- Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101244143
作品紹介・あらすじ
かつて、スサノオやオオクニヌシの出雲王朝がこの国を支配していた。韓国から渡来したスサノオは人々を苦しめる豪族=ヤマタノオロチを退治し、出雲平野に豊かな王国を築くがやがて衰亡。南九州から東征してきた天孫族に国譲りを迫られる。その出雲王朝の存在を歴史の闇に葬ったのは?『隠された十字架』『水底の歌』に続く3部作の完結篇にして、日本古代史を塗り替える衝撃的論考。
感想・レビュー・書評
-
スサノオは韓国から来た帰化人だったのか。古代も大陸や韓半島との交流が盛んだったんだな。日本の重心が九州や山陰にあって、今の日本とは全然違う感じだったのだろう。越の国との交流や、その他色々な出来事が地元に息づいて残っているんだな。出雲の国の痕跡を見に行かないとなと思った。出雲大社を含めて。今後も新たな遺跡とかが発掘されて新しい説が出てくる事を期待したい。しかし藤原不比等はすごいな。スクナヒコナもユニークだ。古事記と日本書紀が両方編纂された理由や古事記はずっと人の目に触れていなかったようなので、そう行った諸々のことをもっと知りたくなった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヤマトがイズモを滅ぼしたというのはどこかで聞いたことがあるので特に新味はなかったけど提示されている古事記の読み方がおもしろかった。それにしても古事記で半島の創生は記されていない(?)のにスサノオが下ったところは半島だというのはオイオイですな。
ーーーーー
かつて、スサノオやオオクニヌシの出雲王朝がこの国を支配していた。韓国から渡来したスサノオは人々を苦しめる豪族=ヤマタノオロチを退治し、出雲平野に豊かな王国を築くがやがて衰亡。南九州から東征してきた天孫族に国譲りを迫られる。その出雲王朝の存在を歴史の闇に葬ったのは?『隠された十字架』『水底の歌』に続く3部作の完結篇にして、日本古代史を塗り替える衝撃的論考。 -
富雄丸山古墳の発見とか梅原先生が聞いたら、何て言うかなぁ、と思いながら読了した。
歴史や考古学の専門家とは違う広さで大きく捉えていく。昔ほど梅原節は炸裂しないが、え?と思う発見や刺激がある。 -
「~に間違いない」「~ではあるまいか」「~ように思われる」「~のであろう」といった推断がとにかく多いのが気になった。
以前に「荒神谷・加茂岩倉遺跡の弥生時代と、記紀風土記が編纂された時代では、時間的にかけ離れている。遺跡と文献資料を安易に結びつけることはできない」という考古学サイドの本を読んでいたこともあって、それらを結びつけて論じられるのも、ちょっとうーんといった感じ…。
現地の写真がフルカラーで紹介されているのはよかったです。 -
2016.06―読了
-
神話の世界であった出雲王朝が近年の遺跡、文物の発掘で証明されてきた。「古事記」「日本書紀」に語られた内容を吟味するが、後世の都合よくねじ曲げられた話も推理しながら組み立てていくのも根気が要る事ながら楽しいことなのだろう。本著でふれられた藤原不比等の歴史的役割が大きいことも興味深かった。2019.8.31
-
(01)
「おわりに」とする終章で,「出雲国造神賀詞」が引かれる.そこで「己(天のほひの)命の児天の夷鳥の命にふつぬしの命を副へて,天降し遣はして」とあるのを,「(アメノホヒは)息子のアメノヒナドリをフツヌシに添えて遣わした」としている.この場合,素直に読めば,副使はアメノヒナドリではなく,フツヌシではないだろうか.
著者にとっては些細な誤りかもしれないが,厳しい読者からすれば,このように粗い読みで積み上げられた立論そのものの説得力がなくなってしまうようにも思う.特に,本書でも断定的な論調が散見されるが,その断定が強ければ強いほど論拠が怪しまれてしまうように感じられる.
古代の出雲に王朝(著者は王国とも表現する)があったかどうかはともかくも,出雲に関わる記紀やその他の文献の記述や,現地に遺された遺物や遺跡そのものは,興味深い.それらを観光ガイドなみには紹介した点での本書の価値はあるが,それ以上ではないように思う.
著者との確執も指摘されている司馬遼太郎は,例の「街道をゆく」シリーズの「砂鉄のみち」で昭和50年に出雲近辺を歩いている.司馬は古代から近世にかけてこの地方で生産された鉄を日本文化の進展をみるうえで非常に重視していることが分かる.それは素人目にも出雲の古代のテキストと関連があるように思われる.
著者は比較的知られている司馬のこの著者を読んだ上で黙殺したのか,それとも単に読んでいないのか.いずれにせよ本書では,銅の生産には着目しているものの,鉄についての言及はほぼない.そのことからしても本書のさまざまな立論の論拠は薄いように思うが,どうだろうか. -
読み物としてサラッと読むには面白いと思う。
歴史的な見解については読者ごとに感じるところがあると思うので特に触れない。
読みながら、ああでもないこうでもないと考えながらページをめくる幸せがあると思う。 -
高校時代に「隠された十字架」「水底の歌」を読んで以来、久々の「梅原史観」。従来は常識とされていた考えに次々メスを入れていく手法は、久々に読むと痛快かつ新鮮。錆付いていた私自身の思考に「喝」を入れるいい機会になった(笑)。
藤原不比等については、梅原氏がNHK教育テレビの講座に出演されていた時から主張されていたと記憶している。今回の出雲王朝についての考察も、その延長だろうか。
私が高校時代、梅原氏の講演を聞く機会に恵まれたが、テレビでの穏やかな語り口と違い、自身の思いを熱く語られたことを今でも思い出す。
いつまでもお元気でいて下さい。 -
以前NHKで見た番組で名前だけ控えていたら有名な方のようで、少し期待して読む。
古代出雲は興味がありつつも、ほとんど本を読んでない私が指摘するのもどうかと思うが…考察が物足りない部分が多かった。
視点は面白く、文中の縄文土器の妊婦姿で腹の部分に線が入ってる訳をアイヌの乳児や妊婦が死亡した時の埋葬と類似させているところなどは理解できつつも、なぜ古墳にそれが埋葬されるのかまでの考察がされてない…ような箇所が多く、そこが飛躍的と思わざるを得ない部分でもあった。もう少し突っ込んで欲しかった。
あと藤原不比等が好き?なのかな。彼のことはそんなに知らなく印象だけど、彼が関わったのではと指摘する事業をどれだけ有能とはいえ一代でそこまで出来るのかな?と少し疑問に思う。
ただ出雲神話をめぐる旅の本とすれば写真や各所の宮司から聞いた話など色々楽しめ、文章も読みやすく本自体もスラスラと読めた。
この本を読んで、逆に遺跡等から着想を得た出雲神話の本が読みたくなったので、そうゆう意味でも読めてよかったと思う。