深夜特急1 ー 香港・マカオ〈文字拡大増補新版〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 240
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235288

作品紹介・あらすじ

インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行ってみたい──。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや……。一年以上にわたるユーラシア放浪の旅が今、幕を開けた。いざ、遠路二万キロ彼方のロンドンへ!

感想・レビュー・書評

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  • オモシロッ!

    「インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行きたい!」と思った26歳だった沢木耕太郎さんによる、ユーラシア大陸横断の紀行文

    大人の豪華な旅だと読んでいる方も虚しくなりますが、著者は日本を飛び出した時に1900ドルしかなかったという怖いもの知らず。。。
    お金がないので色々な節約を試む、珍道中の旅♪
    息子の成長を見守る様に応援したくなりました

    若い時の沢山の経験は吸収力が違うので、自分の中で何かが変わるだろうし、絶対大きな自信につながると思います

    本作品は約30年前に書かれたものなので、スマホもなくナビもなく、公衆電話が出て来たり、地図を片手にと、なんとも懐かしく、あの頃はそれなりに味があって良かったよなあと思いました

    まずは香港・マカオ編

    今も当時もエネルギッシュで、刺激的な香港
    マカオでは、カジノで著者が大小というサイコロ博打にハマり、臨場感溢れるシーンに私もついつい引き込まれてしまいました

    読んでいると香港とマカオに旅行した時を思い出します
    旅行で行く時はここぞとばかりにあちこち行き、お金を使ってしまいますが、この紀行文の様に生活しているかの様に長く滞在していると、地元の人達や観光客との交流があるので面白いエピソードが沢山ありました

    お次は、マレーシア半島・シンガポール編です

    • hibuさん
      こんにちは!
      これ、マジで面白いですよね!
      旅心をくすぐる大好きな作品です^_^
      続きも楽しんでください♪
      こんにちは!
      これ、マジで面白いですよね!
      旅心をくすぐる大好きな作品です^_^
      続きも楽しんでください♪
      2023/06/18
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      hibuさん、こんばんは〜
      なかなか体験出来ない様なエピソードが面白いですよね(^O^)
      これからも良い作品、御紹介お願いします
      hibuさん、こんばんは〜
      なかなか体験出来ない様なエピソードが面白いですよね(^O^)
      これからも良い作品、御紹介お願いします
      2023/06/18
  • 沢木耕太郎『深夜特急1 香港・マカオ』新潮文庫。

    文字拡大増補新版として月に2巻ずつ新たに刊行ということで、再読してみることにした。本作は、沢木耕太郎の名を世に知らしめた作品であり、刊行当時は『若者たちのバイブル』と呼ばれたことを記憶している。また、当時の若い自分に旅をさせる切っ掛けを作ってくれた作品でもある。

    再読してみると、若い時こそ無理をしてでも旅をすべきだと、あらためて思った。日本を飛び出して世界へというのが難しいなら、国内を最低でも1ヶ月くらい旅するのが良い。なるべく節約して、目的や計画も最低限にして、あてどもなく彷徨えば、自分の中の何かが変わっていることに気付くことだろう。

    田舎者の自分には東京でも充分に異国のような喧騒を感じるが、中国やタイには東京とはまた違う質の奇妙な強いエネルギーを感じる。国土の広さや人口規模、風土や文化の違いというだけではなく、人間の逞しさや熱量が日本人とは全く違うように思う。

    この第1巻では、アパートの部屋を整理し、引出しの中の小銭までかき集めて1,500ドルのトラベラーズ・チェックと400ドルの現金を作った著者がインドのデリーからロンドンまで乗り合いバスで移動することを主題に旅に出る場面が描かれる。しかし、著者が東京ーデリー間の航空券をストップ・オーバーで東京ー香港ーバンコクーデリーに変更したのが運の尽き。最初に立ち寄った香港でアジアの喧騒と熱狂に魅了されてしまう。そして、傑作小説『波の音が消えるまで』に描かれていたマカオのカジノでギャンブルにハマる……

