- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101168012
作品紹介・あらすじ
「ブンとは何者か。ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなく…」フン先生が書いた小説の主人公、四次元の大泥棒ブンが小説から飛び出した!たちまち全世界に、奇怪なしかしどこかユーモラスな事件が…。あらゆる権威や常識に挑戦する奔放な空想奇想が生む痛烈な諷刺と哄笑の渦。現代戯作の旗手、井上ひさしの処女作。
感想・レビュー・書評
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父が子供の頃に読んだ本と聞いて、こっそり買って読んでみた一冊です。
想像以上に、凄く楽しめます。本が読者に語りかけてくるスタイルで、ページの中にのりしろがあったり、切り取り線があったり。昔大好きだったかいけつゾロリやおばけマンションを思い出して、ワクワクしました。
何回も読みたくなるフレーズが沢山あるし、ストーリーもワクワクするし、終わり方も突然に見せかけて凄く綺麗だったし、創作とはこの本で表現されたようなことを言うんじゃないかな、と思います。
最初に書いた本がこれってすごいなぁ。他の本や作品も観てみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言葉遊びの天才!
キリトリ線にのりしろに、なんてお茶目なのか。
一から十までふざけているようでいて、そこには皮肉があったり平和を祈っていたり…。
だけど、押し付けがましくなく、サラッと語ってしまうところがいいなぁ。
処女作ということで、きっと荒削りなところもあるんだろうけど、同時にエネルギーもある気がする。他の作品も読んでみたい。 -
劇作家の井上ひさし氏の処女作。ああ、小説ってこんなに自由奔放で勝手気ままでいいんだなぁ、と嬉しくなる作品です。「世のお母さんたち」に読まれたくない部分にはノリシロがあり、このページを糊で貼り付けてしまうように、などという指示が出ていたりして、著者の遊び心にもニヤニヤしてしまいます。200ページぐらいですが、一日で一気に読めます。
何せ刊行されたのがもう40年前ということで、登場する有名人や時代背景なんかはさすがに古いですが、随所に出てくる言葉遊びや語呂合わせ、著者の豊富で奔放な想像力と悪ふざけ、そして世の中への風刺は今でも鮮やかに輝いてます。きっと、これから数十年後に読んでも、やはり同じような色彩とシニカルな視点を読者に与えてくれるのだろうと思います。
ナンセンス文学であり、世界への皮肉や批判も内在している風刺文学でもあるこの作品、時々本棚から抜き出して読めば、声を出して笑える時間を与えてくれるでしょう。 -
ストーリー :☆☆☆☆
世界観 :☆☆
ビジュアル :☆☆☆
キャラクター:☆☆☆☆
読みやすさ :☆☆☆☆
オススメ度 :読んで損なし! -
作者が使う日本語は本当に生き生きしている。テレビや演劇といった分野で磨かれた言葉選びのセンスは活字になってますます輝く。こういう風に自在に文章が扱えたらどんなにか書くことが楽しいかと思う。
作品としては児童読物の体裁をしているが、作者がこれを書いた時代背景からして、既存の旧体制を打破し、新しい価値観の創出を求める60年代の匂いが感じ取れる。思わず笑ってしまう馬鹿らしさでそれを表現できるのがナンセンス作家と呼ばれる井上ひさしの魅力だろう。
改めてご冥福をお祈りする。 -
カラマーゾフの兄弟を読んだ後だったので、何も考えることなくクスッと笑いたくて読んでいた。まさかドストエフスキーと裁判が出てくるとは思わず、こんなとこでも笑った
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レコード会社に勤める知人。入社試験で好きな本を挙げ、その感想を書かねばならなかったらしい。
それでこの本を挙げたのだとか。そのセレクトセンスも見事だと思った。
エンタメ業界を担うに相応しい、遊び心満載の内容。彼はどんな感想を書いたのか知らないが、見事合格して会社のお偉いさんになっている。ふとそれを思い出し、読んでみた。 -
井上ひさしの処女作。
売れない作家フンが書いた作品の「ブン」が、
発行部数分だけ実際の世界に飛び出し、
四次元怪盗として、世の中のありとあやゆるもの盗みまくる痛快小説。(2010.11.19) -
めちゃくちゃなストーリーである中に風刺が富んでいて、さらに言葉の使い方においても普通じゃない感じがあり、簡単には感想が出てこない。
処女作とのことで単純に目立ちたかったのかなとも思ったけど、著者のウィキペディアを読んでみると一筋縄ではなさそうな生い立ちであられ、どんな背景でこの作品を書くに至ったのか、なかなか想像ができない。もう少しこの方の著作を読んで、じっくり味わってみたいと思った。 -
①
開始:2023/1/4
終了:2023/1/5
感想
ポップコーンのように次から次へと跳ねでる面白さ。いつまでもブンの秘密には触れられないナンセンス。だがそこがこの小説を傑物たらしめる。