- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101412368
感想・レビュー・書評
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立て続けに田口ランディさんを読んでいる。
この本は20代の若い女性に薦められました。
エッセイ集。
まず、どぎもを抜かれたのは、「死のなかにある命」のなかの一節。
「人は死ぬ、いつか死ぬ、絶対に死ぬ」とオウム真理教の標語に麻原は言うとある。
私はまず、オームなんて厭なのに「う~ん、真理!」感心してしまう。
田口さんはその語録を端緒として、「死」をもっと社会の中で見つめて「今を生きる」に直結させるべきなのに、科学が陳腐化させたという。
『…宗教も、オカルトも、なにもかもいっしょくたに科学の前で陳腐化させて、魔法をといてしまった。…』と。
そして、
『なぜ生物は生命のプログラムのなかに「死」を組み込むことを選択したのか。』
命の連鎖のために生物の戦略として「多様性」と「死」を選択したのだと。
すなわち、
『「生物」としての人間は数十億年の果てに、私と言う存在をここに在らしめてい
る。』となり
『「根」とはルーツだ』に、つながる。
すごいです!!
前編、田口さんの根っこになるものことと、「翼」を飛翔させる「意識」のこととを次々と語って下さる。
田口さんの「意識」なんだけれども、普遍的真理で共感してしまうのは私だけではないと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
胸に残る本。
起きた事件や見た景色、聞いた話をさらっと流したり、分かったことにせず、とことん考え尽くす。
彼女の徹底ぶりと愚直さが好きだ。
この作家は、物事を考える際、 自分の意見をはっきり言ってくれる。
私は好き、嫌だ、怖い、悲しい。感情を露骨に明示するから、読み手にダイレクトに伝わる。
その上、じゃあ相手はどう思っているか、そちらを書き記す。
客観的視点を加えることを忘れない。
物事は多面体で、色々な視点で見ることができることを裏付けるかのように。
特に、 原爆や戦争を語り継いでいる 語り部よ方々の存在意義について言及した巻は見事。
彼女の舌鋒ぶりに文字通り舌を巻いた。
意見は言うけど言い過ぎない。
鋭い言葉だけど凶器にはならない。
絶妙なバランスを保ちつつ、概念を自分の中の言葉で生み出す。
上手いなぁ。
「できればムカつかずに生きたい」
でファンになったが、この本ももれなくいい本だ。
ランディ! グッジョブ( ¯꒳¯ )b✧ -
初めて読むつもりで読み始めたけど、昔々読んだことがあるようだった。
死ぬこととか、呪詛の話とか、そうなんだよね、そうだよねって気持ちで読んだのは、私が歳を取ってきたからなのかな。ちょうどこの本を書いたランディさんと同い年くらいになったから。 -
原発事故や薬害エイズ、未成年犯罪の実名報道、水俣病、環境問題などといったディープなテーマに、著者が体当たりで挑んでいくプロセスが赤裸々に綴られているエッセイです。
本書を読みながらもっとも印象深く感じたのは、優柔不断であることを恐れない著者のスタンスです。評論家的に結論を急ごうとせず、自分自身がほんとうに身をもって納得できる言葉が出てくるまで待つこと、そして、そうした言葉の静かな声に耳をすますことは、著者の稀有な才能だと思います。
とはいえ、そのような著者のスタンスばかりがクローズ・アップされて、問題そのものへの問いかけが深まっていかないのことに、ちょっと不満を感じてしまいます。簡単に結論を出さないことにツッパッているようなところが感じられますが、もう少し肩の力を抜くことができれば、池澤夏樹のような類まれな小説家・エッセイストになりえるのではないかという気もするのですが。 -
タイトルに惹かれて手に取ってみた本。私にとっては、"初"田口ランディさんでもある。
タイトルの持つイメージとその実、内容の重さのギャップにあっさりと呑まれてしまった。
今の私にとってはとても重い内容で。
正直に言うと、読み進めるのが辛かった。 -
人を信じたいというランディさんの言葉は力強い。そして気取らない文章だから、ぐいぐいと読ませる。
広島の原爆を想像するにはより具体的な言葉が必要だ、そのように表現しなくてはいけないという。「放射能をあびた」では伝わらない。それが何千本という針のように細いモノが瞬時に肉体を通過すると聞いて初めてその恐ろしさが実感を伴って感じられる。
靖国の話も興味深かった。天皇制→そのせいで戦争をおこした→靖国は何となく悪いもの…という左翼思想にとらわれていたと自身を振り返るが、わたしもまさにそう。南方熊楠という人は、明治時代に神道が国家のものにされそうな流れに反対した人で、興味をもった。何か読んでみたい。
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田口ランディさん、初めて読みました。
エッセイはいろんな人の考え方が分かり、視野が広がりますね。
きれい事ばかりではなくて素直に感じたことを表現するこの人、好きになりました。 -
2006.7.23〜7.27