- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101268033
感想・レビュー・書評
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●関東の私鉄比較 →東武と東急を乗客層、乗客の服装、乗客が読んでいる物、車内広告、沿線大学などから比較。原武史「鉄道ひとつ話」の元ネタか。
●山手線の地形 →これも今尾恵介「鉄道でゆく凸凹地形の旅」の元ネタか。
●というか、自分が知らないだけで、現在の鉄道愛好作家が書いていることは、宮脇俊三がほとんどのことをすでに書いてしまっているのではないか。
●雑誌に掲載された短編エッセイをある程度はテーマ別に編集しているものの、一貫性という意味で長編との違和感が大きい。
●現在ではその魅力を説いた北海道の赤字ローカル線は全滅し、今またローカル化した本線も廃止の危機にさらされている。時代の流れを感じさせられる。
●そう言えば、昔といっても大学や新入社員の頃は朝夕のラッシュ時に尻押しがいたが、いつの間にいなくなったのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宮脇俊三氏の、初期の随筆集。
…というより、あの「山陰ストリップ特急」の所収作と言った方が通りは良いでしょうか(笑)。
タイトルのインパクトや2000年の「旅」誌宮脇特集で宮嶋茂樹が面白おかしく(しかし敬意を持って)取りあげたことで、妙に有名になった感のある「ストリップ」ですが、改めて読んでみると、宮脇氏の文章の魅力がことごとく詰め込まれた名作であることに気づかされます。
鉄道の運賃制度に関する疑問を端緒として、どこか文明論めいた(しかし高慢さとは無縁な)視点が提示されたかと思うと、鉄道旅行の孤独さへと話題は転じ、場末のストリップ劇場へと物語は迷い込む。ここで放たれる「これも客が特急を望むからだろうか」というキッツイ皮肉が、冒頭の文明論としっかりつながって、実に見事。比較的文量のあるエッセイですが、なかなか劇場に辿り着かないあたりも、「道行」を重んじる氏の姿勢を体現しています。
色気も何も無い、淡白な文章。でも妙に方向がずれた艶かしさは伝わってきて、そこが何とも可笑しい。やはり「ストリップ」、有名になるべくしてなった作品のようです。 -
14/12/22、ブックオフで購入。