- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101298528
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
恩田の「夜のピクニック」みたいな爽やかな
青春ものだった。
四畳半みたいな男汁物を期待して読んだ私からすると、薮から棒が剛速球で飛んできて、みぞおち辺りに突き刺さったようなものである。
つまり、読んでいて死にそうになった。
誰も彼も、有能で、健全で、眩しすぎる。
全ての登場人物から友情の甘い匂いがする。
甚だ恐ろしい。
なんでそんなものを信用できるのか。
どうゆうふうに生きてこれば、
そんなものを纏えるのか。
あまりにも余裕がありすぎるではないか。
これじゃあまるで貴族だ。
そう貴族だ。私は平民だ。そう、平民だ。だから仕方ない。うん、仕方ない。以下略。
社会階級で口を糊して生き延びるとは、我ながら「奴隷根性ここに極まれり」といったところだが、青春物はもう少し鬱々としてくれないと毒気が強くて読めたもんじゃない。 -
「カレーライフ」に続き2冊め。「カレーライフ」も好きだったけど、今回のも私の好きな部類だ。青春群像劇というのか、前途ある若者の、悩みながらも前に進んでいく話は気分がいい。他のももっと読んでいこうと思う。
「10年前」と「現在」が交互に描かれるが、みんなの成長が感じられて嬉しい。リュータの消息を調べていく過程でわかる寮生たちの進路や就職先。朝井リョウの小説を読んでいても感じることだけど、偏差値が高いと言われる大学に行っている人は、ちょっとくらいのバカをやってもみんなたいてい落ち着くところに落ち着く。1年間の浪人なんて長い目で見れば大したことないんだと感じさせる。
煙草を吸うシーンが多いことや、ファミレスに車で行ってるのにちょっとビール飲んじゃうシーンとか、今から20年くらい前ってそんなだったんだなー。それからバブルの時代って予備校もバブルだったんだなと改めて気付かされ、確かに昔の代々木は予備校だらけだったなと思い出した。 -
数年ぶりの再読。何度目かはわからないが。
30歳成人なんてものを、当時はなるほどと読んでいたものだが、今は法律上も18歳成人である。 -
自分は大学受験をしていないからこそ、こんな青春に満ちた受験生活を送ってみたかった嫉妬から★★★★★
-
青春小説ですが、ミステリー風味もありぐいぐい読み進められました。浪人生たちのこだわりの(?)受験勉強スタイルや恋愛や寮生活と、その後の人生の対比がなんとも面白く描かれて、魅力的な物語になっています。
-
一年間、同じ寮で過ごした10人の浪人生。
もちろん受験勉強が毎日のメインなのだが、そればかりではなく、恋愛あり、ケンカありの日々。
そして10年後。
30歳を目前にした彼らは社会に出て、それぞれの人生を生きている。
互いに連絡をとりあうこともあまりなくなっていた頃、「リュータが死んだ」という噂が流れる。
主人公アキラは、入寮直前に出会ったリュータやヨージと出会ったと行動を共にすることによって、なんとなく親の言うとおりに生きていた自分から変わっていく。
いくら学生時代に仲がよかったからといって、10年間音信不通の友だちが「死んだ」という噂を聞いて、1年かけて所在を追究するかな。とか。
話が出来過ぎ。とか。
そんなことはあまり気にならないくらい、面白かった。
浪人生と言ってもしょせん若者。しかも男の子が10人。
おバカもやります。
悩みもします。
そういうのが、目に浮かぶように生き生きと描かれていて、読んでいて楽しかった。
私は浪人したことも寮生活をしたこともないけど、なんかいいなあと思った。
必死にやったからこそ、思い返せば懐かしい。
そんな青春があるってことが、宝物だと思うので。 -
「浪人てさ、今は予備校生の代名詞みたいになってるけど、元はどこにも仕えてない武士のことだったんだし、幕末の頃は脱藩して国を離れた志士のことでもあったんだよな」
主人公のアキラにはすごく共感してしまった。どこにもひっかからなかったから浪人して、特に目標もなく浪人生活を送ってるところとか。ただ、アキラは最後は自分のやりたいことが見つけられたんだけど。私も絵を描くことが好きで、それについて勉強したり、それを仕事にできたら楽しいだろうなぁって思う。だけど、思うだけで、今もなんとなく大学生やってる。この本に出てくる人たちはみんな夢とか目標があって、正直羨ましい。