- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101115115
感想・レビュー・書評
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個人的には忘却の河よりも好みだった。
作者の、こういった何も実らず深い哀しみがただ残るような話は、特徴的で一級品だと思う。
登場人物よりも、それを動かす作者の心情に目を向けたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
40歳で画家の渋太吉は、一人旅の途中で安見子という女性に出会います。二人は急速に心を惹かれあい、関係を結びます。太吉には、妻の弓子と息子の太平、そして母親とともに暮らしていましたが、妻と母の折りあいが悪く、自分が自由をうしなっていると感じた弓子は彼の家を出ていってしまいます。その後、太吉は旅先で出会った女性と再会しますが、驚いたことに彼女は、太吉の親友である心理学者の古賀信介の妻でした。太吉は安見子との密会をかさね、彼女といっしょになりたいと話しますが、安見子はそんな彼の想いを知りながらも、現在の家庭を捨てることはできないといいます。
その一方で、太吉や弓子をはじめとする登場人物たちの関係が、それぞれの名前を明示することなく示唆する文章がさしはさまれます。それぞれの愛は、かたちを変えながらもひとつの主題をなぞるようなしかたでくり返され、愛を全うすることのできない登場人物たちのすがたが印象づけられます。
ファム・ファタール的な魅力を秘めた女性に夢中になっていく男性が主人公の小説なのですが、安見子も太吉も典型的なキャラクター造形で、著者の作品のなかでは正直なところあまりたのしむことができなかったように感じました。個人的には、こうした内容の小説はけっしてきらいではないのですが。 -
大学卒業して、社会人になるというときに母に勧められた本。何故勧められたのかは今でもわからない。情景描写がとても美しい作品だった
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近現代小説に珍しい「巨乳」小説。
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博士とコンビ。
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女から見た女と男から見た女の温度差。「わかってない」とお互い思うだろう。分かるわけがないんだよね。
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第一部のみで完結していれば幻想的でよかったが、ヒロインのキャラがいまいち不思議ちゃんなのが、読み進むにつれて納得できなくなる。