ごんぎつねの夢 (新潮文庫 も 37-2)

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  • 新潮社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101276120

感想・レビュー・書評

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  • 本岡類『ごんぎつねの夢』新潮文庫。

    先に読んだ『聖乳歯の迷宮』が面白かったので、新刊の本作も読んでみることにした。

    新美南吉の童話『ごんぎつね』を題材に展開されるミステリー。新美南吉が書いたとされる、もう一つの『ごんぎつね』の結末。当時は見えなかった過去の真実が現代に蘇る。

    なかなか手の混んだミステリーである。児童文学史の謎と人質立て篭もり事件の犯人の大いなる謎とが巧く融合し、読者に思いも寄らぬ結末を見せてくれる。


    15年振りに開催された中学校のクラス会。その会場にきつねの面を被り、散弾銃を持った男が乱入し、同窓生を人質に立て籠もる。駆け付けたSATに射殺された男は中学校の恩師、長門文彦だった。

    長門は教え子を妊娠させるスキャンダルを起こし、中学校を辞めて、塾の講師を務めていた。

    人質になったクラス会幹事の有馬直人は長門から「ごんぎつねの夢を広めてくれ」という謎のメッセージを託していた。フリーライターの有馬は長門が事件を起こした背景を調べ始める。

    次第に見えて来る長門の過去、新美南吉の『ごんぎつね』にまつわる史実、行方不明となったままのかつての同級生が抱える秘密。その全てが繋がり、最後の真実が明らかになる。

    本体価格710円
    ★★★★

  •  同窓会に散弾銃を持って乱入してきたキツネの面の男。警察に射殺された男は、同窓会の幹事だった有馬にとって、特別な恩師だった。かつて女生徒を妊娠させた、というトラブルで職を追われた教師が遺した言葉、『埋もれている「ごんぎつねの夢」を広めてくれ』という言葉の謎をめぐって、有馬は新美南吉の、そして先生の人生を辿っていく――。
     ということで、童話『ごんぎつね』をめぐるミステリは二転三転しつつ、最後はしみじみとした余韻とともに幕を閉じていきました。前作の『聖乳歯の迷宮』でも思ったのですが、まったく別々のところにあったふたつの点が綺麗に結ばれて、強い余韻が残るのが魅力的であり、印象的でした。ネタバレの問題もあり、すこしぼかした言い方にはなりますが、〈読者〉だけが見る未来に夢や想いを馳せたくなるような、そんな作品でした。

  •  大きな小説にする感じの構想だったのかな。割とオチはこじんまりしてた。

  • クラス会で立てこもり事件を起こし、射殺されたのは、かつての恩師だった。「ごんぎつねの夢を広めてくれ」とメッセージを受けたフリーライターの主人公は、その謎を探るため、新美南吉に傾倒していた恩師の足跡を辿りはじめる…。新美南吉の人生に絡めたミステリ。

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