深夜特急4ーシルクロードー〈文字拡大増補新版〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1444
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235318

作品紹介・あらすじ

パキスタンの長距離バスは、凄まじかった。道の真ん中を猛スピードで突っ走り、対向車と肝試しのチキン・レースを展開する。そんなクレイジー・エクスプレスで、〈私〉はシルクロードを一路西へと向かった。カブールではヒッピー宿の客引きをしたり、テヘランではなつかしい人との再会を果たしたり。〈私〉は冬の訪れを怖れつつ、前へ前へと進むことに快感のようなものを覚えはじめていた──。

感想・レビュー・書評

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  • アフガニスタンとイランの国境から凄まじいバスの長旅でテヘランへ
    テヘランからシーラズ、イスファンへ

    今回は心身ともに疲れが溜まっている様で、淋しさや恋しくなるシーンが増え、温度も下がり気味

    印象的なのは、
    今まで以上に日本語や活字が恋しくなり、出逢った日本人に本を貰うシーン
    たまたま知り合った者同士7、8人の日本人がいるヒッピー宿に毎日通い詰めるシーン
    大都会のテヘランで公衆電話の中で笑いながら話をする人達を見て、淋しく思うシーン
    何としても日本人夫婦に会いたいと頑張ってテヘランへ向かうシーン

    何の為に旅行をしているのか?
    楽しむ為に旅行をしているのに、お金が無いという現実
    物乞いに対する今までの自分の考えと向き合う
    そして旅というトンネルの向こうにあるものと、上手く折り合う事ができるのであろうか、と不安が忍び寄ります

  •  ペルシア帝国は、アッシリア帝国に次ぐ世界で一番古い帝国なのであるが、ギリシアとの戦争に負けたり、アレクサンドロス大王にあっけなく滅ぼされたこともあって強大な国というイメージはないのだが…
    この本を読むと旅心が掻き立てられる。それにしても行っていない国が多すぎる。こんなに面白くて肩の凝らない旅行記は他にないと思う。

    • hibuさん
      はじめまして!
      「こんなに面白くて肩の凝らない旅行記」に同感です。私もこの作品大好きです♪
      はじめまして!
      「こんなに面白くて肩の凝らない旅行記」に同感です。私もこの作品大好きです♪
      2024/01/17
  • 前回は思わぬ終わり方をしたけど、ページをめくれば著者がケロッとしてくれていて安心した笑 気楽なようでやっぱり前途多難な旅だけど、それと反比例して著者の人間が丸くなっていくのが良い。(元々丸い方だとは思うが…)

    「シルクロード」ー 何度聞いてもそのエキゾチックな響きにうっとりしてしまう。そんなオリエンタルな感傷(⁉︎)に浸っていたらバス同士のチキンレースで旅の幕が上がった。その後もパキスタンでは爆弾魔に誤認されたりとアクション映画に出てきそうな踏んだり蹴ったりが続く笑(←冷静に考えると笑えないが…)

    今の旅人はバスでシルクロードを横断する。でも窓から見える景色は異国情緒に溢れ、世界史の授業で学んだままの世界が生き続けている。著者が空路よりも地表を這うような手段を選ぶ理由が本当の意味で、ようやく、分かりかけてきた。(検疫の役人が旅人の私物を欲しがる事だって何世紀も変わっていないのでは?笑)

    現代のキャラバンとでも言うのだろうか。乗客一行はまさに運命共同体といった感じで仲良くバスに揺られ、時には運転手の都合に振り回される。どうやら今回のW主人公は著者と「青春発墓場行き」っぽい。(バスの「名付け親」に拍手!)

    日本語が恋しくなるからと、会った日本人と手持ちの本を交換するという著者の習慣は自分も真似したい。著者が言うように、本が人の手を渡ってシルクロードをめぐりめぐる絵を思い描くと、やっぱり旅と本は切り離せないと強く頷いてしまう。

    次回はトルコ・ギリシャ・地中海と、いよいよヨーロッパに踏み込む。今まではアジア色が強かったから、きっとここで空気がガラリと変わるんだろうな。そして次の”Something Happens”が何なのか密かに期待している自分がいる笑

  • 沢木耕太郎『深夜特急4 シルクロード』新潮文庫。

    第4巻。インドのデリーからロンドンまで乗り合いバスでの移動を主題に旅を続ける著者はいよいよパキスタン、アフガニスタン、そして、イランへ。

    長い旅に馴れ、無為に時間を費やす著者はそれでも旅のゴールを目指し、前に進む。日常と違う時間を過ごすのが旅の醍醐味であり、旅の時間は様々なしがらみから解放してくれる。自由を満喫するのが旅なのか……しかし、馴れ過ぎると再び日常に戻れるのかという不安が沸いてくるのだ。

    パキスタンの長距離バスの無謀な運転の描写を読み、中国人ドライバーの運転の荒さを思い出した。走っている車より違法駐車している車の方が多いのではと思う中国の道路。違法駐車で狭くなった道路は朝晩は渋滞して当たり前で、中国人ドライバーはクラクションを鳴らしまくり、隙あらば歩道を走ってでも前に行こうとする。そうしたことも含め、海外の旅は面白い。

