映画評論家への逆襲 (小学館新書 あ 10-1)

  • 小学館
3.38
  • (3)
  • (5)
  • (5)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 93
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098253999

作品紹介・あらすじ

脚本家・監督から「映画批評」への逆襲

コロナ禍で苦戦する全国のミニシアターを応援すべく、荒井晴彦、森達也、白石和彌、井上淳一の映画脚本家・監督が行なったオンライントークショー。だがこの4人のこと、単なる作品論、監督論を逸脱して、世評の高いヒット作をこき下ろし、名作の裏事情を暴露し、大監督を疑い、そして意外な作品をほめるという、かつてない映画座談会となった。その濃厚かつ超辛口な内容をあますところなく伝える1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』の全国公開を前に、井上淳一さんのプロフィールからこの本のことを知って買い、読みました。4人(5人)の映画人の対談形式で読みやすかったので、あっという間に読み終わりました。映画に携わる人たちの率直なお話を知ることができてとても面白かった。ここ何ヶ月かの間に、4人がそれぞれに監督した映画を観ていたので、作品を思い返しながら読みました。

    荒井晴彦:花腐し
    森達也:福田村事件
    白石和彌:青春ジャック 止められるか、俺たちを
    井上淳一:青春ジャック 止められるか、俺たちを2…

    井上さんは、脚本を描いた「あいときぼうのまち」を10年以上前に観て、世の中を捉える視点や批判する姿勢の強さ、鋭さに感銘を受けていたので、ずっと気になる映画人でした。彼が高校の同窓生だと知ったのは、「あいときぼうのまち」の公開時に名古屋・シネマスコーレに舞台挨拶で登壇した時、観客の中に高校の恩師の姿を見つけ、師から伺ってのことでした。その人となりを知ってから10年以上にもなりますが、直接言葉を交わすことができたのは、井上さんの同級生(僕の高校部活動の後輩)が取り持ってくれた、とめ俺2(先行上映)の舞台挨拶の時が初めてでした。長い間、尊敬の念を持ってみていたので、僕の井上さんに対する感想はとても好意的です。

    (続きを書き足します…多分)

  • 格差をテーマにしながら格差にふみこまない作品、差別を扱いながら実は差別を助長する作品、などなどと、鋭い指摘がある。
    「見るレッスン」と対をなすほどではないが、森達也氏は蓮実重彦氏の授業を受けずに雀荘へ行っていたというのは笑える。映画人は多様だ。だから、さまざまな視点で映画を観ていいのだ。さまざまな観点から面白いといえる作品がある。
    「スパイの妻」をめぐって浮上した「時代考証をどうするか」問題はどう考えるべきか、が気になった。

  • 辛口の映画評論家は絶滅危惧種なのか。
    確かに平坦な褒め言葉ばかり並べる映画評ばかりだ。
    新聞の書評、映画評を読むのは年寄りだけだそうだ。
    そうなのか、今はそんな時代なのか。
    私は未だに読んでるけど。
    確かに誰かの映画評を頼りに映画を観に行く事はまま有る。しかしキネマ旬報すら信じられないなら何を頼りにすればいいのか。
    邦画を見なくなって久しい。
    学生時代、キネマ旬報のベストテンを見て「サード」を見て「赤い髪の女」を見て「曽根崎心中」を見て「太陽を盗んだ男」を見て「泥の河」を見た。
    全てが面白かった。
    大阪映画サークルに入っていた。
    自主映画上映に面白い企画が沢山あった。
    今の若い連中は何を観てるんだろう。
    考えさせる一冊だった。

  • すみません、ほとんどみたことない映画の話でした…
    こんなにたくさん映画みている人っているんですね。すごい。
    脚本家も、監督と同じぐらい大事なのは、そのとおりですよね。今度からもっと着目して見てみます。

    日本アカデミー賞とかキネマ旬報とか、権威ありそうなところのお墨付きあっても「駄作だよね」と皆がバッサリしたり。自分の「え、これが??」というような思いも、あながち間違ってなかったと思えます。
    どこまで映画で再現するか。制作費用などの制約があるなかでも諦めずにやっていかなきゃならないんだ、そうじゃなきゃストーリーとかの前に興ざめしちゃうんだ、と。プロとしての気概ですね。

  • 当たり障りのない映画評論には辟易するところがあったのでスカッとしましたし、映画の細部やリアリティへの詰めの甘さに関する指摘には同意もしましたが、彼らが語る作品が古かったりマニアックであったりしてよくわからない部分がありましたね。
    「止められか、俺たちを」と若松孝二監督を知らないと何のことやら、となりそう。

  • いやこれは面白かった。世代の違う4人の映画人が何の忖度もなく縦横に語る。話題に上がる映画は見たものも見てないものも興味をそそられる。
    年齢が近いからか荒井さんの言葉や態度に共感した。
    わかりやすさより思想が肝心!

  • 座談会を書き起こしたテキストとしては面白かった。出来ればポッドキャストで聴いてみたいけど。映画評論を専門知識も無いバカがやっている・映画評論家が作品を批判しなくなった・SNSに映画評論家気取りのモノ言う観客が増えた・世間で高く評価されてる作品がどう考えても凡作としか思えないといった参加者が掲げる問題意識を、本来それぞれ全然別の話なところ特に切り分けや言葉の定義説明も無くごちゃ混ぜにして話されるので、何か日本映画の未来に繋がる建設的な結論を期待して読むとイライラするかもしれない。まぁ自分も本書が言うところの「SNS映画評論家」の1人なわけだが。

  • いまどき”逆襲”しなければいけないような”映画評論家”っているのかなと思ってスルーしかけたが、最後の章の『罪の声』への批判とコメントを読んでなるほどと思って買ってみた。実作者(監督だったり脚本家だったり)ならでの観点はやはり面白い。確かに最近の日本映画には”重み”や”深さ”がなく、もう一度見たくなったり、いろいろ考えさせられたり、ということが少ない印象がある。全面的に賛成できるような意見はそれほど多くないが、日本映画の現状もやもやしたかんじの原因の一端をついているところもあるかな。いずれにせよ、解答を求めて読むのではなく、いろいろ考えてみる材料になる一冊でした。

  • 朝日新聞2021717掲載

全9件中 1 - 9件を表示

荒井晴彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×