    巻末に山口文憲と沢木耕太郎の対談『出発の年齢』と『あの旅をめぐるエッセイI 』を収録。

    本体価格550円
    ★★★★★

    • moboyokohamaさん
      うらやましいです。
      私はもっと思い切りやっておけばよかったと後悔しきりです。
      うらやましいです。
      私はもっと思い切りやっておけばよかったと後悔しきりです。
      2020/06/28
    • ことぶきジローさん
      学生時代、半年間割りの良いバイトで30万円貯めて、夏休みの1ヶ月を使って北海道をさ迷った。社会人になり、毎年、夏には2泊3日で波乗り旅行を楽...
      学生時代、半年間割りの良いバイトで30万円貯めて、夏休みの1ヶ月を使って北海道をさ迷った。社会人になり、毎年、夏には2泊3日で波乗り旅行を楽しんだ。波乗り旅行は15年くらい続けたろうか。海外はグァムに1回、ハワイに2回、アメリカに3回、オーストラリアに1回、タイに2回、中国に3回。その他に国内もあちらこちら行った。
      2023/04/18
    • moboyokohamaさん
      羨まし!
      羨まし!
      2023/04/23
  • 「値段にこの不安がプラスされてはじめて釣り合いが取れるのだろう」は旅というものを一番よく表していると思う笑

    苦手なシリーズものに初挑戦!笑
    (苦手、というのはすぐに息が上がるから)
    足に代わって目で大陸横断に挑む。どこまで続けられるか分からんけど、限界が来た時点で自分がどこにいるかを推測するのもまた楽しい。

    多くの若者を海外に駆り立てた同シリーズ。鬱屈した世界にいる中でこんな挑戦的な紀行文を読んだら、そりゃ国外逃亡したくなる。

    香港編は時代的に返還前であることを失念していた笑(水上生活民の少女のくだりでようやく気づいた)
    壮麗な高級ホテルに張君みたいなエリートイングリッシュ・スピーカー、下町に屋台群、筆者が宿泊した「黄金宮殿」に至るまで香港のあらゆる顔が1チャプター分に凝縮されており、逆によくその中に収まったなと笑

    マカオのカジノと言い、あまりの満喫具合に「出だしから早速骨抜きにされているのでは?」って心配になる笑(現地には行ったことがないけど香港とは真逆で当時は?「生気がない」というのが意外だった)

    マカオではカジノ以外何もなかったのかと思ったけど、ホテルの窓から海を眺めて『孤愁』に出てくる駐在時代のモラエスさんの言動を追体験しているのが何だか羨ましく、自分もそんな旅がしたくなった。

    次はマレー半島とシンガポールらしい。限られた時間、とことん行けるところまで自分も行ってみよう。

    • ahddamsさん
      こちらこそフォロー、コメントまで有難うございます♪
      シリーズものは元々苦手ですが『深夜特急』は物凄く面白くてちょびちょびですが、最後まで完走...
      こちらこそフォロー、コメントまで有難うございます♪
      シリーズものは元々苦手ですが『深夜特急』は物凄く面白くてちょびちょびですが、最後まで完走したいと思っています…!
      香港・マカオから早速スリリングですね笑
      確かに!そして今の時期だとますます旅に出辛いですよね…こうして本の力で旅に乗り出す日々です泣
      2021/12/02
    • sinsekaiさん
      本で旅するってのも、なかなか良いものです
      角田光代の旅エッセイもなかなか面白いので
      機会があれば是非!
      本で旅するってのも、なかなか良いものです
      角田光代の旅エッセイもなかなか面白いので
      機会があれば是非!
      2021/12/02
    • ahddamsさん
      有難うございます♪是非読みたいと思います!
      有難うございます♪是非読みたいと思います!
      2021/12/02
  • 騒動の渦中にある香港やマカオは今はこの本にあるような体験はできないだろうな。

    むかし読んだような気になっていた「深夜特急」を読み直してみた。
    ツアー旅行ではない生の現地を味わえる旅の醍醐味を教えてくれる。

  • 「未必のマクベス」の作中にこの本の名前が出てきて、気になったので読んでみました。
    とても面白いです。主人公の目を通して観る世界の情報がダイレクトに伝わってくるので、自分が実際に香港・澳門を旅しているようで、物語への引き込まれ度合いが段違いでした。この作品がシリーズものであることがとても嬉しいです。

