- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101425368
感想・レビュー・書評
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白抜きみたいな小説。
そのものは描かれない。
輪郭だけ見えて、目鼻立ちは分からない。
こんな表現の仕方があるのか…!と新鮮で面白かった。
目鼻立ちの部分を想像して、語り合えたら楽しそうだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長編に疲れたので、暑気払いのつもりで短編を読んだ。
話が終わるたびに、クーラーの風にゆっくり当たれるので猛暑向きかも。
きっと知る人ぞ知る名編なのだろう、すぐに読み終わってしまった。
「氷雨心中」平成16年(2004年刊)
日本工芸を材にした完成度の高い面白い短編が6つ。
特に「青い手」は事件は表に現れないまま終わるが、読後にあ~~と思い当たる、
そんな風に生活の裏から(物語の裏から)
滲み出す暗い部分が、ミステリアスな香りを漂わせる。
お線香はこうして作るのか、お香も。
でも話はじっとり恐ろしい。
「泥眼」日本舞踊の名手に泥眼の面を頼まれた能面作家のはなし。
女の一途な想いが、面を作ることが二人の執念のようになって迫ってくる。
「夜離れ」平成17年(2005年刊)
6編、みな女心の、これも妄執というか、こんな女にとりつかれたら男は恐ろしいだろうし、
女は苦しいだろうというようなストーリー。
ありそうな話かもしれない。
短くて、それぞれ250ベージから300くらいですぐに読める。
肩のこる長い話よりも、読後は充実しいている。 -
職人である男と、その顧客や妻である女たちの物語。物わかりがよく呑気なはずの妻が浮気相手に復讐する「おし津提灯」が最も怖くて面白かった。「泥眼」は他のアンソロジーで既読だったが、この短編集の中にあってはまた別の輝きがあるような気がした。
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手作業で物を作る職人を主人公にする短編集。
取材が大変そう。 -
職人や伝統工芸をテーマにした、これはブラックショートというんでしょうね。短編が6つありました。線香職人、染工芸、酒造、歯科技工(ジュエリーも)、能面職人、提灯職人、外側からしか知らないその職人さんの仕事ぶりも興味深く読める。そしてそれぞれに、ぞっとするオチが!わかってしまうオチもあったけどそれはそれとして。個人的には能面職人がある踊り手の注文のために何度も何度も何度もうち直しした「泥眼」(嫉妬や怒りの情念が正に正気を失わせようとしている瞬間の女の顔。女が執念の鬼、怨霊の化身となる寸前の、最後の人間の表情。)に引き込まれました。一番アサさんらしいと思いました。
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乃南アサお得意の人間の情念が絡んだちょっぴり怖い短編集。どの話にも伝統工芸の職人達が登場するのがユニークで興味深かったけれど、途中まで読むとオチがわかってしまう話が多かったのが残念。
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乃南作品の評価が一般的にどうかは知らないが、
感覚的には恩田陸や辻村深月などよりも低いように思う。
めちゃめちゃ個人感覚でいうとその理由は、
あまりに半径3メートルの設定にあることだからではないかと思っている。
常にその辺にいそうな女性の物語。
あるいは家族内のストーリー。
ダイナミズムにかける、というのかもうひとつ広がらないというのか。
今回のテーマは、様々な珍しい職業の人にスポットをあて、
ならではのしっとりした死をテーマとしている。
その意味では、設定を3メートル以上に広げたとも言えるのだが、
ただし物語ごとに、展開はやはり、主人公を中心としたいわば二親等内の話。
設定が面白いんだけど、背伸びの分に深みがあるというよりやはりノーマル。
単に自分にとっては、知らない世界をのぞき見たのみ。
そこからのもうひとつの伸びまでは感じられず。
というわけでこの本は、残さないことに決定。 -
高校の時に読んで、再読。
「青い手」「氷雨心中」「おし津提灯」は覚えていたのだがあとは読むうちに思い出すという感じだった。
話は全て好きだが最後の「おし津提灯」で全てかっさらわれてしまうため、他の作品がうろ覚えになってしまう。自分だけかな?