運がいいと言われる人の脳科学 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101279534

作品紹介・あらすじ

すべてがうまく行く人と八方塞がりな人。それは、運が「いい」か「悪い」かの違いと言える。頭が良ければ、誰もが成功を手にする訳ではない。過去のネガティブな経験を増幅させず、未来に向かう姿勢こそ重要。何をなすべきかを感じとり、スジが良い脳を育てることに意味がある。世界一のアスリートや優秀なビジネスパーソンが、まさにそうだ-脳と感性の研究者が説く「運」の極意。

感想・レビュー・書評

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  • 脳ほど素敵な装置はない
    人工知能研究者として ヒトの感性をメカに搭載していく
    その過程で「装置」としての秀逸さに驚かされた著者が
    自分の脳に人生を導いてもらおうじゃないかと書いた一冊

    潜在意識と顕在意識の連携がスムーズだと
    直感が鋭くつかみがいい脳=運のいい人 なのだそうな

    そういったことを日常生活におこる様々なシチュエーションを使って
    わかりやすく解説してくださっている
    「企業実務」に掲載された文章なので
    基本的に男性ビジネスマン向けの表現が多いが
    自分の環境にあわせて読み変えていくと面白く非常に役立つ

    2018年著「前向きに生きるなんてばかばかしい 脳科学で心のコリをほぐす本」に

    子育てが成功したかどうかは56歳にならないとわからない
    その年齢で人生を愛せているかどうかの一点にかかっている

    と書かれていた
    著書をいくつか読ませていただき 
    レビューにもよく書かれてあるように
    息子さんへの愛情が半端ない

    この本が書かれた当時は20歳の息子さんも
    56歳で人生を愛する運のいい大人になっているだろう

    3つの異なる著書がひとつにまとめられている
    「運がいいと言われる人の脳科学」
    「情のことば、知のことば」
    「家族脳」

    どれも単独では興味深い内容であるが
    表題の内容を読みたかった人にはまとまりなく感じられるかも

  • 〈本から〉
    ヒトの体臭には、フェロモンと呼ばれる物質が混じっており、これは、遺伝子の免疫抗体の型ごとに匂いが違う。つまり、私たちは、体臭で、遺伝情報を周囲に知らせているのである。

    暇になった海馬は、知識工場へと変わるのである。起きている間の出来事を、何度も再生して確かめ、知識に変えていく。さらに、過去の知識と結合して、より汎用性の高い知恵にも変えていくのだ。海馬は眠らない。というより、「脳の持ち主が寝てから」が、海馬が俄然活性化する、真骨頂の時間なのである。

    脳科科学上、「いかによく眠るか」は「いかに頭を良くするか」とまったくの同義なのだ。上質の眠りは、上質の脳をつくる。

    上質の眠りをつくり出す、脳内神経伝達物質がある。メラトニンと呼ばれるその物質は、網膜が闇(一定以下の光量)を感じると分泌されるようになっている。
    メラトニンは、昼間でも暗がりで目をつぶると分泌されるが、分泌最盛時間は真夜中の四時間ほど。二十二時から午前二時の間なのだ。略
    脳は最大限の活性状態で暮らすことになる。今日の経験が、知識や知恵となって脳に留まる。加えて、免疫力も上がる。直感力が働いて強運になる。
    眠りの最大の敵は、「日没後の刺激の強い光」である。略
    眠りの最大のサポーターは、「早起き」である。朝、目を覚まして、朝日(朝九時くらいまでの太陽光線)を目撃する。そこからほぼ十五時間後に、脳には自動的にメラニンが溢れるように分泌しだすのだ。略
    起床時のコツは、一気に明るいところへ出ることだが、最近の自然光型蛍光灯でも一定の効果はあるので、暗い朝が続くようなら、蛍光灯の眩しさでも代替できる。

    セロトニン、朝、重点的に分泌されるが、一日中脳に「しみじみとした、穏やかな達成感を感じやすくさせる」という効果をもたらす。ささやかなことにも幸福を感じやすい脳になるので、「情緒豊かでキレにくく、好奇心や意欲を萎えさせない」状態をキープすることに貢献しているのだ。このホルモンが、「天然の抗うつ剤」とも呼ばれる所以である。

    過去を思い煩わない、未来を心配しすぎない。今を、無邪気に生きること。
    略 ネガティブな想念を無駄に増幅しないことが、成果の質を決めるのである。

    人は、長く生きてくると、多かれ少なかれ、環境の変化が穏やかになり、どうしても「回路の固定化」は進んでしまう。そのとき、ネガティブな思考回路にフィックスしていると、目も当てられない。
    略 魂の無邪気さが、脳の神経回路の自在さを創り出し、しなやかな発想と幸福感を創り出す。運がいいと言われる人の基本条件である。

    脳の柔軟性のために必要な三つのホルモンがある。一つは、ドーパミンと呼ばれる脳内神経伝達物質である。ニューロン同士をつなげるシナプス信号を強めて、新たなネットワーク構築をアシストする。脳の好奇心とモチベーションをあげてくれる大事なホルモンだ。前述したセロトニンも、脳を活性化して、学習効果を上げる脳内神経物質である。三つ目は、雑信号を抑制するノルアドレナリン。脳の反応を活性化するだけでは、信号が多方面に広がって収拾がつかなくなる。ノルアドレナリンは、雑信号を抑制して、集中力を作り出すのである。
    実にこれらのホルモンはすべて、運動(汗ばむ程度の筋肉負荷をある一定時間行うこと)によって分泌量を増やすのである。

