TIMELESS (新潮文庫 あ 76-3)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101251837

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌かどこかで紹介されているのをみて、ふと、読んでみようと思った本。装丁が綺麗で。
    最初、アミが男じゃなくて女の性別で、女性同士の結婚?と思って読み進めていたけど、アミはちゃんと性別が男だったと知って、あ、そうか、とそういう体で読んでいけた。
    途中、アミとうみの息子のアオからの目線のお話に変わるけれど、場面が不思議な世界(夢?現実?)に飛んだりして、そういうお話はあまり読んだことがなかったので新鮮だった。
    最後、アオがアミに会いたいと言ってご対面になるのだけど、その際に、なぜアミが子供が産まれる前に失踪したかがなんとなく伝わってきた。はっきりと書かれている訳ではなかったけど、うみはずっと誰も好きにならないを通していけたけど、アミはうみの事を好きになってしまったんだな、と。なので、独特の切なさに包まれた。そうかあ・・ って。
    でも私はどっちかというとうみ寄りの考えなのかもしれないな。最初は熱い気持ちをもってても、そのうちなんとなく冷めてきてしまう。
    朝吹さんの文章は江國さんの文章を読む感じに似ているのかなと読み始めは思っていたけど、また違った。透明で高貴な飲み物を飲んでいる、冷たくひんやり綺麗にのどを通っていく。そんなイメージがする文の紡ぎ方をする方だと思った。

  • 現代小説でここまで文章も世界観も繊細でレベルが高くて入り込める小説ってあるんだなーって思った。一直線で時間が進んだり過去を回想したりするのではなく膜が一枚一枚重なってるように今になったり過去になったり交差していく。昔撮ったビデオを見返すようにこの物語を読んでるんじゃないかなという感覚になる。恋愛をしなくても結婚して子供を産む事の是非を問う小説だと思って読み始めて、でもこれは純文学だから明確な答えを著者は与えてくれない。読み終わって、この物語の時間の流れを味わうとその選択が正解か不正解かなんてないと思う。ただそういう過去、人生があったということ。こういう過去の文豪のような味わい深い文章を書く人が現代にいるというのは珍しい。

    アミそんなに遠くに行かないで。アミが薄のなかで私を呼ぶ。この最後のシーンから全く愛おしくないわけではないんだろうなと思った。独特の付かず離れず、若干遠いくらいの距離感。

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著者プロフィール

1984年、東京生れ。2009年、「流跡」でデビュー。2010年、同作でドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年、「きことわ」で芥川賞を受賞。

「2022年 『細野晴臣 夢十夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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