桃色浄土 (新潮文庫)

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著者 : 坂東真砂子
  • 新潮社 (1997年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (591ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101323213

桃色浄土 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 主人公にも坊さんにも感情移入が出来なかったので退屈でした。 実写映画かドラマが有るなら、りんだけは見てみたい。 「イタリア」「素潜り」「エンゾ」と聞けば『グラン・ブルー』を思い浮かべてしまう。金髪で長髪のジャン・レノを想像してしまった・・・。絶対に似合わんやろなぁ。

  • 小さな四国の漁村に、異国船が現れた。船長のエンゾが、採れなくなったはずの珊瑚樹を見つけたことをきっかけに、平和だった村は、破滅へと向かう。
    時はすでに大正だというのに、隔離されたこの村では未だ神仏が人々の心を支配している。それゆえ、主人公の健士郎が憧れる西洋へと続くその海は、村人にとっては、珊瑚によって命を落とした死者たちの呻き声が渦巻く海であり、補陀楽浄土へと続く海なのだ。相変わらず身の毛もよだつ描写が満載。

  • 持ち味なのだろうけど、ごちゃごちゃしすぎ。潜水夫だからといって、エンゾという命名は安直。

  • この作家の他作品はあまり好みではなかったので、意外感込みで星四つ。
    妙な怪談系の話ではなく、ある意味王道を行く好著。

  • 小説の中で、珊瑚を取りに高知にイタリア人がやってくるのだが、実際にイタリア人が船に乗って来ていたらしい。当時椅子というものがなくて、現地の人がイタリア人のために椅子を作った?もしくはイタリア人が自ら作ったと父が言っていたのを思い出した。この小説、自分にとっては運命を感じる作品。いろいろと。補陀落浄土、いけるものなら行ってみたい。

  • 大好きな作家さんの一人です。
    この著者の汗ばむような湿った土の匂いを
    感じさせる どろどろした世界観がたまらないww
    信仰。嫉妬。欲望。愛情・・・。
    人間のいい面も悪い面もすべてさらけ出して
    必死に生きてる村人達。
    面白くて読み出したらとまりません。

  • 「13のエロチカ」短編集。私が今までに読んだ官能小説のベストワンと言ってもいい。
    「愛を笑い飛ばす女たち」真っ向勝負の女性論(つまり男性論)で読み応えあり。
    今までに読んだ坂東眞砂子さんの本はこの2冊だけ。

    今回初めて彼女の長編小説「桃色浄土」を読んだ。
    小説というより「物語」と言ったほうがぴったりくる、本当に面白い本である。

    大正中期、四国の隔絶された漁村に異国船が現れた。目的は高価な桃色珊瑚。
    珊瑚は採れなくなって久しかったが、イタリア人エンゾが海に潜って珊瑚を発見したことから、欲望にとり憑かれた若者たちが暴走し始め・・・。
    直木賞作家の傑作伝奇小説。(本のカバーコピーから)

    物語は人間の欲と恐怖や青春の夢と恋など多彩なお話の流れで読者を引き込み、読み出したらもう途中で止まらない!2日連続、喫茶店で数時間かけて一気に読了した。

    素晴らしいシーンはいくつもあるが、私が一番印象に残ったのは、この物語では脇役の「さね」。彼女は早く夫を失くし、村々を廻る魚の行商で女手ひとつで息子を育ててきた中年女。
    「さね」は、我々人間の欲と弱さを象徴するような凡婦である。彼女は村に住みつき村民に口先だけで極楽浄土を説いている放浪坊主映俊と愛欲の交わりを繰り返す。ひとり息子を必死に育てながらも世の中の汚泥が体に染み付いて腐ったような女である。

    「さねは、いつも誰かにしがみついてばかりいた。最初は夫。夫が死んだら、息子に。息子が死んでからは、珊瑚や映俊にすら、しがみつこうとした。そのまま死んでいたら、きっと生きていた自分にしがみついただろう。あの亡霊たちのように。さねはそのことを山崩れに遭う直前に悟った。そして、自分はそうなりたくない、と思った。もう誰かにしがみつくのはこりごりだ。」

