供花 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101319322

感想・レビュー・書評

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  • 町田町蔵こと、町田康の第一詩集。読んだ。

    残念ながらパンクとは縁がないが、パンクの歌にでもなりそうな詩が並ぶ。というかじっさい歌われてた詩なのかな。
    知らんけど(これ町田康おなじみのフレーズ)

    これ、完全に念仏。読んでいると、むかし、こんな破戒僧がいて、こんなお経を作ったんだ、というような気がしてくる。
    だからこんなの、音楽といっしょに歌い踊ったらたらそりゃトランス状態にでもなるだろう。念仏ダンス。良寛さんも顔負けの念仏詩集。

    何言ってるかわかんないけど、無闇にかっこいい詩なんかも揃っている(「きりきり舞い」とか)。

    でも本書に住まう詩神はなんとなく照れ屋で、
    すぐに横文字を使ったり(「頭を振り立ててキルギスへダウン」「ピープルふうふういってるぜ」)、
    熟語を使ったり(「完璧な肉を利用して 不義が頭脳を彫刻する」)、
    尊敬語を使ったり(「後退せよとおっしゃる声がする」)、
    無意味な音発したりして笑わせてくる(「ずんべらぼになてずんずん」)。

    私の好みは「じゃがいも詩集」数編。これらめちゃくちゃよい。タイトルが全部料理の名前。
    例えばこんなの。

    「ポテトサラダ」

    泥酔した小生
    十手を持って踊る
    ドラムを叩き
    ポテトをマッシュする

    ……と呆れるほどの開き直った無意味がつづいていく。朗読で聴いたらさぞ可笑しいだろうなあ。

  • 町田康の小説は大好きなんだけど詩をちゃんと読んだのは初めて。
    ことばの紡ぎ方がぶっとんでいるので、「読む」というよりは目に入ったときの感覚でぴんとくるかどうかなんだろうなあ。
    食べ物系とかわいそげなおっさん系でぴんときたのが多かった。
    うどんが多い。町田康はヤキソバのイメージもあったんだが。


  • 【書誌情報】
    『供花』
    著者:町田 康(1962-)
    ISBN:9784101319322
    出版社:新潮社
    判型:文庫
    頁数:192
    定価:362円(本体)
    発行年月日:2001年09月
    底本:『供花』(思潮社 1992年)

    ※新潮社サイトに本書のページは無い。
    https://www.shinchosha.co.jp/sp/writer/2807/

  • さすがイヌ。やっぱスゴイねこのひと。なんというか、言霊のなんたるかをわかっているひとだなあという気がします。

  • 熱く、都会的な頽廃感と個の独創性が魅力。小説だけでなく、詩も素晴らしい。

  • すごい… ちょっと震えたわ。

    言葉のリズムとか出てくる順番が石原吉郎に似てる気がする。
    私が石原吉郎を好きすぎて、町田さんの詩の中に石原吉郎的要素を見い出してしまっているのかもしれないけど。

    言葉の繰り出され方が自分好みで立て続けに2回読みました。

    食べ物に対するこのこだわりは何?

  •  やかましい、と思ったら、書いてる本人の方が先に突っ込んでしまっているような、そんな詩でもあり、そこから開き直るかのように、憎しみがあちらこちらに向けられ、その憎しみをなぞることが、それが軽口に託されていることが、その過剰なことが、やかましいことが、いかんともしがたくなってくるような、そんな感じだった。

  • 12/21

  • 101001(n 101024)

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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