  • 【追悼 平野甲賀さん】
    沢木耕太郎/問題ない、と平野甲賀は言った
    波 2021年5月号
    https://www.shinchosha.co.jp/sp/nami/

    沢木耕太郎 『深夜特急1―香港・マカオ―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/123528/

  • 1986年刊行驚きのロングベストセラーなのです。
    2年程前に、文字拡大新版を刊行。まだ、読者は増えている。

    よく見かけるキャッチコピーは、バックパッカーのバイブル。確かに、インドのデリーからロンドンまで、バス一人旅(この巻では、デリーまでも辿りつけていない。)。ガイドブックには載ってない(載せられない)地域密着型旅行記。

    でもね、それだけではなく、いろんな事情で旅に出れなかった人達の憧憬とカタルシスを得る名作なのだと思う。

    行動自体も面白いが、文章が生き生きしている。その地域の熱量が伝わってくる。
    まあ、私は、温泉でも入り、読ませて頂く。

    • moboyokohamaさん
      ロンドンへ向かう途中の寄り道は香港、マカオ。
      筆者はマカオのカジノで苦悩する。
      「目的達成のために自制心を働かせるべきか、思いのままトコトン...
      ロンドンへ向かう途中の寄り道は香港、マカオ。
      筆者はマカオのカジノで苦悩する。
      「目的達成のために自制心を働かせるべきか、思いのままトコトンギャンブルに入れ込んで、なるようになってみるべきなのか。たとえ旅が続けられなくなっても。
      彼は気づく、ここでやめて帰るのは賢明な判断だ。
      しかし自分が望んだのは賢明な旅ではない。中途半端な賢明さから脱して、徹底した酔狂の側に身をゆだねようとしたはずだ。」

      良いですね〜

      それから著者は香港の屋台前で失業中だが日本のことに大いに興味を示す若者と気が合って話が弾んだ時の話が胸を打ちました。
      その若者は一緒に蕎麦を食べようと言い出し屋台のおばさんに作ってもらい二人で食べた時の話。
      食べ終わると彼は屋台のおばさんに中国語で何か話しかけ、著者にグッドバイと言い残すと料金も払わずに帰ってしまった。タカラれたと思ったが、実はその彼は翌日ありつけるはずの仕事で得られるだろう稼ぎをカタにしてツケでおごってくれたのだった、というやつです。
      著者は書いています
      「情けないのはおごってもらったことではなく、一瞬でも彼を疑ってしまったことである。
      少なくとも、王侯の気分を持っているのは、何がしかのドルを持っている私ではなく、無一文のはずの彼だったことは確かだった」
      グーーーーッときます。

      全編を通してこの感覚の経験が何度か出てきますね。
      とても純粋な気持ちから出た相手の好意を、つい疑ってしまう、あるいは先入観で判断してしまう。
      そして自分の心の狭さを反省する。

      旅に出るとそういう発見があるのですね。
      2022/02/15
  • 著者は地球の大きさを知覚するために
    陸路をバスで伝ってユーラシアを渡る旅に出る。
    しかも英語もままならず、都市の予備知識もなく、金もない。まさに行き当たりばったりの旅である。
    時間だけはある。ダラダラと流れに身を任せていると、その都市のディープな場所にたどり着く。
    良くも悪くも都市のエネルギーをダイレクトに肌で感じ、その土地に染まり、現地民のように過ごす。予定調和な観光では味わえない旅の醍醐味。
    この経験が血肉となって旅人としての嗅覚を研ぎ澄まさせていく。

    こんな風に書いていると著者は破天荒な人物と思われがちだけど、常識もあり、繊細さも持ち合わせた、いたって普通の若者だった。
    そんな常識をわきまえた著者がカジノにハマっていくマカオ編は脳内にドーパミンが噴出。
    非日常感によりどんどん大胆になっていく様が解像度高く表現されていて、スリルと興奮による徒労感が半端じゃなかった。

