猟銃・闘牛 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063010

感想・レビュー・書評

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  • 2013年2月20日、読了。

  • 猟銃、なかなか面白かった。

    あまり不幸な空気が漂ってないのがいい。当事者は誰も出てこないし。

  • お金の価値とかに時代を感じる。

    それでも、井上靖の作品は、はっきりとその感情がなんなのか述べられていなくても、理解ができるところが凄く面白いと思う。
    自分が感じていて、なかなか外には現せないような感情が、誰にでも、どんな時代の人にもあると思えるから、面白い。


    それにしても、本のレビューを書く以上、誤字脱字には特に気を付けるべきだ。
    偉そうに評価しておいて、どう入力したらこんな間違いをするのだろうと思われるような誤字のある文章は、薄っぺらさを露呈しているだけ。

  • 闘牛」は、井上靖の第二作目の作品である。処女作は『猟銃』で、芥川賞の候補には、この二作とも選はれていた。が、第二十二回の芥川賞は『聞牛」に決定している。

    新聞社内部の実話をもとに

     『聞牛』は、新聞社内部を描いたモデル小説だと言われている。モデルとなったのは、新大阪新聞が行った闘牛大会である。作品では伏せ字にしたり名社を変えてはいるが、阪神球場というのは、西ノ宮球場。B新聞というのは、井上賭がいた毎日新聞社であり、大阪新夕刊というのが、新大阪新聞のことである。生人公津上は、新大阪新聞の小谷正一氏のことであるが、そこまで現実と重複(だぶ)らせては、ノンフイクション物になってしまう。この小説は、あくまで、 『闘牛大会』という背景を借りた、恋愛小説として勝むべきである。
     同じ新大阪新聞社の創立当時を扱った小説に『夕刊流星号」があり、作者の足立巻一も社員であった。内部から見たエピソードのひとつとして書かれている「闘牛大会」の部分を合わせ読むと、さらに興味深い。

    終賭直後の生きる手懸りを”賭ける”

     編集局長である主人公は、たえず行動に駆り立てられながらも、行動の裏側には孤独とニヒリズムの影がまといつている。彼は、W市て年三回開かれる闘牛大会では、観衆の殆ど全部が牛の競技に賭けていると闘き、それだけで、社運を賭した闘牛大会をやろうと決める。
     『賭ける、これはいけると津上は思う。阪神の都会で行っても、W市と同じようにそこに集まる観衆のすべては賭けるだろう。終戦後の日本人にとっては生きる手懸かりといえば、まあこ人なところかも知れないと、津上は思う』
     彼は闘牛大会の実現に奔走する。久しぶりに会いに来た恋人のさき子さえ、じゃまあつかいに冷たくする。闘牛大会の初日、二日目と雨が降り、興行的には失敗する。が、津上は無感動に、競技を進行させている。これをみていたさき子は言う。
      『あなたは初めから何も賭けてはいないのよ、賭けれるような人ではないわ』
     しかし、反対に津上から、君はどう?と聞かれて、『もちろん、私も賭けてるわ』と 答える。実際さき子は賭けたのだ。いまリングの真中で行われている二匹の牛の闘争に 賭けたのだ。赤い牛が勝つたら津上と別れてしまおうと…。
      終戦直後に書かれた作品でありなが、今読んでも、不思議と古さを感じさせない。
     さき子の自立した生き方などは、現在そのものである。津上の生き方は、験争を深く体験した日木人の姿であり、五木寛之の作品に出てくる男の姿に似ているように思うのは、私だけだろうが。

  • びっくりするような体験は無かったが


    安心して読めた

  • あなたは愛される一生を選ぶか、愛する一生を選ぶか。女学生だったヒロインたちの日常生活での一言は、その後の私の人生に大きな影響を与えた。

  • 短編3作。一所懸命に生きてる主人公に孤独感が漂う。10.11.14

  • 「闘牛」の題材になった定期興業は口蹄疫で約60年ぶりに中止に。代わりに読みました。それぞれの話で、みな孤独そうなのが良い。

  • 宮本輝さんが、雑誌の中で「人間同士の言うに言われん相性みたいなものを絶妙な言い方で表現していますね。…本当に名作ですよ」とおっしゃっていたので、手にとりました。本当にそのとおりでした。

  • 「猟銃」のみ読了。
    これは確か井上靖の処女小説?かな。
    三人の視点というのが独特で、海辺で羽織を来た女の人のイメージが美しい。
    「詩人」なだけあって、井上靖は小説で書かれる「絵」が美しいです。

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著者プロフィール

井上 靖 (1907~1991)
北海道旭川生まれ。京都帝国大学を卒業後、大阪毎日新聞社に入社。1949(昭和24)年、小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950(昭和25)年43歳デビュー。1951年に退社して以降、「天平の甍」で芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」で日本文学大賞(1969年)、「孔子」で野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章。現代小説、歴史小説、随筆、紀行、詩集など、創作は多岐に及び、次々と名作を産み出す。1971(昭和46)年から、約1年間にわたり、朝日新聞紙面上で連載された『星と祭』の舞台となった滋賀県湖北地域には、連載終了後も度々訪れ、仏像を守る人たちと交流を深めた。長浜市立高月図書館には「井上靖記念室」が設けられ、今も多くの人が訪れている。

「2019年 『星と祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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