健康で文化的な最低限度の生活 (10) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
4.02
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本棚登録 : 263
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098608713

作品紹介・あらすじ

累計100万部!貧困ビジネス編、核心へ。

入庁3年目となった生活保護ケースワーカー・義経えみる。
彼女が新たに担当となった「オレンジパルム」という
アパートに住む受給者たちは、石橋という男に怯えていた…

いつの世にもなくならない食う者と食われる者。
「住まいの貧困」で行き場を失った人々を食い物にする悪党どもに
えみるたち、福祉事務所はどう立ち向かうのか!?

黒幕・石橋との対決がヒートアップしていく
「貧困ビジネス編」緊迫の第10集…
コロナ禍となった今の日本を真っ正面から描く
刮目の“生活保護ケースワーカー奮闘記”!

【編集担当からのおすすめ情報】
「週刊スピリッツ」誌上でも大きな反響を呼んでいる「貧困ビジネス編」。今回発売の単行本で第10集に到達して、紙+電子で累計100万部を本作は突破しました。この作品が、漫画としてのエンターテイメント性を持ちながら、多くの人が関心を持ちつつも捉えきれていない“日本の貧困”をリアルに描いてきた成果だと思います。そして先行きが見えないコロナ禍の影響で今後、必然的に増加していくであろう「生活保護」の実態を捉えるためにも、ぜひこの唯一無二の本格社会派コミックをご一読ください!

感想・レビュー・書評

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  • 貧困ビジネス編は、やはり2巻ぐらいでは終わらなかった。しかも今回は途中からコロナ禍のもとでの闘いに突入する。

    今回は表紙に初めて登場する京極係長がわりと活躍する。市の財政を圧迫するような事柄には神経質になる係長ではあるが、今回は不正支給に繋がる事案である。「意外と正義感が強い」と義経さんが驚いている。ちょっと感情的になりすぎているのを、ベテランケースワーカーの半田さんが修正するほどである。

    しかしなかなか貧困ビジネスの違法の尻尾が掴めない。奥坂さんの入院先から告白があって、その仕組みがある程度わかったものの、お役所だから決定的な証拠が必要である。その間に、奥坂さんを遠くに避難させ、角間さんも他の支援の方法を探す。利用者に寄り添う。半田さんの助言があればこそではあるが、「空気が読めない」と落ち込む義経さんではあるが、真摯で誠実な姿勢は、要領が良い他の一部職員と一線を画している。義経さん、頑張って!

    巻末の「生活保護Q&A」は、コロナ禍のもと住宅確保給付金、生活困窮者自立支援制度、生活福祉基金の特別貸付などの制度を活用する道筋を教えてくれている。4-9月で住宅確保給付金の支給は10万4千件もあったそうだ。そうのうちの1/10が角間さんのようなホームレスになることを防いだとすれば、狭い日本は大きな失敗を回避したことになるだろう。今のところはセーフティネットがギリギリ機能している。この長期のコロナ禍で、それもどうなるか、注視が必要だ。

    表紙カバーを外してみると、昨年3月10日、厚労省通達「新型コロナウィルス感染防止等に関連した生活保護業務及び生活困窮者自立支援制度における留意点について」の「3適切な保護の実施(2)速やかな保護決定」が全文(大文字で)載っていた。問題のある厚労省ではあるが、これはかなりまともなことを通達している。こういう細かな文章に、その時々の社会の真実があると思う。是非手に取って読んで欲しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      図書館から数冊借りて読んだのですが、このマンガは買うべきだと思ったので、放置中。
      kuma0504さん
      図書館から数冊借りて読んだのですが、このマンガは買うべきだと思ったので、放置中。
      2021/04/14
    • kuma0504さん
      猫丸さん、
      図書館で漫画借りられるんですか?羨ましいです。
      それはともかく、この漫画だけは毎回発行直ぐに買っています。決して大傑作ではないけ...
      猫丸さん、
      図書館で漫画借りられるんですか?羨ましいです。
      それはともかく、この漫画だけは毎回発行直ぐに買っています。決して大傑作ではないけど、真摯で誠実な取材は明らかで、きちんと読みたいと思っているので。
      2021/04/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      何でもある訳ではありませんが、このマンガはあります。
      kuma0504さん
      何でもある訳ではありませんが、このマンガはあります。
      2021/04/14
  • DaiGoさんが差別発言で謝罪 改めて知っておきたい生活保護受給「基本のキ」 - 弁護士ドットコム
    https://www.bengo4.com/c_1017/n_13417/

