戦国幻想曲 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156842

感想・レビュー・書評

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  •  テンポよく読むことができた。槍一筋に戦国時代末期から江戸時代初期を生き抜いた渡辺勘兵衛の物語である。主の器量を見、己が頼むに足らぬ人物であれば見限ること五度、最後は再び浪人をし京都にて人生を終える。己を信じること、微妙な親子の情愛、豁然とした性格が颯爽とした物語の形作っている。
     阿閉・真田・中村・増田・藤堂と槍の勘兵衛として渡り歩いた人生を描いている。しかし的を得た主人には巡り会うことができなかった。あるのは最初の手柄である織田信忠を助けての一番乗りの強烈な記憶のみである。理想が主人としての理想像が仕えることなく終わった故の悲劇である。時期を得ず藤堂家に使えることになり前主人の若殿に理想を見てしまうことの不幸がどことなく悲しい。しかしさっぱりとした性格がそのようなことを微塵も感じさせない。
     以前読んだ真田太平記と同じ文体で一定のリズムをもって読むことができた。ただ読んで勘兵衛がすごい人物設定であったのか疑問が残る。とてもそのように思えない。阿閉家を退転した後と増田家が没落後の浪人暮らしは槍一筋という人間設定とはかけ離れている。読んでいる自分が醒めているのか。そうではない。やはり出だしがすごすぎたのだ。理想としての信忠が全てなのだ。後が平凡すぎるのだ。特に藤堂家に二万石で召し抱えられることは無理がある。終局でのどんでん返しには驚いたがそれで二万石だったのかと納得した。

  • 武士らしい武士って、こんな感じなのかな。頑固過ぎるんじゃないの。

  • 槍の勘兵衛一代記。主君を次々に変え、一徹に思い通りに生きた幸せな生涯。それも実力が備わってるからこそ。愚直なところが憎めない可愛らしさもあり。全編清々しい風が吹いてるが如くである。2021.5.10

  • 戦国の激動期を織田から徳川に至る世界を、槍一本で豪快に生きた男の物語。使える主人の我儘や戦闘能力のなさに嫌気がさし出奔してしまう愚直な男の生き様を、見事に描く池波文学の読後の清涼感を感じる。

  • 渡辺勘兵衛が主人公の小説。名前は聞いてたけどどんな活躍をしたのかはこれで知った。高遠城攻め、山中城攻め、大和郡山城の守備、大坂城攻めと度重なる出奔。
    書かれた時代が時代だからしょうがないんだろうけど、他の武将の説明の仕方がまさにステレオタイプ的な感じでそこだけ残念な気がした。

  • 楽しく読めた。増田長盛の手紙、夏の陣での増田盛次と再会は目頭が熱くなった。

  • 主を選ぶという生き方。

  • 2010/08/02完讀

    渡辺勘兵衛是近江山本城阿閉淡路守的家臣,一心一意想以自己的武藝出人頭地。在武田征伐戰時救了織田信忠,信忠非常中意他,決意把他納入麾下。無奈信忠先亡於光秀之手,鬱鬱寡歡的勘兵衛不願意再追隨庸奴阿閉(還開口要勘兵衛把信忠給的短刀送他…),阿閉投入光秀陣營,勘兵衛也逃離阿閉家。

    逃亡的這七年,勘兵衛當過野伏,也待過真田家。無奈真田家久無戰事,勘兵衛在那裡短暫有過婚姻,後來就帶著兒子長兵衛離開了真田家。他和以前的同僚九庄九郎再度相遇,庄九郎推薦他到現在的主君中村一氏幕下。兒子長兵衛托給庄九郎扶養,嘴裡說著麻煩,但勘兵衛還是非常想念他。

    勘兵衛終於獲得出陣的機會-豊臣秀吉遠征関東的北条。進攻箱根天險時,勘兵衛立下了兩次「一番乗り」的汗馬功勞,替豊臣軍開啟了進攻小田原的大門。無奈主君中村一氏居然私吞戰果,戰後被加封了三倍(從水口移封到府中,十八萬石),獲得秀吉的羽織,卻只想用自己的羽織打發勘兵衛,勘兵衛便毅然離開中村家。

    後來勘兵衛來到京都,金子閣蔵很中意他,計畫讓他娶自己的女兒,也引見給主君増田長盛。於是勘兵衛就這樣在增田家待下,迎娶於すめ,受封千石。

    秀吉死後,長盛的處境越來越不妙-一面和家康密切往來想制止戰爭,但是又離不開石田陣營。戰後增田家被廢,勘兵衛死守大和郡山城,傳為佳話。敵將藤堂高虎相當欣賞他,並未貿然攻城,取得長盛的手書,勘兵衛才開城投降。

    勘兵衛又再度成為浪人,住在京都郊外,把住處取名為〔睡庵〕,開始被老婆養。長子長兵衛、丈人金子閣蔵都入仕藤堂家,但八年來勘兵衛始終耍脾氣不願仕官。於すめ故意激他,他意氣用事地亂開價說一萬石就去藤堂家,沒想到原來於すめ根本是高虎的私生女,於是他就獲得兩萬石的俸祿,進入藤堂家仕官。

    大坂夏の陣時,由於藤堂家分割兵力,遭到重大的打擊,六名重臣戰死。勘兵衛因為沒有回來救援且數度拒絕撤兵,和高虎交惡,再度變成浪人。這次妻子兒女都沒有隨他去流浪,勘兵衛遊歷各地,後來回到〔水庵〕(睡庵),亡於1640年,享年七十八。

    **

    這是我第一百本池波。值得紀念的數字,又讀到這本好看的書,非常滿意。勘兵衛是個一直找上司的男人,但信忠的存在感太過強大,數度碰壁;加上戰爭漸漸減少,勘兵衛也可以說生不逢時。早生個二三十年,他或許也是個一國一城之主。好不容易受封兩萬石,沒想到最終也是泡沫,勘兵衛是一個相當任性的人,但也相當可愛有氣骨。

    這本書最有趣的地方就是「對話」。勘兵衛和長兵衛還有於すめ的對話,是我覺得這本書非常有趣的元素之一,嘴硬又害羞的勘兵衛和兩人鬥嘴的樣子實在太有趣了~~~勘兵衛的主君阿閉和中村的舉止也相當滑稽,讓人哭笑不得。雖然勘兵衛的仕途並不順遂,但這真是一本很歡樂的書XD

    (603page)

  • かんべえええええ!!!

  •  「槍の勘兵衛」の話。
     信長の野望シリーズで、あまり使えない割りに列伝が色々とリンクする渡辺了である。
     了を「おわる」と読むなんて、初めてしりましたよ。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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