露の玉垣 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 65
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101192253

作品紹介・あらすじ

度重なる水害や飢饉に喘ぐ越後新発田藩。若き家老・溝口半兵衛は財政難に立ち向かう一方で、二百年に及ぶ家臣の記録を書きはじめる。後に世臣譜と題される列伝は細緻を極めて、故人の人間像にまで及ぶ。そこにあるのは身分を越えた貧苦との闘いであり、武家の葛藤であり、女たちの悲哀であり、希望である。すべて実在した人物を通して武家社会の実像を描く、全八編の連作歴史小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 水害飢饉に喘ぐ越後新発田藩の貧苦との戦いを通しての悲哀葛藤。

    弱い部分に徹底して焦点をあてる筆者の感覚だが、小説としては、小さくてもいいからもう少し光を見いだせるようにしてくれないかな。

  • 元々オリジナルの本の試みには心動かされた。
    目立つ、目立たないなどに関わらず、それほど大きくない藩の家臣の一族の変遷、人柄に注意を払った史書。
    元々司馬遷が書いた中国の歴史書にもおまけのように列伝という個人を扱う書があったらしくこれに倣ったようで、知性も伺われる。

    でも、英雄伝ではないので、やはり読んでいてずっと風のない海の穏やかな様子が続くので、結構中だるみをしてしまう。。。

  • 2013/01/05-14:02 いまひとつ、入り込めなかった

  • 重いけど、逞しさを感じる。
    でも、重い・・・。

  • スピンアウト

  • 万年、財政難にあえぐ新発田藩。
    家老溝口家を舞台にした短編集。いつの時代もお金のない中でどうやりくりするのかと、ため息が聞こえてくるような話。
    我が家のみならず、政治家、官僚にもよく読んでもらいたい。金は湧いてくるのではなく、よくよく考えてみる必要があるのでは・・

  • 久しぶりの再読だと思っていたのですが、文庫化が2010年7月ですから、約1年ぶりという事になります。その割に内容をすっかり忘れていた事から、前回☆☆☆☆にはしてますがさほど印象深くは無かったようです。
    下(前回)の感想にもありますが、乙川さんには珍しい「歴史小説」です。
    今回は、風邪の寝床の中で読んだのですが、最後は少々辛くなりました。
    乙川さんの見事な文章が、風邪の頭には粘りつくようでしたし、史実という制約を受けたためか、人物が生き切って無いような気がしました。
    という訳で、改めて☆☆☆に。もっとも、乙川さんという事で期待度が大きすぎたという側面もあるのですが。

    ========================
    10-058 2010/07/14 ☆☆☆☆

    家老・溝口長裕が残した新発田藩の家臣列伝「世臣譜」を元に小説化した歴史小説。
    毎年のように新発田川の氾濫に襲われる五万石の小藩です。藩財政の困窮から来る閉塞感の中で、それでもどこか凛とした武士やその妻達が清冽な文章で描かれます。
    乙川さんの「歴史小説」言うのも珍しいのですが、「世臣譜」という元本があるので「歴史小説」としているのでしょう。しかし、小藩の家臣の話ですから他に考証可能なものが多く残っているとも思えず、不足する所は乙川さんの創作になっているものと思います。歴史上の無名の人物を主人公にしている物語ですし「時代小説」と大きな差が有るわけではありません。
    最近、(特に苦界に落ちた)女性を主人公にした恋愛物が多かった乙川さんです。しかし私は、どこか冥さや閉塞感を感じるのは同じであっても、武家世界のどこか凛とした姿を感じさせるこうした武家物の方が好きです。

  • 2011.1.30(日)。

  • 乙路(おとじ)、新しい命、きのう玉蔭(たまかげ)、、晩秋、静かな川、異人の家、宿敵、遠い松原

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著者プロフィール

1953年 東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞。97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、13年「脊梁山脈」で大佛次郎賞、16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞、17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。

「2022年 『地先』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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