    巻末に今福龍太との対談『終わりなき旅の途中で』と『あの旅をめぐるエッセイⅣ』を収録。

    本体価格550円
    ★★★★★

    • ことぶきジローさん
      ご丁寧にありがとうございます。
      ご丁寧にありがとうございます。
      2022/09/24
    • koshoujiさん
      えー、ブクログ様から「YouTubeへの直リンクを張ったコメントは即刻削除せよ!!」との警告メールが届きましたので、前のコメントの指摘された...
      えー、ブクログ様から「YouTubeへの直リンクを張ったコメントは即刻削除せよ!!」との警告メールが届きましたので、前のコメントの指摘された部分を削除して書き直しました。ご了承ください。
      現在のブクログの担当者は、この10年間、私がどれほどブクログの普及に貢献してきたか知らないらしいです。
      まあ、makopapa77で検索すれば、私の真の姿が半分ほど分かりますが。

      初めまして。koshoujiと申します。
      亀レスになりますが、フォローいただきありがとうございました。
      リフォローさせて頂きました。
      私は数年前、ひたすらブクログにレビューを書き続ける毎日を送り、300本ほどレビューを書いたのですが、仕事が忙しくなり、最近は殆ど本も読めず、レビューも書いていません。そのうち、また面白いレビューを書くつもりですので、今後ともよろしくお願いいたします。
      2022/10/13
  • 文庫版「深夜特急」の第4集は、インドを出て、パキスタン、アフガニスタン、イランへの移動の旅である。第1集の香港・マカオで旅に熱中し、第2集の東南アジアでは淡々と旅を続け、第3集のインド・ネパール、特にインドで熱中の旅を取り戻した「深夜特急」であるが、この第4集では、再び、どちらかと言えば、淡々と移動する旅に戻っている。磯崎ご夫妻と会って会食する話、あるいは、イスハファンのバザールで、懐中時計を粘って価格交渉して買う話など、個々のエピソードには面白いものが多いが、香港やマカオでの熱狂ぶりと比べると、温度が低い。
    沢木耕太郎は、相変わらずの貧乏旅行を続けているが、その貧乏旅行に対しての私自身の感じ方も、昔「深夜特急」を読んだ時と変わってきている。最初に読んだ30年くらい前の時には、このような貧乏旅行こそが旅の本質(とまでは言わないが、それに近い感覚)と感じていたが、今はそこに旅の本質はないと感じる。
    旅に何を求めるかは旅をする一人一人によって異なるはずだ。私であれば、それは、「経験したことのないことを経験する」ことだ。見たことのないものを見るでも良いし、食べたことのないものを食べるでも何でも良い。そういう旅をするには、「一人旅」の方がやりやすいとは思うが、「貧乏旅行」である必要はないと思う。ただ、「貧乏旅行ではダメ」ということではもちろんない。
    旅に求めるもの、それを実現するための旅のスタイル、は人それぞれであるべきだと思うから。

  • パキスタンの乗合バスは対抗車とぶつかっても気にせず猛スピードでかっ飛ばす。もしかしたら死ぬかもしれないのに、バスを乗り継ぎ旅は続くのだ。
    もう真っ当な生活には戻れないかもしれないという不穏な空気を残したシルクロード編でした。

  • テヘランで建築家の磯崎新夫妻と合うんですね。と言うかこの若造(当時)が磯崎新氏と交流が有った事にビビりました。その現地で出会うまでがフィクションのようなノンフィクション。当たり前ですがスマホの無い時代です。手紙と感だけで会えるもんなんですねー、いや、普通は無理だわw

    旅っていいなあと思いつつ、こんな貧乏旅行は50歳の私には死にに行くようなもんですのでお断りいたします。読んでるだけで大満足。さあ、次の目的へレッツラゴー!

  • シルクロードの道中、ここではイランのイスファンまでの話。

  • シルクロードまで進んで旅にも慣れ、そんな著者が長い旅の中で体験した物乞いへお金を恵むことについてのエピソードが、私にはすごく刺さりました。

    ロッテルダム出身のヒッピーは、落ちたクラッカーのかけらを拾って食べるような、貧乏旅行者ではあったけど、物乞いの子供に持ち金を恵む豊かな心を持っている。
    一方、物乞いに対して、もっともらしい理由づけをしてお金を恵むことをしなかった著者はここで、自分はただのケチなんだ、と思えた。

    私、この場面が、深夜特急全巻通して一番刺さったところです。

    殺伐としたただ赤い岩土が続くカイバル峠、行ったことはないけれど、そこに沈む夕陽の情景が目に浮かんで泣きそうになります。

  • バスについての話が多い。
    長距離バスは普通車相手だとぐんぐん抜いていくが、長距離バス同士になるとお互い譲らず、スレスレまでのチキンレースをし、直前にどちらかが譲る。いつ事故になるかヒヤヒヤものだが、実際にぶつかり、ガラスが割れるなどして乗客が怪我をしても、運転手は運転できる限り運転し続け、乗客も各々で手当をし、目的地に着けばそのまま何事も無かったかのように帰っていくらしい。
    長距離バスが普通車にぶつかったこともあったが、そのまま無視して運転し、しばらくしたところで運転手が乗客に、あれはどうなっただろうね、と聞くと、後ろで走ってるのが見えるし大丈夫、そのままいっちゃえいっちゃえ、と乗客達が言う。
    後ろで走っているのは色が同じなだけの違う車かもしれないのに。そうゆう風に、交通事故に関しては杜撰というのが印象的だった。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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