    リーダーの条件とは、周囲を笑顔にする力。つきつめると、案外、それしかないかもしれない。

    周囲を笑顔にする力。これは、ときに奇跡を作り出す。運がいいと言われる人に、必ず備わった力でもある。周囲を笑顔にするのは、実は、簡単なことなのだ。自分が、嬉しい気持ちでそこにいればいいのである。あらゆることに好奇心を働かせ、そこにいることを楽しむ。ただ、それだけだ。しかしながら、きっと、「常に、そこにいることを楽しむ」ことい自体が、一般には難しいのに違いない。

    自らの脳の底力を信じる。運がいいと言われる人になる、最大の奥義である。規則正しい生活をして《神経系のストレスを軽減し》、無邪気に生きて《脳全体の神経繊維の連携をよくし》、自らの神経系にその判断を仰ぐ。それが、私が、これまで語ってきたことの本筋である。

    脳は、自分にはない能力が見えない。見たことのないものも、なかなか見えない。

    ヒトの脳には、明らかに、語感とかたちを関連づける人類普遍の機構がある

    脳の才覚は、常に弱点と表裏一体である。しかも、相反する脳の持ち主には相手の弱点だけが見え、違いが愚かに見えてしまう。

    「好き」の反対は「無関心」、「嫌い」は意外に「好き」に近い。そう知ったら、人間関係がよりタフにならないだろうか。

  • 脳の3%しか使われていないは根拠なし。
    ★流れを掴むには
    「結果を出さないといけない」思考から「〇〇の工程がもっと楽しく、速やかにできる方法は?」と発想する。「責務で仕事をする」より「好きで仕事をする」
    ★脳の神経回路の自在さを作り出し、しなやかな発想と幸福感を創り出す為には過去を思い煩わない。未来を心配し過ぎない。今を無邪気に生きる。これが運が良い人の基本条件。
    ★時代の先頭を走るつもりなら「混み合って来る言葉」にいち早く気付こう。今までにない風合いの言葉に触れたら、頭の隅に入れておく。この習慣が運をもたらす可能性は高い。言葉→志向→食べ物→ライフスタイル全てに関連してくる。
    ★脳は自分の持っていない才能を認知することすらできない。
    ★男の人生は「原点や起点との距離を測る人生」「心の拠り所」との距離を測りながら世界観を広げていく。「原点=母親」がふらふらしていると不安で動けない。
    ★「痛い思いをしながら後天的に手に入れる才能」の利点は、客観的に手にした能力だから知見が思考領域で整理されていて、ブレない。安定して発揮できるし、経験を重ねれば重ねるほど、精度が上がってくる。
    ★「〜してあげれば良かったね」→当事者に寄り添う言葉なので、トラブルがトラブルになりにくい。

  • 科学的に、脳科学を語っているのに、非科学的に、ロマンチック。

    この著者の本、大好きです。
    彼氏に読ませたい。

  • 脳科学といっても難しい内容は無く、一つのトピックが5ページ程度なので読みやすい。タイトルの、内容は第一章部分 この内容はなるほどと思う点も多く興味深かった 第二、第三章は自分の脳にはパッとしない内容だった

  • 題名に魅かれて手に取った本。黒川さんの本は素人にもわかりやすく興味深い内容なので、結構好きだ。しかし、この本は何冊かの本を組み合わせてできているので、運がいいことに関する文章は前半のみだった。新潮社のせいでちょっとがっかり。

    語感と実物の話が面白かった。マシュマロとおせんべいを、実物を知らない人に見せたら、間違いなく柔らかくふわふわした物体の方をマシュマロだと答えるらしい。舌や口の中の動きによって、脳が質感までも把握するというのはなんだか不思議。もし自分の名前が「キクコ」とか「カキエ」とかだったら、もっときっちりした人間になっていたかもしれないと思った。

  • ・脳の中には、直観の回路と理詰めの回路があり、その二つは同時同質には働かない。
    ・真実は直感だけが連れてくる。
    ・直近に組織を動かすことはできなくても、自らを肯定し、ずっと心に留めていてほしい。

  • どんなに沈んでも7週間待ってみる、というのを覚えておきたい。

  • 彼からの課題図書ラスト!
    黒川伊保子さんのような素敵な女性になりたいなと思います。言語についてもたくさん触れられているので、言語を生業にしているわたしはさらに刺さりました。ふとした時に思い出して実行しよう♪

  • 3.5
    読みやすい文章。なかなか興味のある内容。当事者というのはなかなか好き。潜在意識と運の考えも好き。

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著者プロフィール

黒川伊保子(くろかわ・いほこ)
1959年長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。
(株)富士通にて人工知能(AI)の研究開発に従事した後、コンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年(株)感性リサーチ設立、代表取締役に就任。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発、マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。人工知能研究を礎に、脳科学コメンテーター、感性アナリスト、随筆家としても活躍。著書に『恋愛脳』『成熟脳』(新潮文庫)、『人間のトリセツ ~人工知能への手紙』(ちくま新書)、『妻のトリセツ』(講談社+α新書)、『定年夫婦のトリセツ』(SB新書)、『息子のトリセツ』(扶桑社新書)、『思春期のトリセツ』(小学館新書)、『恋のトリセツ』(河出新書)など多数。

「2022年 『女女問題のトリセツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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