- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101174013
作品紹介・あらすじ
愛される少年。愛する男。男同士を嫉妬しながら少年を母のように抱く少女。そして、恋人を美少年の魅力から取り戻そうとする黄昏の女の破滅的な情炎。頽廃と純真の綾なす官能の世界を、言葉の贅を尽して描く表題作。愛する少年を奪われる前に殺し、自らも息絶えた男の鮮烈な最期。禁じられた恋の光輝と悲傷を雪の武蔵野に綴る『枯葉の寝床』など、鬼才のロマン全4編を収録。
感想・レビュー・書評
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『ボッチチェリの扉』以外の3編は今で言う「BL小説」というジャンルに入るのだろうか。これらを文豪森鴎外の娘であり、明治生まれの女流作家が書いたことに衝撃を受けた。しかし、私には合わなかった。好みではない。それに、4編とも同じようなストーリー展開だったような…
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いつかは読みたいと思っていた一冊。スラスラとは読めない文章、時間はかかった。自分の読解力はこの程度かと少しへこむ。それでも世界観には引き込まれる。若き美少年に心奪われる年上男性たちを描いたお噂どおりのがっつりBL(一話目だけは違うけど) 。やはり「枯葉の寝床」がいちばん良かったかな。
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独特な読点と美しい筆致で耽美な世界にぐいぐい引き込まれていく。全編、抗えない熱情の先に死がつきまとう。純文学における死とは、陶酔した熱情の代償なのだろうか。まるでフランス映画のような読後感。
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昔、先輩にこっそり教えられて読み、衝撃を受けました。それ以来、ファンになりました。BLという言葉がまだなかった時代でした。
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絶版?のハードカバー版
2篇のしかし、完成された二人の世界が羨ましい
一瞬でも、きっと。 -
2021/08/11-08/18
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つい数日前に読んだ官能系とほぼ真逆の印象だったので、そういう意味でも非常に興味深く読めた。といっても、こちらは4編中3編が同性愛を描いたものであるわけだが。さらにその3編はいずれも大人の男が少々頭の軽い美少年に対し、庇護欲と執着にとりつかれてしまうという展開。ついでにこってりした嫉妬やら誰かの死やらも絡んでくるので、文体も相まって黒い粘り気に満ちた空気を醸し出している。一番よかったのは『枯葉の寝床』なのだが、ギドウ、ギランと色気を感じる名前が続いて、どうして最後が達吉……それだけが解せない(苦笑)。
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森茉莉さんのエッセイは読んだ事があったけど小説は初めて。でも、まさかこんな小説書いていたとは意外だった。
4篇中3篇が同性愛を扱っている。この時代にそのモチーフは珍しかったんじゃないかな?ただ、恋愛小説ともロマンス小説とも言えそうだけど、本質的にはトレンディー小説なんだと思う。
登場人物が美貌で、外国の雰囲気を醸し出す小洒落た生活を送っている。ま、通俗的ではあるけれど、つまらないロマンス小説よりかはましかな。 -
美意識が高じるとこうなるのぉ~
森茉莉さんの短編集
「ボッチチェリの扉」「恋人達の森」
「枯葉の寝床」「日曜日には僕は行かない」
には愕かされました
男同士の恋愛関係を舞台は日本なのに
仏蘭西にいるようでも、どこでもなくて
道具立て豪華絢爛、濃く、蜜に描きながら
はてさてなんだっけと、 ストーリーがあるようでなくて、 やたらに美男が登場し、長いまつげの影がやどり
必ず死人が出るのに、恐ろしくはなくて、ばかげたほどロマンチックで、翻弄されて最後まで読んだのでありました
『わたしの中のアリスの世界』というエッセイ集を読んだときは、森鴎外の娘臭はあるけれど、それはそうだから仕方がなく、生活のひとこま、一片にピカッと光るような
思いを寄せている姿が好もしいと思いました
あのころのフランス映画(アラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモンド登場の)を、思い浮かべて創作をしたのだ、とエッセイにあるから、 ああ、そうなんだろーなー
わたしだってむかしそんな映画を観た後は、画面の登場人物になったような気持ちで歩き帰った経験がありますもの
こんなに美しい言葉を尽くしてきれいに書けるなんて
やっぱり鴎外の娘です