閻魔の世直し: 善人長屋 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101357751

作品紹介・あらすじ

周囲から「善人長屋」と呼ばれる千七長屋。差配も店子も表向きは堅気のお人好し揃いだが、実は裏稼業を営む悪党だらけ。ある日、「閻魔組」と名乗る三人組によって裏社会の頭衆が次々に襲われ、惨殺される事件が発生する。天誅を気取る「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は奴らの正体を暴けるか。人情溢れる時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 善人長屋 シリーズ2

    「善人長屋」と呼ばれる千七長屋。
    差配も店子も表向きは堅気のお人好し揃いだが、只一人を除き、実は裏家業を営む悪党だらけ。

    江戸の盗賊達が「閻魔組」を名乗る者達に襲撃される事件が出来する。

    襲撃された七人の頭衆は、江戸の裏社会をまとめるために欠かせない楔だった。

    その楔が一斉引きぬかれ、裏社会そのものが音を立てて崩れようとしていた。

    「善人長屋」の面々は、それぞれ情報を集め「閻魔組」の正体にせまる。

    そんな折、差配・儀右衛門の一人娘・お縫は、常廻同心・白坂長門と出会う。
    お縫は、長門から目が離せなくなる。

  •  今回は長編でしたね。

     『閻魔組』を名乗る人物たちがお江戸の悪党を皆殺しにしていくという事件が起こっている状態の中で、お縫は同心見習の白坂の言葉に悩む。『善人を気取る者ほど、胡散臭い』

     それは悪党ばかりの善人長屋を疑っているのではないかと。

     それからも続く人殺し。

     事件を追いかける善人長屋の人々。

     今回はお縫ちゃんが少しかわいそうだったな。

  • んーいいわー(^^)こういうなんとも温かい余韻に浸れる時代小説、大好き。人斬り、閻魔組、出てくる内容は血生臭いけれど、それをあまり感じさせない裏稼業がある善人たちの二面性がたまんない(*´꒳`*)

  • 長編はやっぱり読み応えある!
    今回はお縫ちゃんの心の揺れが大きくどきどきした。

    悪人を襲う閻魔組の掲げる正義と言う名の大義名分は恐ろしい。
    それに迎合する世間もまた恐ろしく、善人長屋の人たちは怖かっただろうなぁ。
    彼らがどんどん閻魔組を突き止めていくけど、まさかの犯人にビックリした。

  • お人好しばかりの“善人長屋”と呼ばれる千七長屋の住人は、たったひとり本当の善人の加助以外は、実は全員裏稼業を持つ悪党揃い。
    ある日、的屋の元締を皮切りに、江戸の裏稼業を仕切っていた頭たちが「閻魔組」と名乗る三人組に次々に襲撃され、その場にいた全員が惨殺されるという事件がおこる。
    「閻魔組」は“役人が捕まえられない悪党を成敗する”とのふれ込みで、一時は町の人々からも支持されるが…


    うかつにも、シリーズものと気付かず、第二作から読んでしまった。
    長屋の差配人で故売屋の儀右衛門の娘・お縫が、「閻魔組」のうちの一人と思われる町方役人・白坂にほのかな恋心を抱いたことが、物語に彩りを添えている。

    悪党揃いの長屋と言いつつ、誰もが根っからの悪党ではないので、一周まわって人情あふれる時代ものになっている。
    店子の面々の得意技の描写があまりないのは、先行の第一作に描かれているからと思われる。

    むむ、第一作に戻ろう…

  • 「善人を気取る者ほど、胡散臭い」という定廻りの白坂長門の言葉!いいねえ、わくわくする。善人長屋と呼ばれる千七長屋は、実は裏稼業を営む住人ばかり。いや、一人だけ根っからの善人がいて、これまたいい味を出している。西條奈加の人物造形は実にうまい。出てくる人物、皆血が通っている。ストーリーも上手い。善人長屋シリーズ第二弾だけど、第三弾出ないかなあ。(後で調べたら、第三弾2016年に出てたよ)

  • 201512/前作より事件の規模が大きくなって、気になる展開が続いた。お縫の思慕が唐突感で、年頃の娘はそういうものだと言ってしまえばそうだけど、何故惹かれたのかもうちょい丁寧に書かれててもいいのでは。

  • 『善人長屋』シリーズ、第二作。前作は連作短編でしたが、今回は長編。しかも話のスケールが大きくて驚きました。それでも長屋のみんなは変わらず情に厚い。切なく苦しい恋模様も織り込まれ、読み応えあります。

  • 話がどんどんでかくなってきて、どうなるかと思っていた、
    今回、善人の加助はあまり登場しなかった。

    白坂長門とお縫ちゃん 結ばれると面白かったのになぁ。

  • 「善人長屋」の続編江戸の町に突如現れた閻魔組。閻魔組は江戸の悪に天誅を加える!!と、
    香具師の元締めを始めに次々と裏稼業の頭とその仲間たちが殺されていく。
    江戸の読売は悪を裁くとはやし立てるが
    閻魔組の行動は更にエスカレート
    罪のない人々にまで及んでしまう。
    江戸から悪が一掃されるようにみえたが
    さらに治安が悪くなる。
    善人長屋の差配をつとめる儀右衛門と
    住人達はこの事に危機感を覚え動き出す……。



    差配の娘お縫の行動にイラッとするけど
    恋する気持ちは誤魔化せない…ましてや初恋だもの。
    最後ちょっと切なかったなぁ…。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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