冬の蜃気楼 (新潮文庫 や 28-12)

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  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101018225

感想・レビュー・書評

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  • 山田太一2冊目
    こっちはそんなに良くなかった

    22歳の新米助監督の石田と17歳の女優の瑠美と40代で大根役者の羽柴たちのはなし
    これどういう話の展開になる??って思いながら読んでたら最後33年後に石田と瑠美が再会し、羽柴の家で昔話をしていたら記憶が曖昧でお互い色々なことを覚えてるようで忘れてるみたいな感じで終わった

    この人の記憶の曖昧さって残酷だな〜って思う

    この石田は瑠美を騙してベッドに縛り付けてる羽柴をゴルフクラブで殺した(実際はマネキンで殺してない)記憶が強く残り自分は衝動的にそういうことをする人間なんだって思って人を避けて今まで生きてきたけど、このことを二人は覚えてない
    っていうのは衝撃的だったけどそんなもんだよなぁと思った

  • 不思議な読了感。
    最終章、語り手の情報の不確かさで足元がぐらつく感じがとても好き。小説では語り手の視点が事実と先入観を持って読んでしまうがその点を突かれたよう。
    事実と非現実が、私生活と役上の人間が入り乱れるという俳優の話、千年女優と似たものを感じる
    何が演技で何が真実かわからない主人公のはずが、主人公の記憶すら曖昧で読者まで戸惑わせる。
    僕は好き。

  • 山田太一さんの独特の作風

    今回の舞台は私が生まれる20年以上前の話・・・

    私が読んでのは1990年代後半、過去への憧れというのか、そんなこともあり、すごく好きな作品の1つ

    時は1958年
    映画撮影所を舞台として物語が始まる。
    22歳、大学を卒業したばかりの助監督、新人女優16歳の美少女、中年の役者

    舞台は、映画撮影場が大半を占めるが、その状況描写や雰囲気が子細に伝わってくる。

    青春といえる時代をじっくり温かくも切なく感じることのできる1冊

    1950後半から1960年代に対するあこがれは非常に強い・・

  • 本人自ら病でもう書けないとの記事を読んで再読、うーん、★2.5かなぁ。
    率直に言ってこの物語を語る必然性というか、思いが感じられなかった。主観的でどうしようもない直感ですが、そう思ったのだから仕方ない。
    主人公の淡い恋(?)の描写にしては何かピントがぼやけている。当方、実はこの方の脚本ドラマ全盛時に生きていない(見ていない)ので何ですが、再放送等でドラマを見た限りもっと質が高いと認識しておりますので、そことの比較で評価を下げているやもしれません。

  • なんだか良く判りませんでした、というのが素直な感想。
    羽柴の存在も中途半端な気がするし、瑠美との淡い恋物語も。。。
    何より終章。何を言いたかったのか?
    一つ一つのシーンは悪くないように見えるのですが、作者の描きたかったものが何なのか上手く伝わってこない。そんな作品でした。

  •  先の大戦から十数年ー。この春から助監督をしている石田は中国モノの撮影をしている時に羽柴重作と出会う。羽柴の芝居は「呪われているように下手」で、監督に怒鳴られてばかり、スタッフからも軽蔑の空気が漂っていた。その撮影現場で石田と羽柴は一人の少女と言葉を交わす。
     その後、巨匠と評される監督のもとで映画の撮影に入った石田は、あの時の少女、中西瑠美と再開する。瑠美のあどけないながらも完璧な美しさに惹かれる石田。突然連絡をよこした柴田。3人を中心に繰り広げられるストーリー。

     読み切ったのちにどうにもわからないモヤモヤが残った。中盤までは事もなく物語は進み、石田と瑠美の関係の発展の行方、下手ではあるが、あくまで役者であり、時には尋常ならざる役者魂を見せてくれる羽柴、これらがどのようなラストに辿り着くのか期待を膨らませたが、結果、着地点はどうにもスッキリしないものだった。うーん、なんとも評価し難い。

  • なんとも不思議な物語だった。しかしぐいぐい引き込まれる。おもしろい。

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著者プロフィール

1934年、東京生まれ。大学卒業後、松竹入社、助監督を務める。独立後、数々のTVドラマ脚本を執筆。作品に「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」他。88年、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。

「2019年 『絶望書店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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