あやかしの声 (新潮文庫 あ 7-23)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255231

感想・レビュー・書評

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  • 「世にも奇妙な物語」的なお話ばかり。
    考えて読むと、オチが予想できてしまうので、
    何も考えずに読むのがおすすめ。
    ショートストーリーばかりなので、ちょっとした時に読みやすい。

  •  表題作含む11編収録の短編集。それぞれ趣の異なる作品のため、新鮮な気持ちで読むことができる。1編あたり20~30ページ程なので、隙間時間などにも読むことができる。
     一見、謎解きのような雰囲気の作品もあるがミステリーとも違うため、少し予想外の帰結を迎える作品も多い。「恐怖」と紹介されているが、ホラー的な怖さはなく、どちらかというと日常の落とし穴といった感じかもしれない。
     「死の匂い」「愛のすみか」「鼻のあるスクープ」「俺の力」の4編が印象深い。
     

  • ホラーっていうのでもミステリーっていうのでもなく。読みやすいには違いないけど読みやすかったからって凄く面白かったわけでもなく。怖いならもっと怖くして欲しかったし不思議ならもっと不思議にしてほしかった。まぁ実際にそこらへんで起こるとしたらこういう出来事かもねー、ってくらいで肝心の「あやかし」はどこにも出てきませんでした

  • 「背後の足跡」
    何者かに尾行される男。実は死んでいたという結末は安易。舞台は小平。

    「死の匂い」
    近しい人が亡くなる前に匂いを感じる圭介。最後嗅いだのは出逢うはずだった運命の女。

    「愛のすみか」
    倦怠期の夫婦。昔住んでいた山形のアパートは良かった。しかし逢瀬を交わしたベランダのコンクリートの塊の中には死体が埋まっていた。これも予想できるオチ。

    「車輪の下」
    幼なじみの2人の男は社長と専務になった。昔から変わらない上下関係。夢に見る幼い頃の記憶。電車の車輪の下。社長は死んだ。ラストをもっと工夫すればいいのに。

    「気弱な恋の物語」
    妻を亡くした男が薬剤師の女の子に一目惚れ。しかし勘違いで殺人者だと思われてしまう男。この後誤解を解く展開があれば良かった。

    「鼻のあるスクープ」
    姉弟殺人事件。犯人追う父。結構無理矢理な逮捕劇。

    「灰色花壇」
    娘婿とその後嫁と暮らす老人。昔近所にいたおかしな老婦人。壁に埋まっていたのは骨?この話が一番良かった。

    「弁当箱の歌」
    これっくららいのお弁当箱に 腹わた腹わたぎゅっとつめて 血管きざんでバリュウム散って 膵臓さん腎臓さん 穴のあいた胃袋さん 筋の通った肝臓
    散々引っ張っておいてこれはない。

    「俺の力」
    競馬、野球。自分がそこに行っていれば何か変わっていたかもしれない。最後の説明はいらないのではないか。

    「鉢伏山奇談」
    鉢伏姫の伝説。似た雰囲気を持つ同級生。現代日本ではこういうことは起こらないのではないか。

    「あやかしの声」
    幻聴が聞こえる妻。エジプト出張中図書館跡で声を聞く夫。本の声ならぜひ聞いてみたいものだが。

    全体的に消化不良だし、ラストが弱い。短編だからだろうか。設定は悪くないのに。

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  • 目次
    ・背後の足跡
    ・死の匂い
    ・愛のすみか
    ・車輪の下
    ・気弱な恋の物語
    ・鼻のあるスクープ
    ・灰色花壇
    ・弁当箱の歌
    ・俺の力
    ・鉢伏山奇談
    ・あやかしの声

    阿刀田氏による短編スリラー。

    ☆背後の足跡
    結末が容易にわかった。でも胸がじーんとする話。

    ☆死の匂い
    近しい人が亡くなる前にいつも亡くなる人が嗅いでる匂いを圭介が嗅いでしまうという話。
    最後のオチを持っていくまでの前置きがくどい気がするが、まぁ仕方がないのかも。
    でも最後のオチの持って行き方にがっかり。あんな解説する感じでオチを説明されてもねぇ。ゾクゾクさ半減。
    あと、それまでに匂いを嗅いだ亡くなった人たちはみんな近しい人達。最後の人はそのルールから外れてて、これまた、んー…って感じだった。

    ☆愛のすみか
    まさか…まさか…?のオチ!
    最初ほんわかした話の展開だっただけに、ラストはゾクゾクしたー!