    ガイドブックや動画では伝わりきれないエネルギッシュな街の臨場感に魅せられた。
    安心、安全がモットーの私にはこんな旅は絶対できないが、そんな私でも酔狂に身を投じられたような読後感だった。

  • 「深夜特急」を読み返すのは何度目だろうか。最初に読んだのは、単行本の第3便が出てから1年後くらいのことだったと思うので、1993年頃だと思う。それから30年近くが経過する。5回くらいは読み返しているはずだ。
    今読んでいるのは文庫版。6冊に分かれている。本の裏表紙にシールが貼ってあり、私がこの本を買った書店名が分かる。記憶になかったのであるが、文庫本の1・2巻は、紀伊国屋書店のシンガポール店で買っている。また、3巻から6巻までの4冊は、紀伊国屋書店のバンコク店で買っている。いずれも、私がバンコクで勤務していた時に、1・2巻は、シンガポールに出張に出かけた時に、3巻以降は、バンコク市内で買い物をした時に求めたものだ。
    シールには値段まで書かれている。第1巻の値段は、12.7シンガポールドル。シンガポールドルって円でいくらかを調べてびっくりした。今の為替レートだと、1シンガポールドルは、100円を超えているのだ。12.7シンガポールドルは1,300円くらい。私がバンコクに駐在していたのは、10年以上前の話で、ちょうど円高の頃だったので、1シンガポールドルは60円くらいだったと思う。
    ついでに、バンコクで買った第3巻の値段は、232タイバーツ。今のレートは、1バーツが3.87円なので、900円弱。私がいた当時は、3円弱だったので、650円くらいだった計算だ。

    それはさておき、第1巻のハイライトは、やはり、主人公の沢木耕太郎がマカオでカジノにはまってしまうところだと思う。お金に余裕のある旅でもないのに、持参したお金の半分以上を、カジノですってしまう。
    しかし、その時の気持ちを沢木耕太郎は下記のように書いている。
    【引用】
    このまま博奕をやっていれば、本当に行くところまで行ってしまうかもしれない。金を失い、これ以上前に進めなくなるかもしれない。ロンドンは無論のこと、デリーにも辿り着けず、いや、東京に帰ることすらできなくなるかもしれない。異国で無一文になり、立往生してしまう。だが、自分がそのような破局に向かってまっしぐらに進んでいるらしいということは、むしろ意外なほどの快感があった。
    【引用終わり】
    沢木耕太郎は、デリーからロンドンまでを乗り合いバスに乗って旅することを目標に、東京を出発する。デリーまでの航空券がたまたま2回ストップオーバーできるので、ということで選んだ最初の寄港地が香港だったのだ。香港からマカオに遊びに行った際に、カジノにはまってしまったのだ。要するに、目標から考えると、まだ旅は始まっていないのに、既に終わりのピンチを迎えているということだ。
    このような無鉄砲さが、そもそも「深夜特急」の旅の魅力の1つなのだろう。

  • 好きなことを好きなようにして、被る損も得も怖いも楽しいも全部自分のもの。他人がどう感じているかは関係ない。自由ってこういうことなんだろうなあと思いつつも、真似できないなと感じた。こうあれたら素晴らしいとも思うし、こうでなくてよかったとも思う。

    ↓以下は本と絡めた自分語りなので注意↓

    香港・台湾・マレーシア出身の友だちがいて、そのメンバーで遊ぶときは基本的に英語だけれど、わたし以外は広東語を理解できる人たちなので、ゲームをしていたり長時間一緒に遊んでいたりするとみんな自然と広東語になっていく。みんなが爆笑していると何を話しているんだろうと気になったりもするけれど、著者のように異国語が音楽のように聴こえてくるときがある。遊びに参加しているのに観覧しているような不思議な心地になるから嫌いじゃない。

    英語もそれほど話せるわけではないのに海外にもう8年以上住んでいることもあって、言葉が通じない怖さも焦りもたくさん経験するけれど、言葉が通じない楽しさも確かにあるなと共感した。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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