化粧 中 (新潮文庫 わ 1-11)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101176116

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  • 姉妹三人がそろったお正月の風景から始まり、槇子が婚約者を連れて京都に挨拶に帰ってきたところまで。この巻は主に頼子と里子にスポットが当たってます。椎名との子を妊娠して蔦野屋を出てマンションで一人暮らしを始めた里子。迷惑かけたくないからといって堕胎できなくなるまで椎名にはっきりと妊娠を告げなかったり、お金なんて要りませんと言ってみたり、強く生きているようでかなり我儘で自分勝手のように思えます。妊娠した女性の複雑な気持ちはまだわかりません。頼子のほうは、ちょっと日下を好きになってみたりいろいろあったけれど、一番大きかったのは鈴子の仇の熊倉が自殺したことのよう。強く復讐を誓っていたけれどあっけなく死んでしまい、しかもその原因を作ったのも頼子本人。姉に鈴子を死に追い詰めた復讐とはいえ、今度は自分が他人を死に追い詰めたことにこれから囚われてていくのでしょうか。復讐できたからといって鈴子と喜びを分かち合えるわけではないし、まして生き返るわけでもない。後味の悪さと自責の念に振り回される頼子が悲しいです。上巻では大麻なんか吸って派手に遊んでいた槇子がこの巻ではかなり落ち着いて、エリートな婚約者までつかまえていて改めて要領のよさを感じます。でも根はまったく変わっていない奔放な槇子がいちばん明るく強いのかもしれない。
    <落葉、初春、李花、陽炎、牡丹、向日葵>

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著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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