悶絶スパイラル (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167619

作品紹介・あらすじ

作家の一日は忙しい。「シャツがイン」のあるべき姿を考察し、脳内政界ラブロマンスに思いを馳せ、ジョジョTを着て打ち合わせにむかう。タクシー運転手さんにはモテ女を演じ、野球場のゲイカップルをやっかみ、天丼を求め夜の町を彷徨う…。キャラの濃すぎる家族や友人たちに囲まれて、妄想アドレナリンは今日も絶賛分泌中。愛と笑いで読者を包む、情熱的ミラクルエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • しをんさん、毎日楽しいだろうなあ。
    あとがきでも、「やっぱり楽しそうだな、俺。おめでたい!」と自分自身でもおっしゃってる。

    何かに熱中する。
    例えば漫画、本、映画、ドラマ、演者。
    それを語る友がいる。止まらない楽しい時間。
    さらに、そこに美味しいお酒や食べ物。

    「人生を楽しく生きる」って、もしかして最後はこれに尽きる...?
    どれも中途半端な私には羨ましいなあ〜。

    松苗さんの表紙イラストの仕掛け?に、なるほど〜と感心すると同時に、このシリーズエッセイ1冊目を読んでいないことに気づかされたのでしたとさ。


  • み、な、さ〜ん。この作品って知ってましたかー?この書名、きょ、強烈ですよねー。だって『悶絶スパイラル』ですよー。『悶絶』だってー。アハ。こんな言葉使ったことないしー、恥ずかしくて人前でなんか絶対に言葉にできないですよねー。でもねー、この作品を書いたのは天下の、な、直木賞作家の三浦しをんさんですよー。なんと、あなた、この作品を読めば三浦しをんさんが、あなたを言葉で『悶絶』させてくれるんですってー。しかも『スパイラル』ってぐるんぐるん!のことですよー。悶絶させられて、ぐるんぐるん!なんて、もう、こりゃ早く読まないとー。とっとと一緒に『悶絶』されちゃいましょーよー。
    (テンション高過ぎ。しらーっという空気が、汗、汗。でも、いいや。)

    『「日常エッセイ」とか「ほのぼのエッセイ」とか、そういうレッテル貼りが私は大嫌いだ!』という三浦さんが、もう言いたい放題!、書きたい放題!のこの作品。最初からテンション高くかっ飛ばして!くれます。

    『先日「スーツを着用し、蝶ネクタイをしているのだが、さらにループタイもしている四十代ぐらいの男性」を新宿駅で目撃した。どういうことなのか。咄嗟に脳が理解を拒否した』うーん、直木賞作家は街に出ても人間観察が鋭いのだなぁ、これが。通りすがりの知らないおじさんの身なりなんて普通気にしないでしょ。でも、これを『彼は彼の日常を生き、私は私の日常を生きる、偶然、彼と私の日常が一瞬交差した、それだけのこと』とまとめてしまうのは流石、直木賞作家。すごいなー。マネできないよぉ。

    …と感心していたら、今度は『きれいなお姉さんも下痢で苦しみます』と来たもんだ。『原因不明の下痢』。でも、それでも近所の本屋に出かけた三浦さん。『私はトイレを済ませ、果敢に外出した。なにしろ次の便意に襲われるまで十五分の命であるから、迅速に行動せねばならない。ピコーンピコーンゴロゴロゴロ。まずい、腹のカラータイマーが』。いや、これ単行本 or 文庫本だから。ね。日本のね、全国のみなさんがね、直木賞作家さまのありがたい本だと信じて、ありがたやぁーって買うんだからさ。だ、大丈夫ですかぁ、そんなキワドイ自虐ネタを披露して、と心配になりますよ、私。余計なお世話かもしんないけどねぇ。

    でも、なんてったって三浦さんは作家さんですからー。お仕事も大変ですー。仕事中のこんな描写もありましたよぉ。ファミレスで締め切りに追われる校正作業中の三浦さん、『うなる赤ペン!ほとばしる修正液!これ今日中って絶対無理!神よ救いたまえ!あ、コーヒーおかわりください!』となんだか必死なはずが、お決まりでおとぼけの入る三浦さん。でも『仕事そっちのけで隣の席の会社員の会話を盗み聞き。わかんねー!なんかよくわかんねー!私はテーブルにつっぷして悶絶した』。ああああぁ。三浦さんに先に悶絶されちゃいましたー。しかも『つっぷして』だって。そんな表現知らんがな。嗚呼。

    他にもいきなり『なんでもベスト5』っていう企画が登場して、『ダイエットを決意した瞬間』とか、『宝くじで一億円当たったら何をする?』なんてもうやりたい放題だよー、なんなのこの本。ちなみにねぇ、この宝くじ当たった?の第三位がねぇ、ここだけの話ですよぉ、『BL図書館建設にあてる』、なんだそうですー。「月魚」を読んで知ってますよ、私だって。三浦さんがBL大好きーだってことー。

