ゴランノスポン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.60
  • (17)
  • (34)
  • (30)
  • (12)
  • (0)
本棚登録 : 527
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101319339

作品紹介・あらすじ

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。明日またくる朝。浅漬――。現実から目を逸らし、表層的なハッピー感に拘泥する表題作「ゴランノスポン」。自らの常識を振りかざす人間の暴力性を浮かび上がらせ、現実に存在する歪みを描く「一般の魔力」。現代と中世が書物を介して烈しく混ざり合う「楠木正成」他、秘蔵小説7編を収録。笑いと人間の闇が比例して深まる、傑作短編集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 相変わらずの町田節に翻弄された7つの短編集。

    一番印象的なのは『末摘花』。
    色々な作家さんが描く光源氏を読んだけれど、町田訳・光源氏も躍動感があっていい。
    これぞ男の本音、という心理描写が面白い。光源氏ファンには怒られそうだけれど。。
    あと、頭の中将ってこんなにウザい男なんだ。。
    普段モテモテの光源氏が末摘花に焦らされてキーッとなる過程は、ざまあみろ、といった感じ。ま、自業自得ですね。
    町田訳・六条御息所もぜひ読んでみたいので、町田さんいつか描いてくれないかしら。

    『楠木正成』を読んていたら、以前読んだ『ギケイキ』を再読したくなった。
    大河ドラマの菅田将暉の演じる源義経が『ギケイキ』の町田訳・義経とイメージにピッタリかも。

    ラストの『先生との旅』。
    何度も出てきた「日本中世におけるポン引きと寺社権門」。内容がとても気になってしょうがない。

    表題の『ゴランノスポン』。
    てっきり何か意味のある言葉かと思っていた。
    表紙のイラストもかわいいし。
    中村文則氏の『解説』によると「この番組はご覧のスポンサーの」からきているらしい。現実逃避していたのに現実に引き戻される瞬間を効果的に表すため、とある。
    言葉が途中なのは主人公が現実に戻るのを拒否するためチャンネルを変えようとしている、らしい。
    各短編の誰もが何かから「醒めた」瞬間を経験しているから…なるほど、と最後で納得。

  • お尻の彼よ 健やかなれ
    表題作のやうに
    泉に感謝してる描写を読んでみたひナ

  • 著者の小説、初読み。猫エッセイの文体そのままに、不条理な世界の短編小説が7編収録されていた。表題作「ゴランノスポン」が「ご覧のスポンサーの……」からという解説にショックを受けた。カバーの奈良美智の絵から「ゴランノスノポン」という変な単語が頭の中に何度も出てきてしまった。難しい単語が、ルビもなしにポンポンでてきて、これまた大変だったな。昔読んだ筒井康隆を思い出す。

  • 表紙の絵が奈良美智なので、本屋でみかけた時てっきり吉本ばななの本だと思って手に取ったら町田康でした(笑)。

    歴史モノ?と呼ぶには語弊があるけれど歴史上の人物が出てくる「楠木正成」と、源氏物語のアンソロジーで既読の「末摘花」は別として、他の5つの短編は、題材は違えど同じテーマだった印象です。リア充な幻想というか中2病的な妄想だったり、いずれもなんらかの錯覚から醒める瞬間のお話。

    愉快な仲間たちとピースフルに生きている自分という幻想、快適な生活という幻想、そこそこの会社に正社員で入った勝ち組という幻想、尻から浄めの水が出る自分は選ばれた人間だという幻想、自分が同行してるのは偉い先生だという幻想・・・薄皮いちまいの仮面の下は嫉妬や不満、憤怒がマグマのように渦巻いているのに、それに蓋をして自分を騙し続けても、いつかそれは破綻する。

    表題作のタイトルの意味がわからなかったのですが、中村文則氏の的確な解説にて解決。いわゆるテレビ番組の最後に流れる「この番組はご覧のスポンサーの提供で・・・」というあれ、あれを部分的に抜粋したのが「ごらんのすぽん」ではないかと。なるほど!つまりそれは、テレビというフィクションの世界から「現実に引き戻される瞬間」のこと。なるほど!

    ただ個人的には、町田康にしては全体的に破壊力(?)が物足りなかったかなあという気がします。なんだろう、文学作品として小ぎれいにまとまってる感じがして。もっと破天荒でいいのになあ。

    ※収録作品
    「楠木正成」「ゴランノスポン」「一般の魔力」「二倍」「尻の泉」「末摘花」「先生との旅」

  • 短編集
    楠木正成、末摘花の歴史をなぞった短編は自分の知識量が足りないのもありついていけなかった。
    「一般の魔力」「尻の泉」はどんな人生を歩み、どんな心理状態になればこんなぶっとんだ発想の小説を書けるのか笑いながらも驚くばかり。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/682492

  • 2023/1/4購入
    2023/5/28読了

  • 読む前も、読んでる途中も、読み終わってからも、
    テレビのCM前に流れる「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました」から、タイトル思いついたのかなと、どうでもいいことが頭から離れなかった…

    全く関係ないけど


    オススメは、楠木正成

    全体的に 怖い 人間的な怖さ
    こんな人が身内にいたら、嫌だなって思うのと、
    自分にも、気付いていないだけで、もしかしたら、こういう嫌な部分あるのかも、という葛藤

  • 町田康にはまったきっかけの本。オカンは嫌がってた。

  • 途中で挫折

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田康の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×