- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101214719
作品紹介・あらすじ
大手電機企業が発表した巨額の「不適切会計」。捜査二課の小堀秀明は、背後に一人の金融コンサルタントの存在を掴む。男の名は、古賀遼。貧しい炭鉱街の暮らしから妹を救うため、体力頼みの場立ち要員として証券会社に就職。狂乱のバブルを己の才覚のみでのし上がった古賀は、ある事件をきっかけに復讐を始めるのだった──。欲望に踊らされた男たちの終わらない闘いを描く経済サスペンス。
感想・レビュー・書評
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相場英雄『不発弾』新潮文庫。
大企業や大手金融機関が抱える『不発弾』。いつそれらが爆発し、多くの犠牲者を出すのだろうか……決して創作や虚構とは思えない迫真の経済小説。
大手電機企業が発表した巨額の不適切会計に絡み、背後で暗躍した古賀遼という男の数奇な人生と企業の不正を暴こうとする捜査二課の小堀秀明の闘いの行方は……
あのバブル崩壊を経験してもなお虚業の中に利益を見出だそうともがき続ける日本経済。大企業はピラミッドの僅かなトップだけが生き残るために玉ねぎ経営を続け、実体経済から離れつつある。
本作に登場する三田電機のモデル企業と思われる東芝の不適切会計だけでなく、シャープの身売りや、NECの4度にも渡るリストラと中核事業売却による凋落といった事実は記憶に新しいところだ。こうした玉ねぎ経営でかろうじて生き残った企業も『不発弾』を抱えているのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全部を理解するのは無理ですね。
ストーリーを追うだけです。
これはフィクションでしょうか。
悲しい現実ですか。
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少々冗長だが、バブル期の企業の不正をモチーフに描く、至極のエンターテインメント作品。会社創業の目的から逸脱した事業に手を染めることによる凋落...。人の、世の中の、社会の役に立つ仕事をしよう。
「儲け話には必ず裏がある。もし誘いに乗りそうになることがあったら、一旦その場を離れて冷静に考えてみるんだな。」当たり前のことを当たり前に行えない人達が、不発弾を抱え、いつか爆発するのだろう。 -
多分モデルは東芝。
九州は大牟田市で生まれ、小さい頃に炭鉱夫だった父を失い、酒に溺れた母から離れるために証券会社で働きはじめる。
金のカラクリがわかってきて、証券会社を辞めコンサルタントとして独立し、金の運用で失敗した会社向けの指南をはじめる。
徐々に裏稼業のフィクサーっぽくなってしまうが、ある件がきっかけとなり、警視庁の捜査対象になる。
と、いうお話。
きちんと調べられていて、浮ついたところがなく、硬派の社会派小説。
別作品も読んでみたい。 -
2023.06.28
事実とその背景をうまく組み合わせて疾走感のあるフィクションになっている。
モデルとなっている人々は「象徴」であって、当人そのものではないのを前提として楽しむべき。
私は楽しんだ。 -
貧しい炭鉱街の暮らしから妹を救うため、体力頼みの場立ち要員として証券会社に就職。
狂乱のバブルを己の才覚のみでのし上がった主人公は、ある事件をきっかけに復讐を始める。飛ばしの斡旋に明け暮れ、外資証券会社のデリバティブやT芝やOLP事件などが話のリアリテイを増す。欲望に踊らされた男たちの終わらない闘いを描く相場英雄さんの経済サスペンス。展開は面白いが、内容の難しいところがあり少し時間が掛かりました。 -
バブルのことをまた違った角度から見ることができる。
あと、なんていうかリアル。 -
真新しい視点はないが、バブル期の金融不祥事等がわかりやすく描かれており、面白かった。過去と現在を行き来するが、主人公の恋人の気持ちの変遷についての描写がやや足りない。
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現在と過去のストーリーが並行して進んで行く。なぜか、のめり込めない。