- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101294766
感想・レビュー・書評
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とある地方都市で暮らしている人々の話。
丁寧な文章で純文学のお手本みたいに感じました。
読み進めると地方都市と登場人物の過去や現在の状況がだんだんわかってきます。
「苦い手」のほのぼのしているけど、最後のちょっと寂しいかんじが印象に残りました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
息の長い文体は昔から変わらないけれど、本当に日常の何気ない情景を精緻に描く大家になったのだなと改めて思った。75
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山肌にドミノ倒しのように立ち並ぶ鉄塔、緩やかなように見えて実は急な未見坂、そこを走るバス路線、坂の中ほどにある今は老人ばかりが残された市営住宅、寂れた個人商店・・・。
尾名川流域の架空の土地に住む人たちのささやかな日常を描く物語は、子供の頃のどこか懐かしい匂いと、時代に取り残された寂しさを感じる。
同じ地域を舞台にした物語ということで「雪沼とその周辺」のような作品でありながら、それぞれの登場人物が重なる安易な連作短編になっていないところもいい。
堀江さんの作品を読むと、どんなもんだとばかりに意表をつくような小説や、紋切型の仰々しいキャッチコピーで飾られる小説がなんとも薄っぺらく思えて仕方がない。
なにが起こるわけでもない日々、だれの日常にもありそうな情景が他にはないというほど絶妙の言葉で描かれ、「あ~そんなことあったな~」と懐かしい気持ちにさせてくれる心地よさ。
自分の中にある原風景を反芻しつつ、いつまでも余韻に浸っていたくなる良質な物語でした。 -
一箱古本市
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傑作『雪沼とその周辺』の姉妹編となる連作短篇集です。
とはいっても、『雪沼とその周辺』を未読でも十分に楽しめます。
『雪沼とその周辺』と本作は、どちらも静謐な文章によって紡がれた地域社会を舞台としています。両者の相違点を強いて挙げるとすれば、前者は総じて祝祭的であり、後者は総じて祝祭的でありながら陰影(たとえば入院、死亡、離婚などがもたらす陰影)にも富んでいます。
いずれも魅力的な作風ですが、印象の強さでいうと、構想の瑞々しさが伝わってくる『雪沼とその周辺』でしょうか。 -
200 みちくさ
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2013/2/9購入
2014/7/27読了 -
武田氏に勧められて、スノボ帰りのバス内で読んだ本。
どこにでもいる、でも一癖も二癖もある、人たちの日常を切り取った一冊。どこかに影を感じながら、それでも日常を生きていく、その決意を感じとることができる。文章は日常の描写をきめ細かく緻密に描き、読み手は想像力を総動員して文章の世界につかり、徐々にその全貌がわかってくるようになる。こんなに静かで、丁寧な小説は久しぶりだった。
最後の解説は、自分の言葉を代弁してくれたかのようにしっくりおちてきた。記念すべきブクログ第一弾!