陽炎の男: 剣客商売 (新潮文庫 い 16-29)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156293

作品紹介・あらすじ

若衆髷をときほぐし、裸身を湯槽に沈めた佐々木三冬に、突然襲いかかる無頼の浪人たち。しかし、全裸の若い女は悲鳴もあげず、迎え撃つかたちで飛びかかっていった。隠された三百両をめぐる事件のさなか、男装の武芸者・三冬に芽ばえた秋山大治郎へのほのかな思いを描く表題作。香具師の元締のひとり娘と旗本の跡取りとの仲を小兵衛がとりもつ「嘘の皮」など全7編。シリーズ第3作。

感想・レビュー・書評

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  • 秋山小兵衛シリーズ第三作。佐々木三冬が大治郎への想いを募らせていく。

  • 息子の成長が目立つ。

  • 表題の「陽炎の男」は三冬さんの心の変化がじんわりと伝わる一遍です。夢の中で見る男の顔が大治郎だと分かった時、剣士から一人の女性になる三冬さん。それまでのカッコイイから可愛いにするりと変化しました。 あと面白かったのが「深川十万坪」の金時婆さん。小兵衛さんが渡した金二両をさっぱりと受け取る性質がすがすがしく、小兵衛さんが楽しく興味を持つのも納得できる人ですね。

  • 剣客商売を読み始めて、気づけばもう三冊目。
    上司に何度も勧められ、しぶしぶ(!?)読み始めたけれど、今となっては、完全に「秋山ファミリー」のとりこ。

    個人的に一番気になるのは、大治郎と三冬の今後。
    大治郎、そのあたりは、かなり鈍感で奥手そうだから、
    心配しちゃう。
    三冬の、大治郎に対する気持ちの変化・・・「大治郎どの」とため息をつくシーンなんかもう、胸がきゅんとします。

    鰻屋の又六も、いいキャラしてる。今後もちょくちょく出てきてほしい。

    宗哲先生もいいですね。

    同じみの、弥七も傘徳も・・・
    みんな、何だかんだ、秋山小兵衛の人徳で、周囲に集まっているのでしょう。
    秋山小兵衛の人間性。この人を頼れば何かが変わる。
    そう思わせる小兵衛は、会社の上司にぜひなっていただきたい存在。

    「ものごとは、すべて段取りというものが大切じゃ」という先生のお言葉。読んで以来、仕事中も思い出します。

    また、「真偽は紙一重。嘘の皮をかぶって真をつらぬけば、それでよいことよ。」というお言葉。人間、一筋縄ではいかないことばかり。人生ってそういうこと。と思わせる重さがあります。
    (以前、うちの上司が似たようなことを言っていたが、もしやこの言葉受け売りか?笑)


    なにはともあれ、第4巻以降も楽しみです。

  • シリーズ3作目。
    やめられない、止まらない。
    かわいいぞ三冬。
    かっこいいぞ大治郎。
    たのもしいぞ弥七。
    そして、強いぞ小兵衛。

    それぞれの個性も際だち、人間関係も豊かになってきた。周りの脇役もいい味が出て、少し前に出た人が再登場すると、嬉しくなる。

    どんどんシリーズを読み進めたい。

  • ここまでくると読むのが止められなくなる。
    香具師の元締め鎌屋辰蔵の、娘を思う一途すぎるくらいの父親の姿、その後が気になる。
    三冬が少しずつ心の奥にある大治郎に対する想いに気づき初めて、ほんのり甘い雰囲気。

  • 剣客商売シリーズ第三作。

    東海道・見附宿
    赤い富士
    陽炎の男
    嘘の皮
    兎と熊
    婚礼の夜
    深川十万坪

    好きだったのは、やはり、表題作の陽炎の男でしょうか。
    三冬に芽生えた大治郎への思い。
    こうなったらいいのに…と思っていただけにうれしかったー。これからどうなるのか気になるところです。
    どちらも不器用だからやきもきされそうですが…。

  • ひたすら面白い

  • 次々と一悶着あると手を打って暗躍する秋山小兵衛。
    段々と剣客の道に踏み込む大治郎。
    徐々に佐々木美冬が大治郎に惹かれていく様。

    どんどんと戦いの描写が鮮明になってきていると感じた。

  • 第三作目となるこちらの作品の特徴を、
    一字で表すなら「楽」。

    剣客シリーズ後半は、作者の体調も反映しているのか、
    多少その明るさに翳りも出てくるが、血なまぐさい
    剣の道に生きながらも、その暮らしぶりは
    ほのぼのと温かい秋山親子の物語の中でも、
    シリーズ第三作目となる本巻は、一番明るさを感じる。

    後半には割と色濃く感じる「斜陽化する武士社会の暗さ」も
    まだその気配すら感じず、主人公の秋山小兵衛と
    その周囲の人々の会話は軽快だ。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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