津軽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 276
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006048

感想・レビュー・書評

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  • 津軽についての説明分などは面白みがなく所々飛ばしてしまったが、「もはや風景でなかった」「檻の中の猛獣」「人間の目で舐められて軟化し」「点景人物の存在もゆるさない」という言葉が印象的で野生的な草木や大胆で棘のある海を想像して旅の良さを感じた。

  • 学生時代、桜桃忌に青森を目指す友人がいた。
    彼の影響もあって太宰治さんの本を手に取るようになった。金木の斜陽館も訪ねた。
    ネガティブで女々しくて、、と揶揄されても私は好きだった。
    大学を卒業する頃、彼と、か細い声で壊れそうな音楽を聴いた。彼女の歌の世界には太宰が息づいていた。そんな彼女の歌が、テレビから流れてくるなんて夢にも思わなかった。
    森田童子さん。もう鬼籍に入ってしまったけれど。

    津軽にはそんなイメージとはかけ離れた骨太でユーモラスな太宰がいる。自虐の癖は相変わらずだけど、紀行文みたいな小説だ。
    金木の辺りから眺める岩木山を想像する。金木を語る太宰の体温は熱い。
    でも、なんと言っても3歳から8歳まで太宰、いや津島少年を育てた「たけ」のくだりが最高だ。
    金木に、いや自分の故郷に帰りたくなった。

  • 津軽地域を、路線に沿ってぐるりと巡る筆者の旅を描いた紀行文。田園地帯をのんびり、美味しいものを飲み食いしながら旅したくなる。最後の乳母とのシーンは心に沁み入った。

  • 津軽に向かいながら読み切った
    津軽の民は面白く読めると思う
    知ってる地名や習慣や言葉が出てくるわ出てくるわ

    思ったよりも引用が多かったな、知らない歴史も沢山
    載っていた

    太宰節の長文がどんどん熱量上げて、最後は泣きそうになった

    これが津軽か、これが太宰か
    斜陽も人間失格もいいけど、こんなに色が見えるのは津軽だけなんじゃないか
    津軽を知ってるから余計にそう見えたのか

  • ずっと読みたかった「津軽」をようやく読了。
    ふるさとの歴史って意外と知らない。そこでの生活様式が生まれた歴史を紐解くと、新たな発見があって面白い。しかし、一地方の一地域の歴史を正確に知ることは難しく、歴史書に書いてあることは必ずしも実感として正しくないことも多い。太宰治はかような点にツッコミや自虐的な感想を入れつつも、故郷を語る口調はどこまでも温かみがある。

  • 土瓶さんのお薦め本です。
    ありがとうございました!

    昭和19年、津軽風土記の執筆を依頼された太宰治が、故郷の津軽を3週間に渡って旅をした旅行記。
    自身のルーツを振り返る本名の津島修治としての、人となりを感じられた作品だなと思った。
    自虐的で、卑屈で暗い面ばかり強い印象だったけれど、やっぱり優しい人でもあったんだな…とよくわかった!

    故郷津軽の情景や歴史を詳細に説明しているところは、私にはちょっと難しい漢字だったり古い表現、言い回しなど多くてそこは正直、読みにくい部分もあって大変だった…
    でも故郷愛を感じられたし、この時代の作品の趣もあって頑張ってなんとか、かんとか読みすすめた感じ…(汗)

    でも旧友との、行く先々での和気あいあいとした酒盛りの様子は、何とも微笑ましくホッとして読めたところも多くて面白かった…
    特に滑稽に描かれた、ひとりの津軽人の過分な接待ぶりで太宰をもてなす描写や、太宰が宿に持ち込んだ鯛を姿焼きなどの料理ではなくて五つに切られ料理されてしまった時に太宰が拗ねてしまう様子にはクスッとなった。

    そんなふうにユーモラスな部分が
    いろいろある一方で、
    実家の家族たちへの複雑な思いや距離感なども、吐露しているのだが、懐かしい人達と触れあい全体的には、明るく楽しんでいるところがよく伝わってきた。

    そして何よりもラストのシーンが感動的!!
    子守で教育係の たけ との再会がもう、泣けてしまう。
    思いがけない再会で落ち着かない気持ちになって、桜の小枝の花をむしりながら話したりしてしまう…
    たけの様子と台詞の中にも、そして太宰治(というか津島修治)の心情描写の中にも、二人の心の深く強い繋がりがあるんだなぁと思えてジーンとさせられた、いい場面だった…
    旅の終わりに、生まれてはじめての心の平和を与えてくれるたけの元へと帰りつけてホントに良かったなぁとしみじみした…

    そしてラストに記されていた
    「さらば読者よ、命あらばまた、他日。
    元気で行こう。絶望するな。では失敬。」

    この、たった数年後に38歳という若さで…
    自殺してしまった事を考えると
    どうして〜⁉…と複雑な気持ちになるのだが…。

    でも最後に出かけた「津軽」旅行が
    心安らぐ素敵な旅行だった事が
    わかる作品だったので…
    良かった〜

    • 土瓶さん
      傍らに珈琲を。さんに勧められて読みました。
      そしてチーニャさんへ。
      次は誰が読むのかな。

      たけとの再開は、たけの思いは本当によかっ...
      傍らに珈琲を。さんに勧められて読みました。
      そしてチーニャさんへ。
      次は誰が読むのかな。

      たけとの再開は、たけの思いは本当によかった。
      2024/01/30
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      土瓶さ〜ん、こんばんは!
      は〜い、私も読んでみたくなりましたよ、やっぱり良かったです。
      たけとの再会のところは泣けてしまいますよね…ホント。...
      土瓶さ〜ん、こんばんは!
      は〜い、私も読んでみたくなりましたよ、やっぱり良かったです。
      たけとの再会のところは泣けてしまいますよね…ホント。
      この本、お薦めいただかなくては手にしない本でしたよ。お二人に感謝してます…♪
      それから土瓶さん…
      インフルだったんですか…?
      心配してましたよ…。
      大変でしたね…。インフル、辛いかったでしょう…。
      …無理なさらないようにお過ごしくださいね!
      ありがとうございました。
      2024/01/30
    • 土瓶さん
      こちらこそ~(⁠๑⁠¯⁠◡⁠¯⁠๑⁠)
      こちらこそ~(⁠๑⁠¯⁠◡⁠¯⁠๑⁠)
      2024/01/30
  • 太宰の人間臭さを愛おしく感じられるエッセイ。旅行記として面白いがやはりそもそも文章が上手い…。ラストのたけとのシーンは特に良かった。


  • 1.おすすめする人
    →日本文学に興味がある、太宰治を知りたい

    2.内容
    →太宰治が津島修二として津軽を旅した記録。
     小説の途中は、風土記のような、
     津軽の伝承や文化を解説することが多い。
     やや退屈かと思いながら読み進めると、
     津島修二の友人との他愛もない話が楽しめる。
     最後の「たけ」と呼ばれる人に
     会いに行く津島修二の様子は、
     まるで恋人に会いに行くような気持ちを
     味わわせてくれる。

  • 大橋さんリリース

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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