- Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104461
感想・レビュー・書評
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米軍の語学将校となった賢治。
アメリカへの忠誠を示し、米軍に志願し、欧州に向かった勇。
日本で、帝国陸軍兵士として、出征した忠。
戦争は3人の兄弟を、家族を巻き込んでいく…
ドイツ軍からテキサス大隊の救出にあたっていた勇は…
戦闘の激しさがます、フィリピンで賢治と忠は…
賢治の恐れていたことが…
そして、8月6日、広島…
もう日本の敗戦が決まっているというのに、広島に落とす必要があったのか⁇
戦争とはいえ…
たくさんの一般市民を犠牲にする必要があったのか。
2度とあってはならない。
賢治と忠はどうなっていくのか…
東京裁判は賢治の行く末にどんな影響を与えるのか。
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収容所を出た賢治は、教官として米陸軍日本語学校の教官となった。
一方、両親と娘は、忠誠テストに背きツールレイク収容所に送られた。
父が夢を見、努力してきたアメリカでの暮らし、日米開戦により家族はバラバラとなり、不幸な形で再会することとなる。
物語だから、賢治とその家族の元にばかり色々なことが起こるのは仕方がないこと。
でも、どれもあちこちで起こっていたことと思うと胸が苦しくなります。
エミーもなんで自分で不幸を呼んでしまうのか。賢治の奥さんなのだから、幸せになれたはずなのにと歯がゆい思いでいっぱいです。
終戦を迎え東京裁判へ。
三巻に続きます。 -
日系2世として生まれ育った賢二。
太平洋戦争末期から始まる物語で4巻の連作。
2巻目では戦場での弟との再会、戦勝国として日本に赴く葛藤、かつて恋仲にあった椰子と広島での再会など印象深いエピソードが沢山描かれる。
1巻より徐々に面白味が増してきた。
3巻も楽しみだ。 -
同じ人種、日本人として生まれたのに、その時代、場所が違うだけで差別を受け、命の重みが違うかのごとく扱われる。この自分が生まれる僅か数十年前の今住む日本と過去に住んでいたアメリカで起こっていたことなんだと。今現在を生きる平和ボケした自分の小さな先行きの不安など些細な妄想に過ぎないんだとも。
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フィリピンでも激戦だったとは知らなかった
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2巻は主人公が暗号解読官として戦場に出向く話。
末弟もアメリカ兵に志願するが、ヨーロッパで戦死する。
そして、主人公は、日本在住の日本で徴兵されたもう一人の弟とフィリピンの戦場で再開する。
血を分けた兄と弟が敵味方に分かれて戦場で出会うという最悪の場面が現実となってしまった。
主人公の誤射により弟は足を負傷するが、結果的にそのおかげで命拾いする。が、2人の間に埋められない溝が残る。
本巻の最後は、広島の原爆投下で幕を閉じる。
広島に日系二世が多数在住していたという話は驚き。彼らは祖国アメリカに最悪の形で殺されたようなものである。
1巻から一貫して違和感を覚えるのは、主人公の妻が身勝手な女として描かれていること。
確かに多少ワガママな部分はあると思うが、現代の視点で見ればわりと普通なこと。
当時の感覚では、妻は黙って夫に従うのが良い妻であるという価値観だったのだろう。 -
賢治が迷っている様子がわかる。▼第二次世界大戦において私は在米の日系人の立場における戦争の視点を欠いていた。
折りに触れて、日系人のWWⅡについても考えていきたい。このことは今起こっている戦争についても、そのような立場の人々がいるという視点をもって考慮しなければならないと思った。▼
祖父の国の日本、日系2世アメリカ人としての立場、アメリカ市民として米軍人として求められるもの、日本軍で戦う忠、米軍に入隊しヨーロッパ戦線で戦死した勇、何を選択すれば最善かわからない中で前線へ志願する。
▼日本降伏後、広島に入り賢治は日本のために何か成すべきだと決意する。▼極東国際軍事裁判の通訳モニターを使命と考えた賢治は東京裁判をどう評価し関わっていくのか? -
『ReallyYou?』この辺だけ何度も読んでしまった。。
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物凄く悲惨な描写が続く二巻目。
三巻目は東京裁判から始まるが、これもどの様に描かれていくのか。
二巻目にしてなかなか忍耐力のいる作品です。 -
起きて欲しく無い悲劇がまさに二つの祖国
に分け隔てられ、戦場で合間見れてしまう。
兄弟がそれぞれ戦争という名の悲劇の渦に飲まれ
また、賢治の妻エイミー、チャーリー、椰子
も二世への偏見、そして広島への原爆投下
と日系二世の苦難の新たな歴史が始まってしまう。 -
2巻のハイライトは、二世として生まれた兄弟が戦場で敵味方として対峙するシーンでしょう。同じ日本人の親から生まれ、同じく日本で教育を受けた2人なのに、「運命」と呼ぶしかない状況に追い込まれて糸が絡まっていきます。
そして原爆投下、終戦。3巻は東京裁判。 -
再読。
この巻では、戦地で敵味方に引き裂かれた二世の心情という、山崎さんが描きかった場面が見所ですね。
後半は、原爆投下で一気に時間が進みます。 -
感想は、四巻で。
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一巻に記載
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自らアメリカ軍として、戦場行きを志願した天羽賢治。
賢治の弟、忠は日本軍として招集されていた。
同じ戦場にいる兄弟。
徐々に近づく距離。
緊迫の日々。
戦場で対峙した兄弟。
互いの存在が知れたとき、互いに何を思ったのか。
そして、運命の1945年8月6日午前8時15分。
広島への原爆投下。
焼けただれた人。
何も無くなった大地。
賢治の目に、日本は、広島は、どう映ったのか── -
2巻では戦時中に日本語に通暁している教師としてアメリカ軍に抜擢され、フィリピンで日本軍に従軍した弟忠と敵同士として遭遇し弟忠を誤射するという事件、そして、第4巻につながる想い人である椰子の日本へ帰省した直後の広島被ばくという太平洋戦争末期の悲劇が描かれる。
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山崎豊子『二つの祖国』新潮文庫 読了。太平洋戦争に翻弄される日系アメリカ人、二世たちの物語。主人公は両国を祖国とするアイデンティティを模索し、苦悩と葛藤を抱えながらも善く生きようとするが、その信念と良心ゆえか虚しい結末を迎える。克明に刻まれる東京裁判は本作の真髄のひとつだと思う。
2017/10/18 -
1巻でもかなり過酷な状況であった「日系二世」たちだが、戦争が進むにつれ、さらに凄惨の一途を辿る。
二つの祖国の間で揺れ動く者、片側に阿る者、立場を崩さぬ者、全てに一切の区別なく、その苛烈極まる運命に飲み込まれていく。
戦争や原爆投下後の生々しい表現等、読むのが辛い場面も多々あったが、それでも先を読みたいと思わせる筆力は流石の一言。 -
最初は読むのが苦痛になり、古本屋へ持って行こう、とまで思ったが、チラリと再読していくと、何だか面白くなって来た。第3巻も買った。読み続けるうちに、最初に読んだ色々な場面、人物が記憶の彼方から蘇って来て、それぞれがまた生き生きとして来る。本は最後まで読み続けると良いことがあるものだね。