    DaiGoさん発言で相談相次ぐ、藤田孝典さん「生きているだけで価値があると伝えたい」 - 弁護士ドットコム
    https://www.bengo4.com/c_18/n_13428/

    健康で文化的な最低限度の生活 10 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09860871

  • ・85 浦田の部屋。敷物がダンボール。
    ・88 奥坂の救急搬送。てっきり詐病かと思いましたよ。
    ・89 コロナは正面から描くみたい。えみるの同窓会で判明した、彼女のポジション。
    ・91 係長のスナックママへの切込みが素人じゃない。
    ・94 不動産取引の仲介するには、宅地建物取引士の資格が必要ですが、ママはもってるの?あと、抜いた分のお金は脱税。角間への暴力を、えみるは石橋だと仮定して動くのでしょうか。マスク姿の怒りに決意も感じました。

  • 貧困ビジネス、怖い…。というか、傍目には怒り心頭。とか思いながら読み進めていたら、本作もまたコロナ渦突入。時系列としてもそこまで唐突感は無く、自然な作中の流れとして、ってのがお見事。本作の主題とコロナが、切っても切り離せない問題だけに、リアルタイムで扱うという姿勢も立派。目が離せません。

  • ウシジマくんにもあった貧困ビジネス回、こちらの方がエンタメ感が薄くていい。貧困はエンタメにしてはいけない

  • 貧困ビジネス編二巻目。このテーマを取り上げようと思った時、著者の頭にコロナ禍が起きることは想定してなかったろう。図らずも、パンデミックにというもう一つの重いテーマも追いかけることになる。そのせいかはわからないが、本巻でも完結しない。ただ、そのからくりは少しずつひも解かれていく。受給者の危険を察知しても役所ができることは少ない。犯罪の管轄は警察。警察も被害届がなければ動けない。悪というものは法の隙間をかいくぐり蔓延るものである。立ち向かうには一人ひとりの正義感しかないことはコミックの世界のことに留まらない。

  • コロナ!現実世界とリンクさせていく。コロナで暴かれる貧困問題は多そう。特に普段は貧困とは縁のなかった人が急に貧困に晒されるという。社会としての不安定さみたいものが。

    セーフティネットに対してもっと寛容になるべきで、不正受給にめくじら立てて生活保護批判なんかしちゃいかんよなぁ。

    職員ももっと増やして、負担を減らして、一人一人に寄り添えるサポートが出来たら理想的。


    2022/11/26
    真面目に生きようとする人が不幸になってずる賢い人間が得する社会はしんどいなぁ。

  • 生活保護の不正受給と、貧困ビジネスと言われる搾取の話。勉強になった。確かに昔はわからなかったけど、もしかしたら知的障害や発達障害などがあったのかな、っていう子がクラスにひとりふたりはいたと思う。そういうのに気付かれずにただ「鈍臭いやつ」で世間のはじかれ者になった人がどれだけいるだろう。何らかの理由で家賃が払えなくなった者がすぐに転落してしまう社会の構造にも触れている。

  • 貧困ビジネス中編。早く11巻を読みたい。

  • 貧困ビジネス編。前巻から続いているが、時間枠も取って、丁寧に描いている。コロナも重なり、今後の展開に目が離せない。

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著者プロフィール

柏木 ハルコ(かしわぎ はるこ)
1969年、千葉県生まれの漫画家。千葉県立東葛飾高等学校卒業、千葉大学園芸学部卒業。1995年『いぬ』でデビュー。
代表作に、2008年映画化された『ブラブラバンバン』、そして2018年7月からドラマ化された『健康で文化的な最低限度の生活』。

柏木ハルコの作品

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