- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098252947
作品紹介・あらすじ
警察官に最も怖れられる組織の実態に迫る!
警察庁のまとめによると、2016年の1年間に不祥事で懲戒処分を受けた警察官は266人に上る。そのうち、逮捕者は81人。前年より9人増えている。内訳は不倫、盗撮、強制わいせつ、セクハラ、パワハラ、窃盗、詐欺、横領、飲酒運転・・・・・・法を遵守するはずの警察官による不祥事。メディアに報じられることなく、警察を追われた者はもっと多いのが実態だ。不祥事の芽を摘むため、情報収集しては内偵し、処分するのが監察係の仕事だ。そして、一旦目を付けられたら、絶対に逃げることはできない。「監察に睨まれたら、それは警察官としての死を意味する」とは、現役の警視庁刑事の言葉だ。
出世の道が閉ざされるのは、当たり前。自宅から片道3時間かかる所轄への異動などで依願退職に追い込むこともある。所轄署の署長候補となったら、1年間は監察係が徹底的に素行調査を行い、怪しい交友関係などがわかった場合には、なかったものとされる。また、署長に昇進しても敵対勢力からの接触を防ぐために、やはり監視は続くのだ。
警視庁担当記者が実際に取材した、すべて実話の完全ドキュメント。テレビドラマではわからない監察係の修羅は凄まじい。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の今井良氏は警視庁担当が長いだけに、警視庁内に多くの人脈を持っています。今回の執筆にあたって数十人にわたる警察関係者に綿密な取材を重ねてきました。だからこそ、一般の人には絶対にわからない警察の内幕が見えてきます。警察ドラマや警察小説が好きな人もそうではない人も退屈させることのない一冊です。
感想・レビュー・書評
-
警視庁の中の警視庁、観察係について綴った一冊。
警視庁内での数々の事件はともかく、警視庁内の不祥事を監督してる部署であるということがよくわかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
警察官からもっとも嫌われる警察官。それは警務部人事一課監察係に所属する警察官たちである。不祥事を犯した職員に気付かれないよう、密かにそして速やかに証拠となる事実関係を裏付けていき、対象者の処分を行い、組織の綱紀粛正を図る。それも、できるだけマスコミの目に触れないように。つまり、組織防衛が最大の任務なのだ。監察に目を付けられたら最後、出世の道を閉ざされるどころか、警察を追われる羽目となる。メディアの取材にも応じない監察係の姿を生々しくリポートする。(2017年刊)
・はじめに
・第1章 警察の警察
・第2章 強力な監視ネットワーク
・第3章 止まらない密告
・第4章 風紀を死守する
・第5章 癒着に切り込む
・第6章 情報漏洩・流出との戦い
・第7章 組織再生のための存在
・おわりに
全体的に踏み込みが甘い。「そもそも監察官たちは、我々新聞記者たちの前に姿を現すことはほとんどない。」「監察官らに夜討ち朝駆けを試みるが、ガードが固くつれない対応をされるにがオチだ」というので、取材に限界はあるのだろう。もどかしさは感じたが、本書で取り上げられている警察の不祥事案は、いずれも記憶に新しいものであり、業界ものとしては、興味深く読むことが出来た。
ノンキャリア警察官のエリートは「一発・一発組」と呼ばれ、スピード出世を果たすというが、個人的には、この点をもう少し掘り下げて欲しい気がした。 -
実に面白い、警察の警察。サクサク読めるね
-
面白い!息子が刑事を希望してるから取って置きます。
-
警視庁担当記者の著者が、知られざる警視庁監察官と警察官の実態を紹介。
監察という、警察組織の中でも一般人にはかなり縁遠い存在について、理解を深めることができた。実際にあった監察が関わったいくつかの事案を深掘りしており、特に、警視庁捜査一課長の私生活上の不祥事の事案や、まだ未解決の国際テロ捜査情報の漏洩事案が興味深かった。非違事案被疑者はもちろんのこと、署長候補者にも、監察が内偵調査を行っているというのも初耳で、ちょっとした驚きだった。 -
警察小説によく出て来る監察係。
NHKでニュース番組の制作に携わった後、民放に移って警視庁キャップなどを務めた著者がその実態に迫る。
帯に大きく書かれているように、ここに睨まれたら警察人生が終わりになることは間違いない。 -
警察小説は好きだが監察を題材にしたものは少ない。これはノンフィクションなだけにリアルで対象になった警察官の人生を考えるとなかなか重い。淡々と事実を述べて推理の余地もないが読み応えがある。