- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101203829
感想・レビュー・書評
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あぁ、やっぱり千早茜さん好きだなぁって思える一冊。
千早茜さんのお話を読むといつも感じるのが、冬の朝のような、凛としつつも優しい静けさ。登場人物がさまざまな過去や痛みを抱えているけれども、それぞれがお互いを色んな形で支えて、救われてる。私も優しい言葉に救われている1人。
今回の作品では、服の描写が本当に美しくて、私も実際に美術館へ行ってみたいと感じた。服への接し方がこれから変わっていく予感。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
服で武装ではなく、自分らしさを纏いたい。
何に対しても、よく見て、丁寧に。
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クローゼットの中で遊ぶ子供
真っ先にナルニア国物語を思い浮かべた
でも、この物語はファンタジーではない。
希望と再生はあるけれど、どこか秘密めいて影の部分も見え隠れする。
千早茜の描くそういう物語に強く惹かれる。 -
シンプルで緻密なストーリー構成が、登場人物の心情を際立たせており、素敵な作品だった。ストーリーも良かったが、服飾の専門的な内容と表現が上手だなと思った。
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千早茜さんの作品を読むのは「ひきなみ」に続いて2冊目。
「クローゼット」は、表紙の絵の美しさが気に入って購入した本でしたが、最初のほうだけ少し読んでそのままになってました。
このたび、千早さんが「しろがねの葉」で直木賞を受賞されたので、「しろがねの葉」を読む前にと、積読になっていた「クローゼット」を読みました。
結果、もっと早くから読んでおけば良かったと思いました。
痛みを抱えた人の再生の物語ですが、美術品というべき歴史的に古い洋服の補修の話と上手く折り重なっていて、とても良かったです。
読者が知ることになる登場人物の秘密を、どういう風にして別の登場人物に伝えるのか、伝わるのかというところも、そのタイミングがとても良かったです。
言葉にすると当たり前のことになりますが、相手のことを考えて、相手がどう思うかを考えて、行動したり発言したりすることはとても大切なことなんだ、ということを再確認させられた小説でした。
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服に詳しいわけでもないのに、
豪華絢爛な刺繍や、繊細なレース、
たっぷりとした袖、少し色褪せたコルセット、
全てが脳裏に浮かんでくる。
気づけばもう私もそこにいる。
靴の音が静かに響く白い空間
足元の金木犀
色鮮やかなクローゼット
おそらく目立つ建物ではないのに
この服飾美術館に
迷いなく入り込ませてしまう文章力が圧巻。
静かなのに、美しくて、登場人物も魅力的。 -
生きて、生き抜くことが、相手に負けなかった証、相手の影響力が自分において大きくなくなった証になることがあるよね。
ちょうど自身に無意識の異性への警戒心があることに気づきどう処理するのが良いのか考えていたときに読み始め、シンクロに驚く。