ウルトラ・ダラー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101381152

作品紹介・あらすじ

1968年、東京、若き彫刻職人が失踪した。それが全ての始まりだった。2002年、ダブリン、新種の偽百ドル札が発見される。巧緻を極めた紙幣は「ウルトラ・ダラー」と呼ばれることになった。英国情報部員スティーブン・ブラッドレーは、大いなる謎を追い、世界を駆けめぐる。ハイテク企業の罠、熾烈な諜報戦、そして日本外交の暗闇…。わが国に初めて誕生した、インテリジェンス小説。

感想・レビュー・書評

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  • 世界最強のドル紙幣の偽造工作をめぐって、BBC東京特派員を隠れ蓑にした英国情報部員スティーブン・ブラッドレ-が不穏な世界を舞台に、内閣官房副長官、アジア大洋州局長、合衆国財務省、CIAを巻き込んでの熾烈な諜報戦が展開される、日本初のインテリジェンス小説。ロシアの南下政策、中国の台湾進攻工作、北朝鮮の拉致事件と大陸間弾道弾開発など、日本の安全保障環境を脅かし続ける今日的問題を的確に予測し、震撼たらしめた危機啓発本ともいうべき衝撃のエンタテイメント。

  • 小学館文庫から新装版が出るという広告を見て興味を惹かれ、然らばと昔の新潮文庫版を中古本屋で買ってきた。我ながらせこいな。

    2002年、ダブリンで新種の偽百ドル札が発見されたとの一報を受けたBBCの東京特派員にして英国情報部員のスティーブンが、その謎を追い世界を駆けめぐる。
    人たらしのスティーブンが官民様々な人脈を駆使して”インテリジェンス”を掴み、それを頼りに日米の政府上層部にも入り込む様はまずまず面白いが、ちょっとうまく行き過ぎかも。
    その過程では北朝鮮のことを中心に過去の色んな事件や逸話が語られて、何が真実の歴史で何が作り話か、ネットで検索しながら読むものだからなかなか前には進まず。時々興味深い話もあって、「へぇ~、こんなこともあったのか」と独り言ちたり飽きはしないが、物語の主題とはあまり関係ない話も多かったような気も。
    枝葉では浮世絵やグルメやファッションに競馬まで色んなジャンルに話が飛び、流行りのドルチェ&ガッバーナ(「ガバーナ」になってるけどね)も登場するが、これらも結構とっ散らかってて、色々ひけらかされているだけって感じもなくはない(競走馬の名前に「サイレントギャラクシー」は無いでしょ。いやしくもキャロットの会長なんだから、ちゃん9文字以内に収めてや)。

    色んな”インテリジェンス”が提示されていくがなかなか核心には迫らず、物語はある登場人物の思わぬ告白と別の登場人物の思わぬ身の上話で強引にまとめられ、色々語られた挿話は回収されぬものもあり、蘊蓄話にお付き合いして楽しめなかった訳ではないけれど、小説としては如何にも中途半端に終わった印象。

  • 外交ジャーナリストが書いた、インテリジェンス・フィクション。
    特に前半戦は、小道具の話題がくどくて、筆致にスピード感がなかったけれど、後半は満足。佐藤優氏の解説文も良い。
    本書内で撒き散らしたまま、未回収のインテリジェンスが、結構あるので、続編もあると期待。
    主人公の表の顔が、BBCのジャーナリストっことはNHK時代の手嶋氏にも、裏の活動があったのかな?

  • テッシーの趣味とセンスが見え隠れ?
    カッコいい〜、007みたい。
    amazonでのカテゴリーは「社会・経済小説」
    ミステリーではないんだな…。

  • こういう本当のこととフィクションを織り交ぜるのが面白いものだと思う。言えない、明かせないじゃつまらないし、それを一切感じさせない。

  • 大変面白く読ませていただきました。リアルな感じが良かったです。流石伊達にNHKワシントン局員だった人では無いですね。NHKOBにも色んな人が活躍してますが
    1番関心が有ります。只最期は残念な感じがしました。最近この様な正直を読む機会が有りますがつくづくにほん平和ボケが感じられます。

  • 日本にこんなインテリジェンス小説があったのか。このストーリーの裏側に秘められた情報量の多さが透けてみえる。はられた伏線の回収がみごと。
    車、食事、服等のディテールの設定が凝っていたが、嫌味でなくよかった。

  • ほんとにありそうな話でのめりこめた

  • 今話題(?)の北朝鮮本にて、最高級のインテリジェンス本。

    北朝鮮が高性能の偽ドルを刷り、核兵器用の弾道ミサイルを手に入れようとするという話。しかし、そのシナリオを描いているのは、別の大国であった。

    ハードカバー版は2006年の出版である。2002年の小泉電撃訪朝や、その後の金正男来日も描かれている。

    図らずも、北朝鮮の核の危機は、現実になりつつある。

    最後の〆が少し甘かった。

  • 【ノート】
    ・きっかけは「ラジオ版学問ノススメ」。スティーブンは確かに魅了的だけど、カッスラーのダーク・ピットの方が好きかな。

    ・カッスラーの奇想天外なのもいいが、こちらの話の方が、我が国のインテリジェンスに関わりがある分、より切実で面白い。地政学的な観点も提供されており、手嶋さんが「学問ノススメ」で言ってた通り、「楽しんで読んでいるうちにインテリジェンスの素養が磨かれていく」という感じ。

    ・血沸き肉踊るアクションシーンは少ないが、その分、スマートな情報入手術や分析の現場というのが描かれているのがこの本の面白いところ。

    ・北朝鮮による我が国内外の技術者の拉致。それが精細な偽札作りのためであり、偽札を使って東欧から弾道ミサイルを購入して東アジアの勢力バランスを変えるため、というのが話の筋。

    ・恐いのは、北朝鮮が外務省の上層部に食い込む巧妙な手口。こういうのって、手嶋さんが書いてるんだから、結構実際にあるんだろうな。インテリジェンスの舞台では、こういうことが山ほどあって、そこはもう、きれいごととか卑怯とかってレベルを超越した世界なんだろうな。日本、大丈夫か?もし自分が関係者だったら、ハニートラップで一発でひっかかるだろうな(笑)。

    ・相棒のマイケル・コリンズ。アメリカ南部出身だが、名前からすると典型的なケルトだよな。

    ・次作は「スギハラ・ダラー」でいいのかな。続けて読んでみようと思った。

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著者プロフィール

手嶋龍一  Teshima Ryuichi 外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2023年 『ウクライナ戦争の嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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