野菊の墓 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101048017

感想・レビュー・書評

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  • なんで今まで読んでこなかったのだろう。
    求めていた話がここにあった。
    1900年代発表なのも驚き。
    似た雰囲気の作品があればそれも読みたい。

  • 綺麗で美しく、切なくて残酷。そんな気持ちになりました。

  • 人を慕う純粋な気持ちが清々しくも哀しいくらいに伝わってくる。

  • 北村薫著、秋の花より。
    再読するたびにいつか読もうと思っていたコチラをようやく手に取る。

    普段あまり遣わない漢字や言葉が多くて、そういえば私、小説たくさん読んできたつもりだったけど、いわゆるクラッシックな名作っていうやつはあんまり読んできてなかったな、ということに思い至った。

    と、いうことで読み慣れない古い言葉や漢字に悪戦苦闘…、
    短編で良かった。

    お話のスジは主人公政夫が、思春期の入口にいた頃、仲の良かった2つ年上の従姉妹とのその関係を周りにとやかく言われ始めたことから意識してしまい、お互いプラトニックな恋心を通わせたタイミングで親や親戚からその仲を引き裂かれ、従姉妹は望まぬ結婚をさせられ、失意のうちに若くして亡くなり…という思い出を振り返って語る、というもの。
    従姉妹…民子の亡くなった理由としては嫁に行き、身重になったものの、子どもはおりてしまい後の肥立ちの悪さゆえ、ということらしい。
    縁談を断る民子に、政夫の母が言い放つ言葉がなかなか厳しく、また、嫌がる彼女に強引に縁談を勧めた家族の圧も結構しんどかったことだろう。
    実際、民子の死に際して政夫の母も民子の家族も大きな責任を感じている。

    物語は過去の政夫の視点で進む。

    民子の死を伝えた時の、母の詫び言、
    墓に参った政夫を出迎えた民子の家族の詫び様に、1番感情を動かされた。
    政夫に民子との仲を引き裂いたことを涙ながらに詫びる。
    さらに政夫に民子の死、その一部始終を涙ながらに聞かせる。
    …いやいや、皆さん、
    それでその罪悪感から逃れようとしていませんか?
    …なんなんだ、この人たち、と。
    秋の花の正ちゃんは、政夫に随分ご立腹でしたが、私は民子が亡くなった後の政夫の母や、民子の家族の詫びようになんだかとてもイライラしてしまった。

    いやマジで、
    民子の嫁行った先のお家の方にもめちゃくちゃ失礼だろうよ。

    2人で茄子をもぐシーンや、綿の畑で過ごす時間、野菊と竜胆のやりとりなど、繊細で美しいところもあったけど、
    実はイマイチ政夫や民子にも共感できなかったんだよな。
    時代認識の差なのかなー…。

    共感ではないが、同情するとしたら、民子の嫁ぎ先の旦那さんに1番同情した。
    (おそらく待望のお子さんも亡くなってるわけだし)

    とは言え、読み慣れない文体にも関わらず、なんだかんだで感情を動かされる。
    美しい悲恋に感動で涙が流れる…という動かされ方ではないけど、集中が途切れず一気に読めたのも良かった。

    あ、ほかの3編もじわじわ面白かったです。

  •  
    ── 伊藤 左千夫《野菊の墓 1906‥‥ 19551027 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101048010
     
    (20231126)

  • 技巧的な面白さは
    ないかもしれないけど
    牧歌的な昔の日本を味わえた

    2歳の差が
    こんなに壁になるなんて
    現代の人達には
    分からない感覚だろうなぁ...

    椙山書店にて購入

  • 優しくて控えめな少女と、近所に住む2歳年下の少年の純粋な初恋の話。
    子供の幸せを願って、2人を離れ離れにする大人たちが、結局は子供たちを不幸にしてしまう。悲劇の中にあっても、親を責めずに慰めの言葉をかけ、自分自身が強くなろうと決意する少年の強さに感動した。
    大人から見ると子どもは未熟に見えるが、子どもなりに自分自身の感情を受け止めて、人生を決めていけるということを信じなければいけないタイミングがあるんだろうなと思った。

  • 正岡子規に師事していた伊藤左千夫
    酪農家でもあった
    写生の人。

    表現せずには生きられない
    文学は道楽ではない「去年」
    八女との食卓。生活と文学。

  • 何度読んでも味わいのある素晴らしい名作だと改めて思いました。
    最初に読んだのは、中学生の頃だったと思います。大泣きしました。何と悲しいお話なのだろうと思いました。その後も何度か読み今回。情景描写の美しさ、格調のある文章等読みつがれる理由がよくわらりました。
    時を戻すことはできない。その時々を悔いなく生きなければという気持ちが、強く残りました。

  • 十五歳の政夫と二つ年上の民子。
    幼い清純な恋は、大人たちのために隔てられてしまいます。
    政夫は町の中学へ、民子は心ならずも他家に嫁ぐことに。
    そして間もなく病死。
    今尚、可憐な恋物語として読者の共感をさそい続ける『野菊の墓』。
    再読ですが、若い時とは違って、今になって分かることもあり、改めて、良い作品だなと思いました。

    幽明遥けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ。 ー 91ページ

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