ハーシュ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101014616

作品紹介・あらすじ

東京荻窪の閑静な住宅街で、新婚夫婦が惨殺された。凶器は手斧。意味不明の遺留品が残され、血まみれの若妻は、結婚式場のパンフレットを口中に押し込まれていた。かつて吉祥寺で起きた類似事件と関係があるのか。謎めいた密告、捜査幹部と被害者の秘められた関係。捜査は泥沼化し、またも新婚夫婦が手斧で殺される……。苛酷な真相と重い衝撃が胸を抉る傑作ミステリー。『酷ハーシュ』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 前川裕『ハーシュ』新潮文庫。

    『酷 ハーシュ』の改題、文庫化。1年半程前に単行本で既読であるが、文庫化されたので再読。

    ノンフィクション風ミステリー小説である。何とも言えない嫌な感覚と背後が気になるような不安感……一体、犯人は誰なのか……誰もが怪しい。

    前川裕は実質的なデビュー作の『クリーピー』以来ずっと読み続けている作家であるが、作品の出来にかなりの山谷があるように思う。本作は出来としては面白い方なのだが、物語の世界を余りにも狭い範囲にまとめてしまったことが少し残念に思った。

    新婚夫婦を手斧で惨殺するという猟奇的な殺人事件を発端に次々と連鎖していく狂気……事件を捜査する刑事の手塚京介は少しずつ狂気の闇に飲み込まれていく。

    本体価格670円
    ★★★★★

  • 手斧で惨殺される新婚夫婦。
    昔の事件と今の事件が交差する。
    刑事の手塚はその事件を追う。
    物語は二転三転し…果たして犯人は誰なのか?

    とてもリアルに書かれていて、臨場感あり!
    展開もおもしろく、ガンガンと読めちゃいました。
    途中、犯人のヒントがポンと出てきて
    『もしかして犯人はアイツか?』てな感じで
    分かってしまいました。

    他の作品も読んでみたくなりました。

  • 注! 内容に触れています




    この著者って、何を描きたいんだろう?
    残酷な殺人事件の話を書きたい。まず、それはあるんだろう。
    あと、そこに、エロエロな場面も入れたいというのもあるんだろうし。
    さらには、残酷な殺人を犯す殺人者を徘徊している、不気味な雰囲気を全体に纏わせたい。
    それもあるはずだ。

    ミステリー(謎解き)の要素は、どうなのかなぁー。
    その点を、著者がどう考えているかはわからないけど。
    とはいえ、まー、エンタメ小説では本を読ませるエンジンとして“謎”は絶対必要だから。
    というか、書いている方としても、その要素があったほうが書きやすいだろう。
    だからか、よってか、ミステリー要素も入っている。


    なんてことを思ってしまったのは、たぶん、そのどれもが物足りないって思ってしまったからなんだろう(^^ゞ
    なぁーんか、全部中途半端。描ききってない。
    …ように思えて仕方がない(^^ゞ

    ていうか、一つ一つの場面にミョーに現実味がないのよ。
    読んでいて、頭の中に像が結ばれないの。
    いや。途中までは浮かんでくるんだけど、読み進めていると、それが“消えちゃう”みたいな…。

    プロローグの殺人なんか、まさにそう。
    殺されちゃった夫婦はエッチしている最中に襲われたっていうことだけど、ダブルベッドだよね。
    ダブルベッドといったら、横幅がかなり広いし。ベッドだから、クッションもきいいている。
    つまり、普通に考えるなら、横幅の広いベッドの真ん中でエッチしている二人を手斧で襲うとなったら、犯人はベッドに乗らなきゃ無理だと思うのだ。
    でも、そこはベッドの上。クッションがあるから、手斧を振るうのに足の踏ん張りが効きにくいはずだ。
    襲う相手はまったく無防備な状態だったとはいえ、エッチしているんだから、たぶん、それなり動いていたはずだ。
    エッチだからって動いているとは限らないわけだけど、この著者の場合、絶対エッチラオッチラ激しく動いているイメージで書いているはずだ(爆)
    そういう状態で、一撃で即死に近い傷を負わせられるもの?