    ☆車輪の下
    ヘッセの詩集にもこんな題名なかったっけ。。。笑
    2人の男(社長と専務)の話。小さい時に電車の車輪の下をくぐるゲームをしてて、その時からその2人の上下関係は変わらず、会社に入ってもその関係は保たれ、
    下のポジションだった男(専務)の夢(深層心理)どおり上ポジションの男(社長)が死んじゃう話。
    またもやラストに説明をつけてしまった事により、惜しいなーって思った。
    私なら、夢の話をしたすぐに、「冷や汗びっしょりで起きた。遠くで電話が鳴っていた。」みたいな感じで終わらせると思う。
    うまく書けないがw

    ☆気弱な恋の物語
    男が薬局やの女の子に恋する話。
    せ…せつねぇ。笑 勘違い(てゆかすれ違い?)によって、女の子の中でものっそい恐ろしい想像をしてしまったみたい。
    男よ、がんばれ。

    ☆鼻のあるスクープ
    スリラーってゆうより推理小説っぽい要素があって面白かった。

    ☆灰色花壇
    これぞスリラー。定年すぎたおじさんが、花壇をいじりながら、昔偶然会った狂気じみた女(おばさん)を回想する話。
    狂った女が「家中に彼がいるの。」って言うあたりがゾワッとする。

    ☆弁当箱の歌
    滑稽な話のような気がするが、それでもゾッとするのは、私がチキンだからか、それとも阿刀田さんの技量によるものなのか。
    ♪これっくららいの
     お弁当箱に
     腹わた腹わた
     ぎゅっとつめて
     血管きざんで
     バリュウム散って♪
    なんにせよ、子供が歌うのって恐ろしい。

    ☆俺の力
    うーん、阿刀田さんの話は、なぜ最後に解説的な説明が入るのだろう。。。そこが好かん。笑
    この話はあまり良くなかった。

    ☆鉢伏山奇談
    鉢伏姫がとても謎めいていて、だからこそ読者の想像に任せる感じがいい。

    ☆あやかしの声
    スリラーですね!
    聞こえないはずのものが聞こえるって1番恐ろしいかもしれない。見えないものが見えるより。
    だって、見えないものが見えたら目をつむればいいが(まぁその後もそのものは頭に浮かんじゃうけど)、
    聞こえないはじのものが聞こえても、耳をふさげばいい話じゃないからね。




    総合的には、3つ星。
    短編だから、淡々と読んでいる。だからその分の感情が少ないからってゆうのもあるからかも。
    後、たくさんの作品の内いくつかは、ラストに作者による説明というか解説チックなものがある。
    これは非常に残念。
    それまでは読者が勝手に本を読んでそのワールドを繰り広げ、自分で想像や判断をしていたのに、いきなり作者にその主導権を持っていかれた感じ。
    「わかってるよ!」って思っちゃうのは私が素直じゃないからだろうか。w

    阿刀田さんの本を図書室でふと目にとまったのは、小さいころに「ショート・ショートの広場」にめちゃめちゃはまったのを思い出したから。
    ワクワク半分、ドキドキ半分(別に半分にする必要ないかw)、この本を手に取ったが、ちょっと期待外れだったかもしれない。
    でも一冊で彼を決めてしまったら申し訳ないので、もう少し彼の本に手を出したいと思った。

  • 「本には命があります」・・おお。

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。
    2007年2月20日読了。
    片道一時間くらいの短距離出張があったので、電車の中用に。行き帰りでちょうど読み終えることができた。98年の文庫かから長き時を経てようやく、という感じ。
    阿刀田氏得意の不思議なすこし背筋がぞっとする感じの短編集。私の一番のお気に入りは「気弱な恋の物語」。そういうオチか、と一番裏切られた感が強かった。

  • 短編集。ブラックジョークとちょっぴり怖い要素が満載。全11話。

  • 阿刀田さんの文庫は、通学中に読むのに最適。これは少しこわめで、前編と押して死をモチーフにしていた。表題、『あやかしの声』は図書館がモチーフ。これが一番好きかな。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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