アルマジロの手:宇能鴻一郎傑作短編集 (新潮文庫 う 28-2)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101030524

作品紹介・あらすじ

彼は「手が……アルマジロの手が」というばかりだったのです――。不気味な緊張感を孕む怪奇な作品「アルマジロの手」、美しい姫君に恋をした狸の哀切「心中狸」、むさぼり喰らう快楽にとり憑かれた男の無上の幸福「月と鮟鱇男」の他、「海亀祭の夜」「蓮根ボーイ」「鰻池のナルシス」、そして甘美な爛熟世界に堕ちた男を描く傑作「魔楽」を収録。官能の深みと生の哀しみを短編に昇華させた七編。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作のアルマジロが特に圧巻だったな。

  • 「アルマジロの手」
    怪談としてはオーソドックスなパターン
    南米風に味付けしている

    「心中狸」
    夜の淡路・洲本城にて化け狸の悲恋話を聞く
    もてない男は悲観的

    「月と鮟鱇男」
    若い愛人に会社をのっとられるおっさん
    自然界に定められた負け組

    「海亀祭の夜」
    徳島の東南部じゃ海亀の産卵をことほぐ
    亀には迷惑かもしれない

    「蓮根ボーイ」
    終戦直後、福岡市西部の沼沢地にて
    最底辺の労働に従事する美少年

    「鰻池のナルシス」
    母親への愛憎が張り合う心を産み
    少年をホモセクシャルに導く

    「魔楽」
    ホモセックスの快楽は精神的なものに限定される
    そう決めつけながらも興味は尽きない

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著者プロフィール

宇能鴻一郎(うの こういちろう)
1934年、北海道札幌市生まれ。本名鵜野広澄。家族4人で、東京、山口、福岡、満洲国(現中国東北部)撫順、長野県坂城と移り住み、満洲国奉天にて終戦を迎える。福岡県立修猷館高校から東京大学教養学部文科二類に入学。修士課程在学中の1961年、仲間たちと創刊した同人誌『螺旋』掲載の「光りの飢え」が『文學界』に転載され、これが芥川賞候補となる。次作の「鯨神」が翌年1月に芥川賞を受賞。以後おもに性を主題として新しい文学を切り開くが、文壇では正当に評価されず、1971年から徐々に女性告白体の官能小説に軸足を移した。歴史小説、ハードボイルド、推理小説でも独自の世界を築いている。
 主な著書に『密戯・不倫』『楽欲(ぎょうよく)』『痺楽』『肉の壁』『黄金姦鬼』『お菓子の家の魔女』『切腹願望』『金髪』『斬殺集団』などがある。

「2022年 『甘美な牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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