    まあ、本当にあんなこと、こんなこと、そんなこと、へんなこと、ここだけのこと、もうぐるんぐるん!に満載の一冊でしたよぉ、これ。でもね、ちょっとマニアックすぎる部分がありすぎて、途中で引いてしまったっていうかねぇ、なんだかついていけないよぉ、私、っていう話題も多かったから、そこがちょっとビミョーかな。合う人と合わない人がいると思うんだなぁ、この本。万人が楽しめるのは「ぐるぐる♡博物館」だと思う。うん。キッパリッ!あの本は万人におすすめするよ。うんうん。もちろんこの本も面白いんだよー。ゲラゲラのぐるんぐるん!だからサ。

    なんだかふざけて書いたみたいな文章になっちゃったよー、これっ。ヤッバイなぁ。私のキャラを疑われそうだぁ。そんなつもりないのにー。私、マジメなのにー。でもこれじゃあ、締まらないから最後は三浦さんの書かれた『あとがき』を引用させてくださいねー。

    『ひとはなぜ、物語を必要とするのか。エッセイと小説を並行して書くことで、私はいつもこの疑問に直面させられてきた気がする。答えはまだ出ていないので、これからもエッセイと小説を書いていければいいなと思っている』、と語る三浦さん。

    エッセイと小説を両輪と位置づける三浦さん。小説世界を知っていると、この三浦さんのエッセイに見られる独特な表現の数々に、あまりの豹変ぶりに驚きを隠せませんが、一方でこの振り切れた感じが逆に癖になるような独特な世界観に満ち溢れているのを感じます。これも三浦さんの魅力。小説を読んで三浦さんの世界を知る。エッセイを読んで三浦さんという人を知る。これからも小説と共に三浦さんのエッセイも読んでいきたい、そう思いました。

    そうなんです。この締め方。真面目なんです。私。

  • 『三四郎は…』に続いて、もう完全に三浦しをんさんのエッセイにハマった感あり。

    「『放課後』っていい言葉だよね」
    「会社の仕事が終わったあとの時間は何て言うんだろう。『大人の放課後』?」
    「なんだかいかがわしくなっちゃってるよ!」
    「『放課後』って単語が大人が使うにはそぐわない。きらめきに満ちているからなあ」

    こんな感じの居酒屋風の問答が満載。

    三浦しをんさんの未読のエッセイはまだまだ沢山ある。楽しみは暫く尽きそうにない。

  • 家族や友人知人にとどまらず、タクシー運転手、電車に同乗した他人など、ネタがしをん先生のところに次々やってくる?それとも私も文才があれば日常に話のネタを見つけられるのだろうか…?

  • 三浦さんの『愛なき世界』はここ数年で僕の中では1番の傑作。
    あの素晴らしい作品は、どんな方が書かれたのか。
    気になってた三浦しをんさんのエッセイを購入。
    感想は、
    「なんて愛のあるポンコツ!」
    です。(笑)
    このポンコツさは大好物です。
    三浦さんの周りは愛で溢れてますね(^^)
    イメージとかなり違いましたが、ますます好きになった!

  • 2008年刊行、しをん嬢30歳となる。読者が笑いで悶絶する安定のエッセイ。同じ時期に『光』みたいな重い小説を著していたとは思えない。あんちゃん、女犯坊などすごいキャラクターが繰り広げる明るい日常生活。中でもクリスマスイブに開催されたしをん嬢と愉快な古本屋仲間の忘年会の光景は圧巻で、ぜひこういう宴に混ぜてもらいたいと思った。

  • 「ストイックに漫画にすべてを捧げている!」(しかもホ○漫)著者の抱腹絶倒エッセーの第四弾(ていうか第四弾だったんだ、知らなかった)。2005年~6年頃にウェブマガジンが連載されたものと思われる。

    前作と比べるとちょっとパワーダウンかな? それとも、連続して読んだので、新鮮さが感じられなかったのかも(食傷気味?)。

  • 全体的に面白いが、ちょっとついていけないものも。“?” と “思わず笑い声をあげてしまった”ものとの差が激しかった。 女犯坊が出てくる『怒りの反射速度』『桃色禅問答』では本当に吹いた。『おそるべき計測器』の電器屋に行くとストレスというのには深く同感。それにしても30歳頃でしをんさんはこれか。。。と、同世代の私は自分に少し自信が(笑)

  • しをん様のエッセイ、最高!!電車内、カフェで読んではならない一冊。心を癒したいとき、イライラしているとき、プレッシャーに潰されそうなとき、本書に助けられた。「うさぎ教」には入信しませんが、一気に「しをん教」へまっしぐら。特に「イカリちゃん」「かつら山」は思い出し笑いが続いた。

  • 文庫本帯にある「しをん中毒」なる病気を患って3冊目に読んだものである。途中に挟み込まれた『なんでもベスト5』における『日出処の天子』のコメントは、大体自分とおんなじ印象であったことが興味深い。そうか、自分は世に言うヲタクだったらしい(今更)。ちなみに、自分は「シャツはイン」を推奨する派閥に属している。ユーリ・ミノロフ先生が好きなのも、これが要因であろう。どんどん三浦さんに親近感を覚える一方、天丼の話で「食欲に関しては到底分からん隔たりがあるらしいな」と強く思ったのは、『悶絶スパイラル』からである。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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