    ていうか、それよりもイメージが湧いてこないのが、旦那のあれが奥さんのそこに入ったままだったという話。
    だって、犯人は男の後頭部を手斧で襲ったわけだよね?
    てことは、普通に想像するならば、男は襲われてもなお、反射的に体は逃げようとするはずだ。
    だとしたら、アレはソコから外れるよね?(^^ゞ
    でも、入ったままだった。
    だとしたら、旦那はほぼ即死だったっていうことになる。
    即死だったということは、そのまま奥さんに覆いかぶさることになるはずだ。
    普通、男は女より背が高いから。覆いかぶさるということは、(犯人からは)奥さんの上半身が隠れるはずだ。
    でも、奥さんが手斧で襲われたのは顔だ。
    ということは、普通に考えるなら、犯人は奥さんに覆いかぶさった旦那をどかさなきゃならない。
    どかしたら、アレは抜けるよね!?w

    というかー、最初の方に、事件を通報した隣の住人は、“ほとんど鳴き声に近い男女の声が、微かに糸をひくように…”、そして、“ほんの一瞬、うめき声のような音声がかなりはっきり聞こえた”と証言したとあるけど。
    仮に、“うめき声”が旦那が襲われた時に発した声だとしたら、“ほとんど鳴き声に近い男女の声”っていうのは、どういう状況で発せられた声なの!?
    もはや、皆目検討つかん!(^^;

    あと、殺された夫婦は、そのマンションに新婚で越してきたらしいけど、普通、結婚して新居をかまえた夫婦が6畳の和室にダブルベッドを置く?
    部屋がいくつあるマンションか知らないけど、隣の通報者はたぶん一人暮らしなんだよね。
    ということは2LDKか、広くても3LDKだよね。
    普通、そんなマンションにダブルベッド入れるぅ?
    いや、友人や知り合いの話を聞いても、ダブルベッドっていったんは考えるらしいのよ。
    でも、みんな、その大きさで絶対あきらめるものらしいよ(^^ゞ


    冒頭のそれで、後はもう、「あー、また出てきた。ショートパンツ」って感じで(爆)
    また手斧で殺されようが、血まみれだろうが、なんかもう全然現実味なし(^^ゞ
    ていうか、犯人を隠すために、犯人じゃない人を犯人っぽく書きすぎ!w
    あれじゃぁ、隠している犯人を「本当の犯人はコイツなんだよ」って強調しているようなもんだ。
    あと、この手の話にしては、スピード感がないかなぁー。
    そう。たぶん、そこ。 
    それがないから、この著者って、なにを描きたいんだろう?と考えちゃうんだと思う。

    ま、あれかなー。
    前に『死刑にいたる病』を読んだ時にも感じたんだけど、残酷で嫌ぁーなシーンはイッパイあるのに、そのシーンに現実味が全然ないから、読んでいて全く嫌な気持ちにならない。
    この著者や『死刑にいたる病』みたいな小説の良さって、そこなのかな?

  • 猟奇殺人の闇ー

    ーエグミスの極致ー

    この謳い文句に惹かれ

    期待して読んでたんですが…
    私には合いませんでした。


    ちょいちょい出てくる性描写がね。
    うん。駄目だった。
    そこ求めてないからー!!ってなってしまった(苦笑)


    期待してただけに残念です。

  • 猟奇殺人が立て続けに起こる。犯人は誰なのか?警察関係者の犯行なのか?というお話。引き込まれて読んだ。

  • 東京荻窪の閑静な住宅街で、新婚夫婦が惨殺された。凶器は手斧。意味不明の遺留品が残され、血まみれの若妻は、結婚式場のパンフレットを口中に押し込まれていた。かつて吉祥寺で起きた類似事件と関係があるのか。謎めいた密告、捜査幹部と被害者の秘められた関係。捜査は泥沼化し、またも新婚夫婦が手斧で殺される……。苛酷な真相と重い衝撃が胸を抉る傑作ミステリー。

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著者プロフィール

現在、関西学院大学理学部准教授・宗教主事。2010 年より日本聖公会京都教区ウイリアムス神学館非常勤講師。
著書『新約聖書解釈の手引き』(共著、日本キリスト教団出版局、2016 年)、『新約聖書の奇跡物語』(共著、リトン、2022 年)訳書E. ギューティング『新約聖書の「本文」とは何か』(新教出版社、2012 年)、R.カイザー『ヨハネ福音書入門―その象徴と孤高の思想』(教文館、2018 年)など。

「2023年 『今さら聞けない⁉︎キリスト教 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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