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- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101376240
感想・レビュー・書評
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読み終わるのが惜しくなるような、そんな本に巡り合うことがあります。これもそうです。といいますか吉川潮先生の本はすべてそう。今回も味わい尽くすようにゆっくりと時間をかけて読みました。
戦前から戦後にかけて活躍した芸人、柳家三亀松の一代記。都都逸、さのさ、三味線漫談、そのどれを取っても一級品。
芸もさることながら、私生活のハチャメチャぶりといったらありません。数多の芸者と浮き名を流し、元宝塚スターとの結婚式を抜け出して愛人宅を回って別れ話をつける。
金遣いも派手そのもの。借金してまで飲み歩き、芸人仲間に奢る、裏方連中に心づけを振る舞う。まさに江戸っ子の見栄ですね。
個人的に感激したといえば、私が仕事をしている「岩見沢」が出てきた場面。戦中、北海道巡業で岩見沢を訪れたのですね。舞台で「皆さんも大事な物は防空壕に入れておいたほうがいいですよ」と言ったものだから、巡査に咎められます。それをとっさの機転で切り抜け、楽屋連中から「さすが先生。いい啖呵を切る」と褒めそやされ、株を上げます。
三亀松が人気絶頂の時に岩見沢へ来て、こんなエピソードを残すなんて感激です。
これで吉川先生の「江戸っ子芸人三部作」はすべて読了。春風亭柳朝、廣澤寅造、そして柳家三亀松。どれも痺れました。参りました。至福の時間でございました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三亀松さんの藝が
突出しているのはむろんのこと
その藝を
こよなく愛した
贔屓の人たちの
歓声と拍手が
伝わってくる
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