だれが「本」を殺すのか 上巻 (新潮文庫 さ 46-5)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101316352

作品紹介・あらすじ

本が売れない-。相次ぐ出版社の倒産と書店の閉店。活字離れと少子化。毎日200点もの新刊が並ぶのに、「本」を取り巻く状況は、グーテンベルク以来の未曽有の危機に陥っている。果たして「本」を殺したのは誰なのか。書店、図書館、流通、出版社、あるいは著者…、その「事件」の犯人を割り出す、過酷な追跡が始まった。すべての関係者に隈なくあたった、渾身のルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 書店も次々潰れてる現代、読む人も買う人も減ってきてる現状
    くるしいなあ・・・

  • 内容はすごくいいけども、著者の考えは今となっては古いので読み飛ばしてしまう。
    特に図書館の章は著者の押し付けが多すぎて読んでてイライラしてしまった。でも、内容はほんとにいいんですよね。みんな本に対する愛があるので、思うところは多くても読んでしまう勢いがありました。謎の感動が残ります。

  • 山本義隆 磁力と重力の発見
    小熊英二 民主と愛国
    版元 70% 取次 8%  書店 22%
    八重洲ブックセンター 鹿島がついている
    平凡社 東洋文庫
    山陰 今井書店
    鈴木敏文 ヨーカ堂の前にトーハン

  • ほぼ10年前に単行本で出版され、2004年に文庫化された本書はおそらく現在は通常の商流上には無い本である。
    絶版ではないかもしれないが重版未定扱いなのかもしれない。
    なので、ボクはこの文庫上下をアマゾンのマーケットプレイスでブックオフから古本として「1円」で購入した。本体価格上下2巻で2円、送料2冊で500円、計502円で購入した。
    本書でもトピックとして語られている、「アマゾン」「ブックオフ」という国内既存業界にはない新手の侵略者からでに入れたわけだ。
    出版年から10年も経ち、本書で述べられている出版流通業界の停滞はなんら改善されていないと思われる。
    昨年の電子書籍ブームの仕掛け人が問題視していた業界の姿勢となんら変わっていないことに驚いた。
    ほんとにこの出版業界というのは摩訶不思議な業界のようだ。
    この川上から川下まで澱みきった業界への警鐘に満ちた本書はいまこそ再読するにふさわしい。

    ちなみに、ボクは本書を入手するやいなや自炊して電子化しiPadで読了した......時代なんだろなぁ。

  • 1990年代の出版業界の状況を考察したノンフィクション。書店、流通、版元、図書館、業界人など、本に纏わる現状について取材し問題点を考察する。
    ノンフィクションの面白さを知った一冊。本がどのように生まれ、消えていくのかいろいろ勉強になった。この当時、著者は活字離れにより出版業界の将来を危惧していたが、20年経って業界は未だに生き残っている。一時期、電子書籍の登場により紙の本が絶滅すると言われたけれど、業界はメディアを多様化させて対応している。人に文字を読みたいという欲求がある限り、本は殺されることはないと思う。

  • 出版業界のビジネスに興味を持って。不況と言われて久しい気がするが、問題は電子書籍の登場だけではなくいと感じた(~2004大学時代の本@202012棚卸)

  • 2004年(底本2001年)刊。上下巻中の上巻。
     
     再販、取次、そして新古書販売。本書の叙述内容は、他書にもあるのでさして目新しくはない。
     そういう意味では、中公を讀賣が買収した件や関係者のインタビューの多さ、問題点の網羅という点を除き期待外れ。
     というよりも、本書のアマゾンへの言及のレベルを見るに、内容が少し古く、もう少し早く読んでおくべきだったか。

     しかも、教養主義への過剰な批判目線は俄かに首肯しかねる。勿論、教養主義の強調と墨守によって倒産する出版社は存するが、それは教養主義の問題ではなく当該会社の経営の問題に過ぎない、
     本書にある現実の倒産事例では、売り切れない数の初版刊行数を普く書に蔓延させてきたことが原因に読め、これは純然たる経済要因である。にもかかわらず、教養主義自体への批判的叙述を展開しても余り説得的ではない。

