- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101003917
作品紹介・あらすじ
ばふりばふりとまわる回転扉の向こう、帝大受験を控えた二朗の前に現れた和装の女。「金玉潰し」の凄技で男を懲らしめるという妖艶な〈伯爵夫人〉が、二朗に授けた性と闘争の手ほどきとは。ボブヘアーの従妹・蓬子や魅惑的な女たちも従え、戦時下の帝都に虚実周到に張り巡らされた物語が蠢く。東大総長も務めた文芸批評の大家が80歳で突如発表し、読書界を騒然とさせた三島由紀夫賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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かの蓮實重彦先生が初めて発表した小説。
太平洋戦争開戦直前の東京。子爵を祖父に持ち裕福な家庭で育った旧制高校生・二朗と、彼の家に寄宿し伯爵夫人と呼ばれる謎の中年女性の摩訶不思議な交流を描く。
二朗が体験する伯爵夫人や周囲の女性たちとの奇妙な関係と、亡くなった祖父の愛人であり高級娼婦でもあったという伯爵夫人が語る性遍歴。
流麗な文章と先へと読ませる展開はさすがだが、全編異様にエロティックで奇想天外。一種の艶笑譚として書いたようなポーズも感じさせるが、真剣に書かれたのだと思う。
出版当時既に80歳だった著者が、しかも批評家として研究者としての名声をリスクに晒して?こんなエネルギッシュで珍妙な小説を書き、発表したことに驚き。
後日訂正。初めてではなく、3冊目の小説だそうです。失礼しました… -
衝撃的な小説でした!
今まで読んだことがない世界観と、文章のリズムが独特で、小説の世界にのめり込んでしまいます。
が、作者の異色過ぎる世界観には到底理解が追いつかず、ぜひ再読したいと思います。 -
あけすけな官能と戦争とが入れ替り立ち替りで全てが虚のような、でも戦争は現実なのだということを歴史で学んで知っているからこそのやるせなさというか…言葉にするのが難しい。
すごい疾走感とドタバタともいえるエロと不意に容赦なくとどめをさしてくるこの感じ、解説も書いている筒井康隆を読む感覚と通じるところがあって、とても好きだった。 -
下ネタギャグ小説。
肯定はできないが、微笑を誘う。 -
うむ、感想以前になんでこの話をこの歳で実名で書いたのかがまずは気になるところ。
普通に小説として楽しめるものの、いやいや、あんな小難しい文章書いとったくらいやから、もっとすっげえアクロバチックな本質的こと言いたいんかもしれん、「ぷへー」で笑ってる場合やないでと思わせるところさすが蓮實重彦!
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f.2022/12/25
p.2018/12/26 -
80歳を超える著者が、これほどのエロで退廃的な小説を書くとは驚きである。瑞々しいエロ。戦争とエロはよく似合う。死の濃厚な気配がエロを更に甘美なものとするのかもしれない。
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極めて難解。強烈な猥褻表現に囚われて非難する向きもありそうだが、一読でそちらに重点がないことは明らか。全ての性的表現が強烈ではあるものの、極めて陳腐であり、それが飽くことなく繰り返されていることから、意図的であることが見て取れる。そしてまた、伯爵夫人が回想してみせる戦争場面なども、これ見よがしの繰り返しになっている。これは意図的に繰り返しを重ねることで意図的に『嘘くさい』表現を作り出しているのだろう。