    山崩れに遭って死の間際に、さねは映俊を自分のそばから追っ払う。
    「うちを・・・・ひとりにしとうぜ」

    「さねの前には、もう海しか見えなかった。頭上には晴れ間が覗いていた。時化(しけ)の後のすっきりした空だった。その青さが心に滲みてくる。自分の今の気持ちと同じ色だ。こんなに静かな気持ちになれたのは、何年ぶりだろう。空の青さを反射して、海は次第に灰色から灰青色、そして青色へと変化してくる。やがて海と空の色はひとつになり、境目は消えてしまった。今や彼女は青一色に包まれた。
    さねは躰が軽くなるのを感じた。
    うちは、もう何にもしがみつきゃあせん。
    最後の意識のかけらが消えた時、さねは澄んだ青の世界に溶けこんでいった。」

    なんとも美しい場面である。すべての依存や執着から離れ、さねは仏になった。成仏した。
    乞食坊主映俊がいう補陀落浄土(天国や極楽のような島、悟り、成仏)への渡海がこの物語のひとつのテーマであるが、この物語に登場する漁村の人たちは、彼女以外誰ひとり補陀落浄土を見ることが出来なかった。海難、山崩れ、殺し合いで多くのものは欲や恐怖や煩悩とともに死に、残された者たちもまだ道は遠い。

    「納棺夫日記」の著者によると、凡夫凡才でも死の直前には仏の光を見るというが、すべてのひとがそうなるということではないように思う。死の直前に仏の光を見るには、生前にそれなりの生き方をしたか、そうでなければ死ぬ前に飛躍した覚悟か僥倖が必要ではないだろうか?

    「さね」は、夫を失って極貧の苦労にあえぎ、ひとり息子に死なれ、情を交わした男に刺され、山崩れで死を迎えるという苛烈な人生の奔流の中で覚悟が舞い降りたのだろう。

    難しそうなことを書いたが、物語として本当に面白い本である。
    文章から、磯の香りや波の音、汗や血のにおいが漂ってくる。全篇、大正時代の漁村の土俗的な空気に満ちた荒々しいエネルギーが溢れている。会話はすべて高知弁であり、方言の人間くささがたまらなく嬉しい。物語が好きな方にはお勧めである。



    2010年04月24日 13時43分 [ 閲覧数 18 ]

  • 時は大正。四国土佐の漁村を舞台に珊瑚をめぐり、イタリア人、地元の若い男女が繰り広げる愛と欲。背景には貧しさ、それに浄土思想が絡まりあって・・・ 

  • 大正中期、四国のさびれた漁村に異国船が現れた。異人に惹かれる海女のりんと彼女を好きな幼なじみの健士郎。乱獲の末に獲れなくなったはずの桃色珊瑚が異人によって発見された。欲にとりつかれた若者たちが暴走し始める。古い迷信がまだ伝え残っていた時代。

    若者たちの激しやすい感情がうまく書けている。欲にとりつかれたり嫉妬に気が狂いそうになったり。言い伝えに翻弄されて生きたり死んだり。それでも時が過ぎれば、また同じように生きていく。

  • 読んでいて切なくて仕方がなかった。
    時間も時空も関係なく、人の想いがこんな風に
    彷徨っているのかと思うと、懸命に生きないと
    悲しい過ぎる。
    このタイトルが内容を見事に言い表している。

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桃色浄土 (新潮文庫)の作品紹介

大正中期、四国の隔絶された漁村に異国船が現れた。目的な高価な桃色珊瑚。乱獲の結果、珊瑚は採れなくなって久しかったが、イタリア人エンゾはあきらめずに海に潜り続ける。そんな彼に惹かれていく海女のりんを幼なじみの健士郎は複雑な気持で見つめていた。やがて採れないはずの珊瑚が発見されたことから、欲望にとり憑かれた若者たちが暴走し始め…。直木賞作家の傑作伝奇小説。

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