- Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101209715
作品紹介・あらすじ
黒滝誠治警部補、非合法な手段を辞さず、数々の事件を解決してきた元凄腕刑事。現在は人事一課に所属している。ひと月前、赤坂署の悪徳刑事を内偵中の同僚が何者かに殺害された。黒滝は、希代の “寝業師”白幡警務部長、美しくも苛烈なキャリア相馬美貴の命を受け、捜査を開始する。その行く手は修羅道へと がっていた。猛毒を以て巨悪を倒す。最も危険な監察が警察小説の新たな扉を開く。
感想・レビュー・書評
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さすが深町秋生、今回も読ませてくれました。
深町作品に登場する刑事はやることは犯罪スレスレ(いや、犯罪か(笑))でも気骨があり、思わず応援してしまいます。
今回は、ドッグ・メーカーと呼ばれる男、黒滝が上司の命を受け暗躍します。
ドッグ・メーカーとは、警察やヤクザたちを自分のエス(犬)にし、様々な情報を得ること。そして、数多くの事件を解決してきました。
ある悪徳警官を追っていたある監察官が、何者かにより滅多刺しにされ殺された。その捜査を引き続き黒滝が請け負った。
悪徳警官の部下を飼い慣らし、妻を犬にし、不正を暴き真相に近づきかけた黒滝の前に様々な壁が立ちはだかり・・・。
次から次へと襲いかかる壁。二転三転する事実。本当に息もつかせぬ展開に一気読みすること間違いなし。
本当のドッグ・メーカーは・・・。 -
最初はまるでヒール役かと思われた黒滝が 話が進むにつれ 実はそうでもないことがわかったり。
どこかで折れてしまうのかと思われた美貴が 信念を貫き通したり。
黒滝のいい相棒と思われた羽場が 実はいつのまにかヒールになってたり。
ほんとに味方なのか最後まで判断つかなかった白幡も。
どの方向に話が進むのか ハラハラして 一気に読ませる。
白幡が回してきた井筒だけど なんかこの人だけは一貫して信頼できると思えた。山形弁の威力かなぁ。方言ってなぜかいい人に見せる。でも こんなやり手がただのいい人なわけないか…笑。
今回久しぶりに手にした深町秋生の3作品は それぞれほんと面白くて どれも一気読みさせる。 -
これは面白かった。やり口がかなり汚いので人によっては嫌悪感を持つかも知れない。それでも、非情な手段を用いながらも巨悪を許さないとする正義感を感じるので、不思議と清々しさも感じます。
それなりにボリュームのある小説ですが、冒頭から緊張感が途切れないので、結構一気に読めます。 -
この人、最近はすっかり「警察小説の書き手」になってきた感がある。
時代小説と並んで、警察小説というのもエンタメ分野の「ドル箱」なのだろう。
Amazonの警察小説ジャンルを検索すると、名前も聞いたことのない作者が山ほどいて、ビックリする。私のような門外漢が想像するよりも、ずっと裾野が広いジャンルなのだ。
警察小説の中でも「悪徳警官もの」というか、警察組織の腐敗に焦点を当てる作品が多いのが深町で、そうした偏りはいかにもこの人らしい。
本作もしかり。警察内部の不祥事を摘発するためのセクション・警視庁人事一課(通称「ヒトイチ」)の監察係を主人公に、腐敗しきった警察官僚たちとの戦いを描いている。
……のだが、監察係である主人公・黒滝誠治も、悪を倒すためなら違法捜査も辞さないアブナイ刑事として設定されている。
タイトルの「ドッグ・メーカー」とは、狙い定めた相手(警察官やその妻など)の弱みを握ることで、相手を意のままに操って捜査に利用する黒滝の汚いやり口(=自分のイヌにしてしまう)を意味している。
GPS発信機や、パソコンのパスワードを自動解析するソフトを仕込んだUSBメモリ、ペン型の刺突用護身具「タクティカルペン」(『闇金ウシジマくん』によく出てくるヤツ)など、黒滝が違法捜査に用いるガジェットのたぐいも興味深く、スパイ小説的な面白さもある。
深町作品には珍しく、エロ要素は皆無。グロ要素も控えめ。その点ではわりとおとなしい作品で、万人受けしそう。「もっと売れたい!」という作者の強い意志が感じ取れる。
初期作品のキワドイ感じが薄れてきた分、初期からのファンには物足りないかもしれない。が、私はこれまで読んだ深町作品のうちでも上位に位置すると感じた。 -
誰が敵で誰が味方か、最後の最後まで気を抜けないまま読み進めなくてはならない。主人公の黒滝は決して褒められた警察官ではないし、むしろ嫌悪感さえ覚えそうなやり口でエスを甚振り、情報を得ようとするが、警察内部の隠蔽体質連中の腐り具合がさらに上回るので、結果、毒を以て毒を制すかな。黒滝のえげつなさに多少後ろめたさを感じつつも、爽快・痛快感は得られマス。
深町さんが描く女性警察官は今作も素敵。怯えるどころか、自身が着火点になりそうな苛烈キャラの相馬が格好いいのなんのって。一向に食えないキャラの警務部長の白幡と、山形弁の元公安探偵・井筒など、脇キャラがいい味出していて、読んでいて楽しい。また、このメンバーで続きがあるといいな。 -
悪とは、正義とは、なんて、考える暇がないほど、ワルがグイグイ迫ってくる。
凄い迫力である。
「警察の警察」と呼ばれる監察の物語。
そうすると、警察内部の不正や、ワナ…と、重た~くなりそうな予感だったが、正義なんてそっちのけで、ワルばかりが闊歩し、その迫力が気持ちいいほどだ。
警察官だろうと、欲にまみれる。
保身に走る。
そんな腐ったヤツらを相手に、実に生き生きと、主人公は動き回る。
凄腕刑事として公安、組対と渡り歩いた黒滝。
凄腕なのだが、そのやり口は、「まともな」警察官が見れば真っ青になるほどダーティーなもの。
エス(情報屋)を作るため、弱みを穿り出し、身動きできないようにする。
弱みという首輪をはめられた犬を生み出すということで、ついたあだ名が「ドッグ・メーカー」。
ある事件で部下をボコボコにして交番勤務へと追いやられた。
そんな黒滝を、人事の相馬美貴が監察係に引っこ抜く。
監察係では、ある告発を受けて、赤坂署の悪徳刑事を内偵していた同僚が何者かに殺害される。
黒滝は、相馬の命を受け、捜査を開始する。
警務部長の白幡、相馬、黒滝の三人は、腐った警察を相手にした戦いを挑むのだが…。 -
面白かった。登場人物がいずれも一癖二癖あり。最後も、これで完結でも続編があってもいいと思える終わり方。