短歌と俳句の五十番勝負 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101040417

作品紹介・あらすじ

荒木経惟、北村薫、谷川俊太郎、壇蜜、又吉直樹、中江有里、柳家喬太郎……。作家、詩人はもちろん、写真家、女優、タレント、芸人から、出版社社長、編集者、書店員、牧師、小学生まで。様々な職業の五十人から寄せられたお題で、歌人穂村弘と俳人堀本裕樹が真っ向勝負! 気鋭の二人は多彩なお題をどう詠むか。それぞれの短歌と俳句を自由に読み解く愉しみを綴るエッセイを各編に収録。

感想・レビュー・書評

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  • 新潮社のPR誌「波」の連載。
    お友達からお題を募って、ふたりで題詠したもの(本来すべてがいいわけではないので、玉石混淆はやむなし)を、エッセイ風に自作解説した上で、二度にわたって対談で褒めそやす。
    なんという企画。
    でも本来歌界や句会ってそんなもんだろうし、作品性の違いというか世界の捉え方の違いみたいなものが見えて、結構面白い。
    穂村さんはファンタジーや架空の夏を設定。
    堀本さんは自身の体験や季語から発展。
    もちろんそれぞれ幅はあるけど。
    短歌と俳句の違い、それぞれにフィットした味方なんだろうな、とも。
    出題者ー作者ーもうひとりの作者ー読者という関係の中で生まれる・立ち上がる場。
    おおっと思ったのは、

    ・街師走信じられない多情の日
    ・秋蝉(しゅうせん)の尿(しと)きらきらと健次の忌
      ※8月12日中上健次没。堀本は和歌山生まれ。
       題詠ではない、エッセイ中での自作引用。
    ・切り口の楕円うつくし胡瓜漬
    ・妹の寝顔の上の蟻を吹くおいてけぼりのアリスの姉は

    解説の壇蜜もナイス。

    (1)椅子 穂村弘 歌人
    (2)動く 堀本裕樹 俳人
    (3)たまゆら 北村暁子 編集者
    (4)信じられない 藤野可織 作家
    (5)風見鶏 竹本健治 作家
    (6)まぶた 松家文子 大学生
    (7)唾つば 又吉直樹 芸人
    (8)かわいい 名久井直子 装丁家
    (9)挿入 荒木経惟 写真家
    (10)流れ 鏡リュウジ 占星術研究家
    (11)カルピス 高橋久美子 作詞家
    (12)謀叛むほん 北村薫 作家
    (13)たしなめる 柴崎友香 作家
    (14)ゆとり 朝井リョウ 小説家
    (15)黒 千田朝子 小学生
    (16)水際 中江有里 女優
    (17)ぴたぴた 谷川俊太郎 詩人
    (18)背骨 菱刈チ力 整体師
    (19)四十八 道尾秀介 作家
    (20)放射線 新妻香織 相馬市議会議員
    (21)夢精 ビートたけし コメディアン
    (22)客 柳本あかね 「茜夜」店主
    (23)塗る 堀江敏幸 作家
    (24)文鳥 梅崎実奈 書店員
    (25)罪 北村篤生 牧師
    (26)ロール 寺島さやか 「本屋B&B」店長
    (27)はにかむ 石田ゆうすけ 旅行作家
    (28)古本屋 広瀨洋一 古書店主
    (29)ゲーム 米光一成 ゲーム作家
    (30)誕生日 千野帽子 文筆業
    (31)部長 長嶋有 作家
    (32)稲荷 布上智範 イタリア料理店店長
    (33)逃げる リヒト モデル
    (34)適性 西崎憲 作家
    (35)舞台 柳家喬太郎 落語家
    (36)楕円 竹内亜弥 女子七人制ラグビー日本代表
    (37)着る 祐真朋樹 スタイリスト
    (38)腹 佐藤隆信 出版社社長
    (39)描く 師岡とおる イラストレーター
    (40)歌う 大住憲生 ファッションディレクター
    (41)やわらかい 会田朋代 幼稚園教論
    (42)安普請 壇蜜 タレント
    (43)ふるえる 青柳いづみ 女優
    (44)瀬戸内海 田丸雅智 ショートショート作家
    (45)おいてけぼり 小松孝知 運送業
    (46)愛嬌 山田邦子 出版社受付係
    (47)うらはら 五戸真理枝 「文学座」劇作
    (48)忖度そんたく 迫田朋子 ジャーナリスト
    (49)共謀罪 藤田直哉 文芸評論家
    (50)ぴょんぴょん 馬場あき子 歌人

    【穂村弘×堀本裕樹】あとがき対談
    【穂村弘×堀本裕樹】対決! 短歌と俳句 公開勝負
    解説 壇蜜

  • まだ最初の数ページしか読んでいませんが、すでにおもしろいです。穂村弘✖️堀本裕樹の短歌俳句勝負、最後まで楽しみたいと思います!与えられたお題に向き合っている2人の様子が目に浮かび、ふふっと笑みが溢れますよ〜

  • 五十番勝負だから、1日一番ずつ読もうかなーなんて思っていたが、面白すぎて、さくさく読めてしまいました。

    「俳句」と「短歌」って、同じようなものだと思っていたけれど、全然違うことに驚き、短い中に込められたいろいろなものが湧いてくるようで、浸りきりました。

  • なんか、掲載順が
    短歌→俳句
    なのって、不公平ではないのだろうか。

    同じお題なんだから、文字数少なくて制約条件がきつい
    短歌
    を先に持ってきてあげるべきなのでは?

  • 短歌や俳句に明るくない人にも楽しめる一冊だと思う。それぞれの句に書かれたエッセイのような解説もとても面白い。日本語って、奥深いなあ、素晴らしい言葉だなあ、と改めて思わされる。この共著の二人の他の作品ももっと読んでみたいと思う。そして、願わくばこのお二人のような句を私も詠めたらなあ…
    日常のなんでもない風景を、ただ見過ごすのではなく、その時々、大切にする。その時の自分の感情を忘れないようにする。それだけで日々がもっと豊かになると思う。

  • お題を出す人の人選と、その人がどんなお題を出すのかも見どころ。
    壇蜜の安普請とかアラーキーの挿入とか…

  • 異化とリアリティ。31文字という長さが異化を許容するのか。17文字だと現実にチューニングするしかないか。

  • 「波」に連載されていたらしい。対談含め、勉強になるし面白い内容だった。

    好きだったやつ。
    火星移民選抜適性検査プログラム「杜子春」及び「犍陀多」  穂村弘

  • 短歌と俳句って全然違うんだなと。
    兼題にも個性が出ていて面白かった。

    個人的好きな句
    左目に震える蝶を飼っている飛び立ちそうな夜のまぶたよ
    カルピスの氷ぴしぴし鳴り夕立
    湯ざめして背骨の芯のありどころ
    蒼海を描く子の袖にゐのこづち
    やわらかいひかりに頬を照らされてポカリスエットだけの自販機

  • 頑ななわが脳みそよぷるぷるに溶かしてたもうコトダマの波

    壇蜜さんのあとがきもステキです。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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