わたし、定時で帰ります。3:仁義なき賃上げ闘争編 (新潮文庫 あ 96-3)

著者 :
  • 新潮社
4.00
  • (15)
  • (27)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 291
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101004631

作品紹介・あらすじ

定時帰りをモットーとする会社員・東山結衣の前に現れた、手当目当てに残業したがる若手社員。その理由を知った結衣は、給料アップを目指し、人事評価制度の改革を提案するが、様々な思惑の絡み合う仁義なき社内政治に巻き込まれてしまう。二度目の婚約となった長期出張中の晃太郎との将来にも不安が募る中、結衣は自身の生き方を貫けるのか。新時代の働き方を問う、大人気シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 半分ほど読んで、
    「この主人公、この前もキャンプ行ったよなあ。そして迎えに来てもらったんじゃ...」
    なぜ先が分かる。この展開は、もしや再ど...。

    本の最後を見たら、改題して刊行ですって!?
    新年そうそう騙された〜!!(いや人聞きの悪い)
    最近改題して売ってる本が多いから、わーい、新刊だ♪って騙されて(絶対違う)買ったことが1回や2回や3回じゃないのよ〜。

    ...まあ、面白かったからいいか。

  • 「わたし、定時で帰ります」第三弾。
    -------------------------
    定時で帰る。
    給料も上げる。
    そのために、
    戦え。
    -------------------------
    これ、本当に。

    私も残業ありきの会社から転職して、
    現在はほぼ残業なしで帰宅していますが、
    その分年収は大幅に下がりました。苦笑
    そして冬の賞与額を知り、
    絶望していた時に手に取った一冊です。

    小説のなかで、
    私が直面している悩みに対し、
    どう解決して物語が展開していくのか。

    前作から久しぶりに読んだため、
    登場人物のキャラクターを思い出すのに
    少し時間がかかりました。苦笑

    時間内にしっかり仕事をして成果を出す。
    わかってはいるけれど、
    それは終わらせるために無理をしなくてはならず、
    それならば、
    残業をした方がわかりやすくお金は手に入るし、
    一度手にしてしまうと手放せない。
    生活残業。
    これ、自分がどうこうではなく、わかります。
    たぶん会社によっては黙認しているところもあるのでは。

    私がいた会社だけかもですが、
    上司が在席している日だけ、
    妙に帰るのが遅い人がいたり。

    結衣は、生活残業している部下のため、
    あの手この手で会社に掛け合おうとします。
    人事評価に落とし込み賃金を上げられるように。

    会社は人間の集合体で、人間は感情の生き物。
    でもその集合体である会社は利益が第一。

    読んでいる間、途中途中苦しくなりました。苦笑
    こんなのやってられない!と投げ出さない結衣を見て。

    現実世界の中小企業で、
    将来も生活にも不安を覚えている人はいるはずで
    (私もその中のひとり)
    小説の中ではどう解決するのか、
    せめて小説の中では奇跡というか、
    良いことがあってほしいという気持ちで読んでました。

    会社は人間の集合体ですが、
    結衣のまわりの人間たちも良いですよね。
    それぞれの能力や個性を活かして。

    他の方のレビューでもありましたが、
    向井理と吉高由里子の印象が強すぎて、
    脳内変換されていました。苦笑

    まだまだ続きそうな予感で、
    続編を楽しみにしています…!

  • 「定時で帰る」に真剣に向き合う主人公が大好きです!

    東山結衣さんを脳裏に浮かべ、
    私もできるだけ定時で帰れるよう努めています!笑

  • 単行本は既読済み。
    番外編目当てでこちらも読みました。

    晃太郎ってホント不器用で受け身。相手結衣じゃなかったら結婚無理でしたね。
    Apple Watchからの視点が斬新でした。何だかんだ上手くいってるみたいでホッとしました。

  • 新社会人。仕事に慣れず、初任給もまだ。覚えること沢山で必死に上司の後をついていくだけで一日が終わる。そんな春に読んだこの一冊に労働の意義を教えてもらったような気がする。

    早く帰りたい。プライベートも充実させたい。でもお金がない。働かないと生活できない。お金を犠牲にするか時間を犠牲にするか。労働が人生の中心に据えられ、それが大きな部分を占めているのに、それに対してネガティブな感情が湧き出る社会って何かがおかしいような気がする。

    生活残業。日本がこの数十年間成長が停滞し、給料が減り続け、加えて持っていかれる税金だけは右肩上がり。大人が綺麗事をいくら並べたってどうやって希望を持って働けばいいのか分からない。だから、せめて自分が評価されていると一目見てわかる指標、残業をする。別に本当はやりたいわけではない。生活があるし、評価されるし。その大きな2点が助長する。

