことに長く困っていました。本書ではそういった悩みに対して、具体的な対処法を挙げながら、(矯正はせず)悩みを受け入れて生活することを提案しています。発達障害の傾向がある方がコミュニケーションの上で陥りがちなシチュエーション別に細かく具体例が載っています。図書館で借りたものでしたが、改めて入手し、手元に置いておきたいと思いました。

  • 『発達障害に気づかない大人たち』(祥伝社新書 星野仁彦)より分かりやすい。今迄発達障害が認知されなさすぎた事実とは逆に、現在は安易に何でも発達障害に当て嵌めようとする傾向が強い、という言い方や、発達障害の症状は軽重の差で決まり、そこに明確な線引きはない、という言い方などから、大人の発達障害の扱われ方の現実が判る。つまりそれに携わる専門家ですらはっきりとは解っていない。
    でもそうなると発達障害という障碍の存在すら逆に怪しくなるような気もする。変わった人という言い方で一括りにされ負の烙印を押されてきた発達障害の人間が少しでも楽に生きられることは結構なことだけど、現状では専門家の解釈に依然振り回され兼ねないのでは。

  • 大人でもかかる発達障害の人の対処法について、精神科医が書いたパートは参考になる。

    ただし、発達障害を自称する女性の部分は、多くの闘病本と同じように参考にならない。計算するのは苦手だが、写真や芸術のセンスは一流と自分で言っているあたりが痛い。

    発達障害の人は、すぐれた才能の持ち主、とむやみやたらに吹聴するのもやめてほしい。仕事を怠ける人に言い訳っぽく聞こえる。

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著者プロフィール

こころとそだちのクリニックむすびめ院長。児童精神科医師。臨床心理士。北海道大学名誉教授。
『僕の児童精神科外来の覚書――子どもと親とともに考え、悩み、実践していること』(日本評論社、2022年)、『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』(SBクリエイティブ、2019年)

「2023年 『ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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