- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101069227
作品紹介・あらすじ
音楽にとりつかれた祖父と、素数にとりつかれた父、とびぬけて大きなからだをもつぼくとの慎ましい三人暮らし。ある真夏の夜、ひとりぼっちで目覚めたぼくは、とん、たたん、とん、という不思議な音を聞く。麦ふみクーツェの、足音だった。-音楽家をめざす少年の身にふりかかる人生のでたらめな悲喜劇。悲しみのなか鳴り響く、圧倒的祝福の音楽。坪田譲治文学賞受賞の傑作長篇。
感想・レビュー・書評
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人生相談で、いしいしんじさんの回答を見て、素敵な人だなぁと思ったのでこちらを手にとってみました。
ですが、わたしにはまだ早かったのかもしれない…
文章はとても綺麗でわくわくします。
文の節々にどこか少年を感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読むのに時間がかかりましたが、読み終わってしまうのが惜しいような、長編大作でした。
ファンタジーが好きなので私にはとても面白かったです。どんな本とも似ていなくて、独特でしたし、登場人物が、際立っていました。 -
混沌と秩序、呪いと祝福、グローバルとローカル。
相反するものと出会い、葛藤することで世界は動いていく。 -
一気に読み切ってしまいました。同じリズムで流れていても、音楽は先へ先へと進んでゆきます。変わらないことを抱えながら(あるいは信じながら)、自分に出来ることを黙々と続けることが大切なんだなぁ、と改めて気づきました。
僕たちはみんな「クーツェ」なんですね。 -
#麦ふみのいいもわるいも同じ音風吹く大工と指揮者と素数
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この世で出会う、たくさんの出来事。
自分という人生を初めて生きる僕たちは、翻弄され、右往左往し、コテンパにされることも度々だ。
自分て何者なんだろうとか、生きるってどういうことなんだろうとか、そんな、答えのなさそうな問いかけにについて思い悩んだりして、途方にくれて、くたびれることも数知れない。
でも、そんなこんなも引っ括めて、生きるっていうことなんだって思う。
色んなことに直面して、少しづつ自分がいったい何者なのかってわかってくる。
自分が生きるっていうことが何なのかが見えてくる。
自分の周りに起こることをちゃんと受け止めること。
正しいとか間違ってるとかじゃなくて、ありのままを受け止めるってこと。
それが大事そうだって、やっと最近分かるようになってきた。
麦ふみとは、霜が降りるような寒い冬の日に、霜で盛り上がった土ごと若苗の麦をふみつぶすこと。そうすることで麦が力強くよく育つそうです。そうしないと、麦が弱くなって実りもすくなくなってしまうそうです。いい苗も悪い苗もなく同じようにふみつぶす。つぶれてしまってダメになった麦も畑の肥料になって役立つそうです。
それが麦ふみ。農家の大切な仕事です。
とても素敵な物語です。 -
音楽に取りつかれた祖父と素数に取りつかれた父と、ねこの鳴きまねが上手い「ぼく」が3人で慎ましく暮らすというあらすじから、ほのぼのした童話を連想した。でもそうではなかった。悲劇が次々に降りかかり、それでも希望をつかもうとする話だった。この世に起きる悲劇も喜劇も些細な出来事も、実はどこかでつながっている。へんてこな存在は目立つから、真っ先に火の粉が降りかかる。だから一人でも生きて行けるように、技を磨かなければならない。抽象的で哲学的な、生きることに少し疲れた人を優しく受け入れてくれるような本だった。
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一度読み始めた本は最後まで読む主義のため頑張って読んだけど、自分には理解できない類の本だった。
ただひとつ「音楽のよろこびの大きな部分を合奏のたのしみが占めている。なにかにつながっていること、それをたしかめたい、信じたいがために、音楽家はこれまで、そしてこれからも、楽器を鳴らしつづけるのかもしれない。」という文章は共感できた。また、栗田有起さんの解説「読書とは、文字による合奏に参加することだ。」という言葉には大きな衝撃と共感を感じた。