     そもそも教養主義が支え、支えてきた専門研究や基礎研究が現実社会の縁の下の力持ちになっていることを、著者ともあろう人物が想像できないのであろうか。
     医者は最新研究を医学雑誌や書籍等で得ていくだろう。経済政策や教育政策を司る場合も同様だろう。

     換言すれば、著者の論法は「物理や数学を知らなくても生きていくのに困らなかった」と宣う某作家らと五十歩百歩なのだ。

     図書館批判論も同質だ。ロジックが明快ではないが、図書館員の公務員的体質と、図書館の貸本屋構造が書籍販売の阻害要因と看做している故のようだ。
     が、図書館がなくなれば図書館利用者が当該書籍を購入してくれるはずとの著者の前提は果たして実証的か。単に読まなくなるだけではないか。
     少なくとも本書から実証性は伺い得ない。
     また、そもそも図書館が多数の著作の定期的かつ大量購入元であることを失念しているのでは?なかろうか。

     かかる図書館の構造を忘れた著者の主張は説得的ではなく、感情的な売文屋のレベルを超えない。つまり的外れに読めてくるのだ。

     なお、返品率が4割を超える状況にあるなら、初版発行部数の4割減と新刊点数の絞込み。つまり売れる範囲だけ作り、売り切る方針に変えないと、須らく旧中央公論社の二の舞ではないのか。
     また図書館は利用者条件に地元住民という地域制限があるのだから金太郎飴化するのは「最低限の確保」という意味では必然かつ止むを得まい。むしろ金太郎飴化の問題は本屋の方に顕著で、これこそ構造的な問題に他ならないのではないか。

     ここまでくると、図書館の問題と書籍の商業流通・販売の問題とは次元がかなり違って見えてくる。
     図書館自体の問題、例えば、図書館の機能論。地域的最低限の確保で良いか。司書のレベル論(が、医者ですら外科と内科、脳神経など細分化され、現代での発展が顕著な中、一般的な司書に著者の期待するレベルを実現するのは無いものねだり過ぎ。逆に養成にかかる費用がかかり過ぎるという問題を生みそう)と、書籍流通・販売の再販・委託返品制とは被ってこない。

     こういう問題意識を持ちつつ、下巻に進もうか。

  • 4〜5

  • 読み始めてしまったと思った。10年以上も前に書かれた本ではないか!小説ならばいざ知らず、時の流れで刻々と状況が変わっていくこのような社会本を10年も経ってから読み始めるとは…。
    冒頭、この文庫本が発行された前年2003年の出版物総販売額が2兆2278億円と記されている。ところが10年後の2013年には1兆6900億までさがっている。約4分の3だ。ところが、逆に新刊点数は8万2200点と、2003年の7万3000点に比べて増加している。
    最近でブックカフェや個性ある本屋さんが増えてきて、本屋好きにとっては楽しい時代の到来のようにみえるけど、それはやはり一部のヤル気ある本屋さんと広告代理店のがんばりだけで、底上げにはなっていない。
    再販制度(出版社が価格を決め、定価でしか売れない)と返品制度(売れなくても返品できる)が悪いのか。
    図書館、ブックオフ、アマゾン、電子ブックの存在が業界を脅かしているのか。実際図書館以外は当時よりもさらにパワーアップしてますからね~、TUTAYAなんかではコーヒー飲みながらタダで本が読めちゃう。まともに買うのがばかばかしくなりますよ。
    本屋がんばれ!これを読んで以来、街の本屋さんでもちゃんと本を買って読まなければと、反省した。

  • レビューは下巻で

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者、業界紙勤務を経てノンフィクション作家となる。1997年、民俗学者宮本常一と渋沢敬三の生涯を描いた『旅する巨人』(文藝春秋)で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2009年、『甘粕正彦乱心の曠野』(新潮社)で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞。

「2014年 『津波と原発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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