デッドライン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101041612

感想・レビュー・書評

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  • 哲学がエンタメとなって、元々哲学に関心のなかった層にも手の届くところまで降りてきた、というイメージを持った。國分功一郎さんの本が話題になったりと、最近フランスの現代思想の流行を感じるが、少しでも齧ったことのある人は楽しめる作品になっていると思う。

    主人公は同性愛者の院生で、ドゥルーズの生成変化について修論で書くことになる。ドゥルーズ+ガタリの『千のプラトー』には、人間、男性、支配者→動物、女性、支配からの逃走という生成変化について語られている(らしい。未読で、本書に出てきた内容をうろ覚えのまま書いているのでご参考までに)
    「ドゥルーズは、生成変化を言祝いだわけです」という先生の言葉が印象的。

    同性愛の当事者の若者は、研究を通して、自分が男性でありながらすでに女性に生成変化を遂げていて、同時に男性性を希求している、という立場であることを自覚をする。ドゥルーズは女性→男性の生成変化については言及していない。他者(友人、親、研究対象のドゥルーズとさえも)とのズレ、それによる違和感、自分の性、自分が希求することついて考える様子が、淡々とした筆致で描かれていく。静かな孤独感の中で。それが嫌に生々しい。違うっていうのは、こうも孤独なんだなぁ。

    結局主人公は、ドゥルーズの研究を進めても自分の生き方の答えは見つけることができなかった。「少女のしっぽ」を探すというヒントは見つけたが、捕まえることはできなかった。物語は終わっても主人公の研究続いていくみたい。

    めちゃくちゃ性描写が多く生々しいので、好みは分かれると思う。
    私は初めかなり戸惑ったが、そうしないと語れない何かがあったのかな、と思い、「テクストの現実に従う」ことにした。好き嫌いも二項対立である。好みではないが嫌いの枠に入れない。そのあいだに身を漂わせて、書かれていることをそのまま読む。

    正直好みではないが、哲学書を何冊か読んでから次はメタの視点で再読したい。構造を俯瞰することでわかるメッセージがあるように感じている。

  • いちいち哲学を出してくるのが、正直
    面倒であまり好みではない。
    性愛の表現についても、正直、何度も
    本を閉じたくなった。
    人称の工夫など斬新さは感じたが、
    何度も読み返したいとはおもわない。

  • 三軒茶屋から下高井戸へと至る世田谷線の中間地点、上町だった。 久我山に来てから僕はそのドンキで 昔の話が温泉みたいに噴き上がってくる 大らかなイントネーションに乗せた細やかな革命がいつだって起こり得たし 締め切り(デッドライン)の冬は確実にやってくる ことほぐ言祝ぐ

  • 著者に興味を持ち、哲学者が書いている小説ってどんなものだろうと読んでみた。

    正直わたしには少々難しかった。
    主人公が呼ばれるときに○○とされていることや、KはKと呼ばれていること、ちょっとした点で疑問が残る。

    ただシーンや時系列がコロコロと変わるのが新鮮だった。

    著者の他の本を読んで勉強したい

  • 私にはレベルの高すぎる文章だったけど
    コロコロ変わる場面とか
    あの時の話が今考えることと繋がる瞬間とか
    ほんとに今そこで生きてる人の
    頭の中をのぞいてるみたいで
    楽しかった
    でも話はよくわからなかった、、、
    哲学者すぎました><
    予備知識がしっかりあればもっと
    思想の話とか理解できたかも

  • とても読みにくい。思想にも共感できない。

  • 記録

  • 千葉さん、小説書いたんだね。

    対象として好き(=欲求?)なことと、
    なりたいと思う(=憧れ?)こと、
    似てるようで違うことだよなあと。

    あと、誰からも連絡のない一日というものを
    もう経験することがないのではと愕然としたり。

    ドゥルーズを修士論文のテーマとする
    哲学科の大学院生が主人公。

    ドゥルーズの生命哲学のエッセンスが
    こめられているものと思う。

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著者プロフィール

1978年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。
著書に『意味がない無意味』(河出書房新社、2018)、『思弁的実在論と現代について 千葉雅也対談集』(青土社、2018)他

「2019年 『談 no.115』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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