作品紹介・あらすじ
日本の平教授はノーベル賞級天才たちと渡り合えるのか? 勇躍アメリカに乗り込んだヒラノ教授を待っていたのは、目を疑うような現実だった。日本とは桁違いの大学の資金力。教師も学生も一流と二流以下にはっきり分かれる序列社会。「白熱教室」で正義を学びながらも卒業後は金を稼ぎまくるエリートたち。熾烈な出世レース事情から女子大生の蜜の罠まで、涙と笑いのアメリカ報告。
感想・レビュー・書評
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途中から斜め読み。もう20年前だったら面白く読めたかな。
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アメリカでの研究・競争事情やビジネススクールの実態が、気取らぬ文体で面白おかしく描かれる。このシリーズの他の本も読みたい。
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「工学部ヒラノ教授」シリーズの第6弾。
筑波大学の雑務から逃れて、アメリカ中西部インディアナ州にあるパデュー大学に客員准教授として過ごした著者の見たアメリカの大学。その実態を羨望と笑いと郷愁で綴るノンフィクションレポート。
世界で最も競争力のある産業としてのアメリカの大学の実態。一流大学の持つ膨大な資産。リーマンショック前の数字では、ハーバード大2兆円、イェール大3兆円、プリンストン大2兆円、後発のスタンフォード大でも1兆円の資産とその運用益+寄付の潤沢な資金で研究開発を行っている。日本で最大の資産を持つ慶應義塾大学の資産でさえも、その10分の1に過ぎない。
そこでは膨大な知的生産が行われ、ノーベル賞級の数々の業績を生み出してゆく。
ただレーガン大統領の「全ての人の事を考えていると、アメリカ全体が沈没する。上位10%を優遇して向こう岸へ渡ってもらう。そして残りの人達は、その人達に引っ張り上げてもらう」
所謂”向こう岸理論”を境として、アメリカの大学は、ビジネススクールという組織を通じてMBAという邪悪な才能に組織的なトレーニングを施し、世界でもトップレベルの強欲集団を生み出すマシーンと化した。
その結果、上位1%の人間が富の40%を保有する超格差社会が出現し、そこにはかつての「ベスト&ブライテスト」は消え去り、「ワースト&ブライテスト」がいる世界と化した。
挙句の果てリーマンショックに繋がっていく。
そしてその反省のほとぼりが冷めた今は、演出された「ハーバード・サンデル教授の白熱教室」で”正義とは何か”を履修したはずのMBAは再び強欲資本主義のウォール街を目指している。
著者の青年時代を過ごした古き良きアメリカへの哀愁と、一流大学と二流大学の益々広がる格差。その二流大学では、担当教授に身体を売ってでも単位を得ようとする女子大生の話とやらが、涙と笑いの中に展開される。このシリーズの中でも特に面白い一冊である。
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2015/11/1 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/7/24〜7/28
工学部ヒラノ教授シリーズ第6弾(読んだのは4作目)。筆者の今野先生のアメリカ時代を描く。私も1年アメリカにいたが、ほんとにその通り。日本流の考えを持つ日本人にはなかなかに住みにくいところであった。ただし、アメリカ人気質を帯びれば、ほんとに快適なところ。ただ、本書にも書かれているように、貧富の格差は激しいものがあった。文科省は日本の大学をアメリカナイズしているが、表面的なものばかりで空回りしているし、自己資金が豊富なアメリカの大学に対して、貧乏な日本の大学の行く末は暗いなぁ。
著者プロフィール
中大
「1992年 『数理決定法入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」
今野浩の作品