    最低賃金を上げようとする試みが最近活発になっている。トレンドを押さえた物語であり、励みにもなる。給料が上がれば、無駄に働かなくてもいい。効率を上げれば定時で帰ることができる自分を大切にできる。だから、一層仕事に集中でき、利益が上がる。どうしてこんなにも素晴らしいアイデアが転がっているのにうまくいかないのだろう。社内政治。政治がやはり足を引っ張っているとしか思えない。皆んな会社よりも自分、国よりも私欲。新しい価値観を創造しようとする人間を抑え付け自分が何者かであるように振る舞い思わせる。どうして悪い方向に進むのは簡単で良い方向に進むのは難しいのだろう。

    八神のようにスキルを持ち仕事ができるようになりたい。結衣のように正義のために動けるようになりたい。そしてしっかり定時に帰りたい。

    自分の給料が自分の価値。こんなにも寂しい言葉はない。そうだとしたら政治家たちの価値はなんなのか。でも、そのもらえる給料が自分の働きに見合っているのかをよく考えて、それに応じて変えるのはアリだと思う。

    とりあえず、私は仕事を覚え、勉強して、効率をあげ、なんとしても定時で帰るぞ。時間は有限。会社に己を縛り付けることなんかせず、対等な労働者になろう。


    なぜみんな仕事を楽にしようとしない

    自分を守るためにする仕事は必ず他の誰かを追い込んでしまう

    まずは上司との信頼関係、上司の性格を把握して行動、上司の不安をなくすように行動

    人間は覚醒してから12時間から13時間しか作業できない。疲労した脳は酩酊状態となる。決断力の喪失、リスクの過小評価、モラルの低下もある。

    仮眠をとる。午後は経験則を活かせる仕事。

    仕事のためにメイクして帰ってきてご飯作って。日本の女性は疲れる。

    メタ認知とは自分を客観的に認知する能力。高いとなんのために仕事をするか考えられ、自分を活かす方法もわかっている。しかし自己評価を低く見積りがち。

    少子化やものが売れない理由を経営者は若者に求めがちだが、それ以前に企業は若者に正当な給料を払っていない。

    ボンクラ上司が日本をどんどん貧しくする。

    頑張っても他者に評価されない痛みに耐えられる人はなかなかいない。

    誰だって不当に傷つけられたくない。

  • 賃上げという、今とてもホットな話題を
    テーマにした物語だった。

    といっても、理由が生活残業打破という
    理由なのだが。

    働く会社員としては、あーなるほどなー
    と思うことばかり。
    会社の言いなりになるだけではなくて、
    自分を会社に売り込む。
    そんなことができるまでの能力があったら
    なー。笑

  • わたし、定時で帰ります。
    わたし、定時で帰ります。: ハイパー

  • 2人の不器用な関係も好き、大好き。
    会社との戦いもストーリーも面白かった!これこそ!今取り上げるドラマじゃないでしょうか。
    年収、賃金、生活残業とIT化の効率化の流れ、そして物価高、税金も保険負担もどんどん膨れ上がり、手取りは全く増えない今現在、十分に身に詰まる内容。今もまだまだ過渡期、変化を受け入れられないお局もいる、古き時代の武勇伝を今も声高に押し付ける昭和もいる、タイパを望む若者たちもいる、時代の変化をドラマ化して欲しいなー。

  • 第1作は現在、大河ドラマで主演を務める、吉高由里子さん主演でドラマ化されました。
    長時間労働による過労死、労災認定等の話題の中、定時で仕事を終え、帰宅するということが、今の日本でも難しいことを、フィクションながらうまく描かれていて、第2作も面白かったので、今回も図書館に入ったのを機会に読ませてもらいました。


    マイナス金利が解除されるというニュースが発表、これからの春闘の時期に、この作品を読むとは思いませんでした。

    大企業はともかく、中小企業、特にITを主体とする企業は、我が愚息も含めエンジニアの残業が当たり前になっています。

    この作品において、若手社員が残業の辛さより、手取りの給料の低さを声高に主張して、主人公を困らせるのですが、フィクションの世界だけではなさそうです。

    働き盛りの世代の人口が減り、超高齢化社会へと向かう日本へ、まさに警鐘を鳴らすこのシリーズ、新社会人にとっても他人事ではありませんね。

  • このシリーズを読むたびに、自分の働き方を考えさせられる。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱野帰子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×