白いしるし (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7882
感想 : 665
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349572

感想・レビュー・書評

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  • 分かる。とても分かるよと思いながら読んでいた。
    間島さんがタイプそのものだったので感情移入してしまい辛かった。
    登場人物全員が誰ひとりとして軽くない。たった1人に執着して自ら傷つくことを選んでいる…選ばざるを得ない状況にいる。
    それでも、夏目はちゃんと振られたからまだ良かったように思う。
    他の2組はそれぞれ別の地獄に堕ちていく未来しか見えなくて先を考えると恐ろしい。

  • 人を好きになるって、厳しいよね。
    人生長いから、穏やかな恋も良いよ。

  • はじめましてな、西加奈子。

    言葉が見つからない。
    ある人と出会った時の事を思い出した。
    すごく短いんだけど、なんだこれ。
    すごいな、これ。

  • 最後の方の展開がスピード速く、???の連続だった。
    起承転結の転の部分が一番面白かったかも。

  • 「美しい、て思って。自分が悩んでいたことや、夫や、夫の新しい恋人への憎悪や、自分自身への自己嫌悪や、そういうものが本当に、パーッと霧が晴れたようになって、お腹の底のほうから、生きる希望、というのですか。とても清潔な欲望がふつふつと湧き上がってきて、ああ私は大丈夫だ、て思えたの。」
    「何かを、ではなく、こうやって、美しいものを見て泣いた自分を、信じよう、て。」

    羨ましいな。エネルギーをくれる美しいものに出会えるなんて。

    夏目が叫んだり泣いたり感情を激しく表すとき、私も泣きたくなった。強い感情、強いエネルギー。好きな人の音、匂い、力。全身でそれを捕まえようとして、いっぱいになって。なんでかわからないけど泣いてしまう。

  • 自分のものにならない人を好きになる。この気持ちばかりはどうしようもない。諦めようと思えば思うほど、心は強く求めてしまう。
    全力で恋をする夏目の痛々しさと美しさに、今の自分の恋を重ねた。この思いを忘れようとしている今、読むべきではなかったのかもしれない。

  • 痛い

    と思った。

    夏目が間島に惹かれていく様子が。運命を感じ、心踊り、罪悪感に打ちのめされ、もどかしさに悶える様子が。

    この作品を無理矢理カテゴリ分けするならば、「恋愛小説」というジャンルになるだろう。恋愛小説としての『白いしるし』は、痛い。ヒリヒリする。昔の、苦い恋の思い出が蘇ってくる。そのときの自分の息づかいと共に。

    一方でこの小説は、「表現とはなにか」「表現とどう向き合うべきか」を問いかけてくる作品でもある。

    アーティストである夏目や間島、瀬田は、自分というもののなかに深く深く潜っていく。それぞれが、ただひたすらに、自分の感情に嘘をつかないようにしながら生きている。

    その様子はときにいびつで、強烈だ。登場人物たちの闇がくっきりと描かれたこの作品は、弱っているときに読むには少々パンチが強すぎるかもしれない。

    言葉の選び方が綺麗。表現が多様。怖いもの見たさで、またこの作者の作品を読むかもしれない。

  • 猛烈に恋に落ちてしまう。
    何とも交わらない白、を描くひとに。

    その引力の強さが、この小説の強さになっていて、惹きつけられて離れなかった。一気に読んだ。読み終わったあと、しばらくぼーっとしてしまうくらい。

    わたしが熱烈に恋をしているひとも、アメリカンスピリッツを吸っているから、どきっとした。

    報われなくてもいいから、救われますように。

  • 画家などの芸術家が主人公ということでひと癖もふた癖もありそうだなと思ってましたが、、、。
    まず、スルスル読めました。主人公の恋愛体質な生き様が、程度の差こそあれ共感できた部分があったからかもしれません。。。(知らんがな恥汗)言っても主人公ほどの行動力は皆無ですけど、、、
    友達付き合いの心地よさと希薄さの加減に、今時の付き合いでそういうものなんかね、と思ったり、
    瀬田くんのにゃんにゃんぶりに驚いたり
    所々驚く要素がありますが、まじまくんのような危うく不思議な男性に強烈に惹かれてしまう主人公の感性につい共感でした。惚れるきっかけて些細なことでだったりするんですよね、、、。しろや稜線の美しさとか、、、

  • 2年のブランクを経てした恋は恋を超えるものだった。
    そんな感想です。
    ある意味大人の恋愛なのかな。こういう形の大人の恋愛があってもいいのかな。

    相手を好きではある。
    ただもう好きを超えたところ、くっついてしまって引き剥がさないといけない、相手を産んでしまいたい、そんな恋愛。

    間違いなく恋愛小説なんだけど、全く新しい恋愛小説でした。

    彼も彼女もきっと誰よりも純粋で正直なんだと思う。
    その人達から絞り出される恋愛。なんと真っ直ぐで強いことか。一歩間違えればおかしいとさえ思う。
    人のタイプにもよるんだけど、こんな恋愛すごいなぁ。
    私は絶対やだけど!笑
    しんどそう!笑
    でも誰よりも自分に正直にいる姿に関してはとても羨ましく感じるなぁー。

    どこが好きとかじゃない。
    存在そのものというか本体が恋愛対象。
    すごいなぁ。のめり込んでるなぁ。

    きっと恋愛のごちゃごちゃを全部取っ払って、『恋愛』ってものだけを残したときに、その『恋愛』はこういう姿をしているんだろうな。





    @手持ち本

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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