- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101156064
感想・レビュー・書評
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読みながらよだれが出ます。池波正太郎さんの青春や人生の歩みが感じられる。池波流がわかる本、食を通して池波正太郎の生き方の一片を知り、大ファンになりました。読み終わったとき、また読みたいと思いました。自宅に蔵書します。
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池波正太郎氏の食べ物に関するエッセイ。あとがきに『いわゆる食通でもないし』とあるが、池波氏が食通でなければ誰が食通ですか。食日記が作品として許されるのは、池波氏ならではです。昼前に第一食、メインの夕食、そして夜食、寝るのは夜明け前と、とても健康的とは言えない食生活ですね。
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ブクブク交換でいただいた1冊。
池波さんの“食”へのこだわりがつまっています。
もうただひたすらに、美味しそうです。
津々浦々の食べ物と、それにまつわるエピソード。
結構“やんちゃ”してたのだなぁ、なんて風にも。
池波さんの著作群からわきたつ“食の匂い”、
それは実体験から来ているのだなぁ、とも。
昭和の香りを色濃く感じる、そんな1冊です。 -
その食の味だけでなく、作り手の思いや給仕する人達の親切さ、その時の情景や家族との思い出などなど。。。様々な要素が重なった食卓の情景が、著者の思いのままに綴られている。いくつか読んだ池波さんの食に関するエッセイの中では今のところ一番良かったかも。
掲載されている数々のお店には残念ながらもうないお店もあるようですが、少しずつ訪問し池波氏の見たその情景を味わいたいと思います。 -
池波正太郎と言えば、お堅い時代小説化のイメージを勝手に抱いていたが、意外とオチャメな人だったんだなー。
今後、この人の小説を読むときの感じ方も、変わるような気がします。
作者のお母さんと曾祖母のエピソードが好き。 -
読んでいるだけでお腹が空く。
池波正太郎作デビューがこれかという気持ちもある。 -
初・池波正太郎。
食エッセイ好きとしては大御所のを読んでおかないと。と思って読む。
食べ物についてはさることながら、物書きとしての池波正太郎の姿が垣間見れて楽しい。
短編小説と長編小説の書き方の違いが勉強になった。
他、
少年時代の話もあれば、奥さん、老年を迎えた母親とのやりとりも微笑ましい。
大御所の生活を垣間見た気分になった。 -
僕は歴史小説を読まないが、御大の作品はこの手の食エッセイしか知らない。が、読む度に御大は食に関するエッセイストとして一流であることを感じる。
そう思うのは、御大の語り口が、「食を語る」のではなく、「何かを食という存在を通じて語る」いうスタイルであるからだ。過ぎ去りし日本の様子や、戦時中の思い出、今は亡き友人の姿など様々なものがここでは描かれる。当時の日本の文化を後生の人が知るときに、一級の文献的価値がここにはあると思う。 -
いろんな作家のエッセイを読む中で、
意外と気に入っているのが歴史作家物。
そこに描かれている場所や時代に、
幅と深みがあるのが興味深い。
たとえば司馬遼太郎さんのエッセイは、
ときに時間をぐんと遡るかと思えば、
ときに取材で訪れた世界各国のことを記したり、
読んでいて様々な情景が浮かんできます。
池波正太郎さんの「食卓の情景」は、
まさにそんな古今東西の食について
多彩な視点で描かれたエッセイ。
昭和48年創刊のこの古い一冊を
今さらながら読んだのは、
たまたま知人の事務所の本棚にあったから。
食にまつわる仕事をしている人だけに、
そこに並んでいる本は食が中心。
個人的な興味にストライクな書籍ばかりで、
その中からお借りしたのがこの一冊でした。
池波正太郎さんのことを
それほど知らなかったのですが、
この方、戦前は株屋で働き、
戦中は横浜や鳥取で軍務につき、
戦後は劇作家として活躍した後、
小説家として風靡したとのこと。
そんな子ども時代のことから、
作家として各地を取材で巡ったときの食、
さらには自身の小説の中で描いたシーンや
それを描くことになったきっかけなどについて
回想しながらコラムは進んでいきます。
劇作家だった時代には京都や大阪でも
様々な演目をこなしていたようで、
そこに登場する料理屋の中には
今なお営業している店がいくつもあって、
それはそれでまた感慨深い。
たとえば道頓堀の「大黒」のかやくごはんは、
雑誌などでもよく取り上げられる名店。
久しぶりに訪れたくなりました。
後書きにも記されているように、
こういう本って何度読んでも楽しめます。
そのときそのときの自身の環境によって、
共感を覚える点が異なるし、
読み過ごしていたことに
あらためて気付いたりもします。
手元にあるこの文庫は借り物なので、
近日中に返却することになりますが、
買って本棚に並べておくのも悪くないなと
つくづく感じる、味わい深い一冊でした。 -
池波正太郎氏の描く食と人間の営みは秀逸です。それは、著者の代表作である『鬼平犯科帳』や『剣客商売』を読めば一目瞭然です。そこには、人間のあくなき食への探求が、実に生き生きと見て取れます。
この本はよくあるグルメ本ではありません。我が国の伝統的な習俗や気質、はたまた国民性というものが、戦後の急速な発展の中で喪失した、あるいは喪失しつつある事に対して、自身が経験してきた「食」に関する営みを通じて、あくまでもソフトに、さりげなく警鐘を鳴らしているやにも思えます。